日本の与野党が 「将来世代のことを考えていない」・・・

現代ビジネス


【転載開始】


日本の与野党が

「将来世代のことを考えていない」

ことへの大きな危機感

「持続可能党」「未来世代党」こそ必要だ

 2021.10.02 ※抜粋。


■借金が将来世代にツケ回しされ続ける理由

 大きく二つ理由があると私は思う。


 一つは、日本人の相当部分、特に団塊世代

などを中心とする「昭和的」世代がなお

“高度成長期の成功体験”にとらわれている点

がある。

そうした人々は、「経済成長がすべての問題

を解決してくれる」という発想が根強く、

しかも今後も日本はかなりの高成長が可能と

考えていて、「負担」や「分配」の問題に目

を向けようとしない。

要するに、増税などの議論をしなくても、

経済成長によって自然に税収は増え、やがて

借金は解消されるという“成長パラダイム”に

安住している層が多いということだ。


 もう一つは、日本社会は概して“場の空気”

を重視するので、合意形成が難しい話題は

先送りし“その場にいない人間”に負わせる

傾向が強い点である。

そして、考えてみれば“その場にいない人間”

の典型が実は「将来世代」なのだ。


 政治家にとっても、増税などといった

“耳に痛い”話は封印し、様々な「給付」を

これだけ増やしますよといった話だけして

いたほうが選挙にも通りやすいから、

こうした傾向はますます加速することになる。


 考えてみよう。

高度成長期と異なって経済が構造的な

低成長期に入り――これだけモノがあふれて

いる時代なのだから、経済が「成熟」段階に

入るのはむしろ当然のことである――、

しかも高齢化が進む中で、上記のように医療

や介護、年金などの費用を誰がどう負担する

かは社会の基本に関わるテーマである。

そして、大きく言えばヨーロッパ諸国は、

北欧に限らずイギリス、フランス、ドイツを

含め主要諸国が概して消費税率20%以上で

あることにも示されるように、相対的に

「高福祉・高負担」的な社会を志向し、

他方アメリカの場合は、税負担が小さいぶん

社会保障の規模も小さく「低福祉・低負担」

型の社会を作っている。


 私は3年ほどアメリカで暮らしたことが

あるが、格差や貧困をめぐる状況は尋常では

なく、「成熟社会の豊かさ」という面で

ヨーロッパのほうがはるかに望ましい社会を

実現していると思ってきた。

しかしそれでもなお、アメリカは

「低福祉・低負担」、つまり“個人の自由を

何より優先し、多少の格差等があっても政府

の規模は小さいほうがよい”という道を意識的

に選び取っている。

つまり政治の場においてしっかりと議論を

行い、言い換えれば今いる世代において

どのような社会を作るかの意思決定を行い、

将来世代へのツケ回しを抑えているのである。


 もっとも良くないのは日本ではないか。

つまりそうした選択や合意形成、あるいは

議論すら行わず、高齢化に伴う社会保障の

規模を拡大させながら必要な増税は回避して、

膨大な借金を将来世代に先送りしている。


 残念ながら、これは先ほどから論じている

「持続可能性」「将来世代への責任」という

点から見て“最悪”の姿ではないだろうか。


 私は本来、自民党以外の政党に期待して

おり、つまりいわゆる二大政党制かそれに

近い形での政権交代がある社会が健全だと

考えている。

しかし皮肉にも、本来は「高福祉・高負担」

的な政策を提案していくはずの野党が、

消費税減税などを唱えており、私はこれに

強い違和感を抱いている。


 結局、今の日本には、与党も野党も含め

て「もっと将来世代のことを考えよう」と

いうことを論じる政党がないのだ。


 私が日本には「持続可能党」あるいは

「未来世代党」が必要だと論じる理由は

まさにここにある。


■若い世代への支援の低さは人口減少を加速

 させる


 若い世代や将来世代というテーマに関し、

関連する事実を指摘しておきたい。

それは、日本では子どもや若い世代への

社会保障や教育の支援が先進諸国の中で

もっとも低いという事実だ。


 私はこれを「人生前半の社会保障」と呼ん

できたが、日本の社会保障は7割以上が

高齢者向けのもので、もちろん高齢者に対す

る給付は重要だが、子どもや若い世代への

支援が非常に希薄なことは様々な面で問題が

大きい。


 また非正規雇用を含め、若い世代の雇用や

生活が不安定であることが出生率低下そして

人口減少の重要な背景となっている。

たとえば、内閣府が行った調査で示されて

いたように、20代から30代の男性の年収が

300万円以上か以下かで結婚率に大きな差が

