日本人の「知性低下」を露呈した東京五輪・・・

三枝成彰の中高年革命


【転載開始】


■日本人の「知性低下」を露呈した東京五輪・・・

 政治家も官僚も私利私欲に走る

 公開日:2021/07/24


 オリンピック開催招致のための票が買わ

れる瞬間を目撃したことがある。

いまから四半世紀近い昔のことだ。


 当時懇意にしていた超やり手広告マンの

Aさんと海外にご一緒した際に、

「お客さんと食事をするので、ついてきて

ほしい」と言われた。

招かれたのは個人宅で、相手はアジアの

某国のIOC委員だという。

その席でAさんが切り出したのは、間近に

迫ったIOC総会のことだった。

次期オリンピックの開催地が委員の投票で

決まる。

Aさんは「ぜひ日本に1票を」と頼み込み、

相手は了承した。

すでにAさんは亡くなられて久しく、もう

時効だと思って記すが、票の買収が実際に

あると知って驚いた。


 その1票を手に入れるため、委員の子女

の米国一流大留学の斡旋や現地での生活費

の算段まで広告マンが世話をするという。

見事“ご成約”のあかつきには、その費用を

広告代理店はクライアントの企業に負担さ

せる。

その見返りに広告代理店は、カネを出した

企業のスキャンダルや、伏せておきたい

不都合な情報が世の中に出ないよう、

マスコミを押さえるのに一役買うという

巧妙な仕組みだ。


 こうした“汚れ仕事”やネゴの類いは、

政府の看板を背負った人間にはできない。

それを何でも屋として請け負うのが広告

代理店である。

おそらく大阪万博が決まった裏にも、

彼らの奔走があったのだろう。


 世界的イベントの開催で“国威発揚”を

もくろむ国にとって、誘致は政権の命運

を懸けた戦いになる。

政府や開催都市による表の交渉とは別に、

Aさんのような広告マンたちに裏でロビー

活動やバックアップをしてもらえるか

どうかで勝負が決まる。


 彼らにとってオリンピックはおいしい

仕事だ。

スポンサー各社と政府を取り次ぎ、

関連イベントの制作進行を請け負い、

テレビの放映権と各媒体の広告掲載を管理

して莫大(ばくだい)な手数料を手にする。

Aさんがいた代理店の社長は全社員に向け

て、

「東京オリンピックで1兆円を稼ぎ出す」

と号令したとか。

オリンピックは4年に1度の大きな商機。

これにどう食い込むかに社運を懸けて

いるのだろう。


■モラルも消え失せた


 一方、オリンピックで政権の支持率を

上げ、次の選挙で勝ちたい政府にとって、

広告代理店は便利な存在だ。

政治家や役人が表立ってできない面倒な

ことの一切をカネ次第で丸投げできる彼ら

を、大いに頼みにしているところだろう。

つまり両者の思惑は一致しているという

わけだ。

国民はまったくの置き去りである。


 2016年のリオオリンピックのとき、

私はドイツにいた。

ホテルでテレビをつけると、

100チャンネルもあるのに大会の全中継を

している局はなかった。

時代は変わり、もはやオリンピックは

ヨーロッパで視聴率を取れるコンテンツ

ではない。

しかし関係者はその開催に固執し躍起に

なっている。


 来日したバッハ会長を菅首相らが歓迎し

厚遇するさまは、まるで黒船でやってきた

ペリーを出迎える江戸幕府の役人のようだ。

バッハ会長たちにあるのは古いヨーロッパ人

のエリート意識で、日本人を完全に下に見て

いる。

植民地を視察に訪れた貴族にでもなった

つもりだろうか。


 開会式の音楽担当の小山田圭吾さん辞任

にも呆れたが、今回のオリンピックを

めぐっては、競技場の設計と大会の

ロゴマークのやり直しや総合演出の交代

など、選ぶ側の見識を疑うことばかりが

続いている。

売れることを優先して人間性などのチェック

をおろそかにするからこうなるのだ。


 開閉会式総合演出の小林賢太郎さんが

お笑い芸人時代にユダヤ人虐殺をネタに

していたことで解任された。

若気の至りで済まされることではない。

ドイツはいまだにナチスの犯した罪を悔い、

謝罪を続けている。


 成り行きのひどさに言葉もないが、

制作チームの人選も広告代理店に丸投げ

していたためだろう。

広告代理店はマーケティングや流行りを

見込んで企画を立てるから、知性や文化的

な意味づけなど期待すべくもない。


 ロンドン五輪では英国を代表する指揮者

のサイモン・ラトルが演奏し、北京五輪

では国際的映画監督のチャン・イーモウが

演出した。

どちらもその国の文化の顔ともいえる人物

で、スポーツと文化の大国であることを

十分にアピールしていた。


 東京五輪の人選にはそうした文化への

深い理解がまったく感じられない。

元文科相や政府首脳らのお歴々が、歴史、

哲学、芸術などのリベラルアーツを知ら

ないからこうなるのだ。


 日本人の知性は、ここまで低下して

しまったのか? まったく恥ずかしい。

モラルも消え失せた。政治家も官僚も

ウソを重ね、私利私欲に走って弱者を

食い物にしている。

いい加減に目を覚まし、早急にモラルと

“知”の構築をし直さないと、現実問題と

して、この国の行く末は危くなる。


【転載終了】

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 知性の高い低いは学歴ではないです

からね。


 某3Aとか言われる与党議員の知的

レベルをみれば、日本という国の知性

・モラルの低さが分かるようなきがし

ます。


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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