あり、つまり生活の不安定が未婚化・晩婚化

の原因の一つとなり、結果として出生率低下

そして人口減少につながっているのである

(意外に知られていない事実だが、結婚し

たカップルの子どもの数はほとんど減少し

ておらず、未婚化・晩婚化が少子化の主た

る原因になっているのが現在の日本の状況

である)。


 以上のように、現在の日本の若い世代

そして今後生まれてくる世代は、すでに困難

な状況に置かれている上に、

「人生前半の社会保障」が諸外国に比べて

小さく、さらに本稿で述べてきた莫大な借金

の負担を背負っていくことになる。


 こうした若い世代と将来世代への負担の

ツケ回しは、少子化の一層の進展と人口減少

の加速につながる。

これでは日本の未来はない。


■環境問題との共通性


 最後に、環境をめぐるテーマとの関連に

ふれておきたい。


 先ほど「持続可能性」というコンセプトを

初めて国際的に提起したブルントラント委員会

の『われら共通の未来』にふれたが、一般的に

「持続可能性」という言葉は地球温暖化など

環境問題の文脈で使われることが多い。

それに対し、私がここで論じてきたのは主と

して高齢化や社会保障、あるいは富の分配ない

し財政をめぐるテーマに関してだった。


 環境をめぐるテーマについて見れば、たとえ

ば先日のドイツの総選挙では、メルケル首相

が所属してきたキリスト教民主・社会同盟、

社会民主党、そして緑の党という3つの

主要政党の間でもっとも重要な争点となって

いたのは、他でもなく気候変動などの環境問題

への対応のあり方であり、そこではまさに

「若い世代や未来世代への責任」が議論され

ていた。


 一方、日本においてそうした環境関連の

テーマは政治ないし選挙でほとんど争点に

なっておらず、ここでも先ほどの将来世代への

借金の先送りをめぐる話題と共通している。


 ちなみに、斎藤幸平氏の『人新世の資本論』

が30万部を超える大ベストセラーとなり、

本書はまさに温暖化などの地球環境問題を

扱った書物である。

余談ながら、私は同書の中で

「旧世代の脱成長論者」として批判的に位置

づけられているのだが、ともあれこうした

若い世代の発する議論や提案等が社会に影響

を及ぼし、社会を変えていくのはすばらしい

ことであり、今の日本社会に何より求められ

ることだろう。

しかしこうしたテーマへの社会的関心の高ま

りと、現実の政治の動きやそこでの議論に、

あまりにも大きな落差やギャップがあるのが

日本ではないか。


 いずれにしても、私はこれらの両者、

つまり「高齢化・社会保障」をめぐるテーマ

と「環境」をめぐるテーマを一つの大きな

枠組みでとらえ議論していくことが重要と

考えている(拙著『定常型社会』(岩波新書、

2001年)参照)。


 つまり両者は、一見異質な話題に見えて、

いずれも「持続可能性」そして

「未来世代への責任」という点が問われて

いることにおいて実は共通している。

この場合、時間軸の長さに違いがあり、

「高齢化・社会保障」のほうは主として

数十年程度の時間軸であるのに対し、

「環境」のほうは数十年からさらには数百年、

場合によってはそれ以上のタイムスパンに

及ぶテーマである。

それは、「高齢化・社会保障」のほうが

基本的に“人間社会内部”の世代間関係を扱う

のに対し、「環境」のほうは人間と自然との

関わりが基本課題であるからだ。


 しかし上記のように「高齢化・社会保障」

そして「環境」いずれのテーマも、

「持続可能性」そして「未来世代への責任」

が問われる課題であることにおいて共通して

いる。


 残念ながら、今の日本の政治において

これらのテーマはあまりにも議論の対象から

外されてしまっている。

それはとりもなおさず、日本社会の持続可能性

そして未来世代の生存そのものを危うくさせ

るだろう。


 今こそ「持続可能党」あるいは「未来世代党」

が必要ではないだろうか。


【転載終了】

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 私は、昭和30年を旧人類、新人類の

境界と考えています。


 私を含め、安倍晋三などは旧人類で

あり、そろそろ表舞台から引退する時

であると考えています。


 キングメーカーとして院政を張ろう

としたこと自体、時代錯誤もいいとこ

ろだと思います。


 小泉政権から新資本主義を持ち込み、

某国のような格差を広げる国にしてい

る三世政治家世代です。


 賢人は、引き際をわきまえています。


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