賃金「30年横ばい」で先進国から堕ちた日本。

MONEY VOICE


【転載開始】


■賃金「30年横ばい」で先進国から堕ちた

 日本。

 次の春闘こそ上げ時、成果なければ経済

 成長なし

 2021年12月9日


■賃金水準で明らか「日本は先進国ではない」


 日本経済が内需転換する良いチャンスが

やってきました。


 最近メディアでもOECD(経済協力開発機構)

の賃金データが紹介されるようになり、

多くの国民ばかりか、政府・財界もショックを

受けたとみられます。


 何しろ、30年間で多くの国の賃金が2倍以上

になっている中で、唯一日本だけがまったく

増えずに横ばいという姿を突き付けられました。


 そして、日本の賃金水準はOECD加盟38か国

の中で23位に後退し、お隣の韓国にも抜かれま

した。

加盟国の中では下から数えたほうが早くなりま

した。


 賃金水準からみると、もはや日本は先進国の

地位を失いました。


 これは国際比較するためにドルに換算した

ものですが、日本の国税庁が出している

「民間給与実態調査」を見ても同様の、否、

それ以上に厳しい結果となっています。


 昨年の民間給与平均額は年間433万円と

なっていますが、20年前の461万円から

30万円近くも減少しています。


■賃金の抑制が日本の成長のネックに


 賃金の安い女性や非正規雇用を増やすこ

とで、企業は人件費を抑制することができ

ました。


 ちなみに、昨年の賃金内訳を男女別に

みると、男性の532万円に対し、女性は

293万円でした。

正規・非正規別では正規労働者の496万円

に対して、非正規労働者は176万円に

とどまっています。

この非正規が4割近くに上っています。


 この結果、名目GDP(国内総生産)の

うちの個人消費は20年前の307.3兆円から、

昨年度は286.1兆円に、20兆円以上も減少

しています。


 この間、企業は人件費を削って利益を

拡大し、設備投資や輸出を増やしたの

ですが、GDPは20年前の490.1兆円から

昨年度は536.6兆円に増えたものの、

名目でも年平均0.4%の低成長にとどまって

います。


 GDPの半分以上を占め、最大の需要項目で

ある個人消費がこれだけ減っているので、

輸出や設備投資では十分な穴埋めができず、

結局、賃金抑制が低成長をもたらした形と

なっています。


 仏の経済学者トマ・ピケティ氏の指摘を

待つまでもなく、偏った所得分配、

所得・資産格差は経済の効率を損ない、

成長の制約になることを実証しています。


■円安でも輸出で稼げない日本


 企業が人件費を削り、消費が縮小する中

で、利益を上げた企業がその分支出を増や

してカバーできれば良いのですが、

少なくとも日本の輸出については、この

ところ円安気味の環境の中でも稼げなく

なっています。


 年間80兆円の壁が越えられず、最近では

円安の中でも輸出は減少しています。

貿易収支も赤字が続くようになりました。


 米国のGAAFAや中国の巨大IT企業群の

ような、強い競争力、成長力を持った企業

が日本にはなくなり、唯一自動車で稼いで

きたようなものですが、その自動車も

半導体不足、サプライチェーンの崩壊で、

国内生産、輸出ともに大きく落ち込みまし

た。


 追い打ちをかけるように、部品の供給基地

であった東南アジアがコロナの感染拡大で

多くの工場が止まってしまいました。


 そして、日本の輸出の最大の市場となって

いる中国経済が変調をきたし、世界貿易が

縮小している分、日本の輸出にも大きな制約

となっています。


 中国の習近平指導体制が、経済よりも

政治権力による統制、指導力強化に注力して

いるため、経済が大きな犠牲を受けている面

があります。


■期待の海外経済にも暗雲


 習近平指導部は最近、子どもがゲームで

遊ぶ時間を週末の3時間に限定したり、

女性の化粧や男子のいでたちにまで口出し

をして、統制を強化しています。

マクロ経済に対しては、これまで中国経済

をけん引してきたIT企業や不動産市場に

規制をかけ、行動を制限しています。

いずれも習近平主席に対抗する江沢民派、

共青団系の企業が多いためです。


 特に、このうち不動産の規制強化は、

高くなりすぎた住宅価格にまで及び、

10月の新築住宅価格はついに前月比

マイナスとなりました。

債務が巨額に膨らんでいるため、住宅価格

が下落するようになると、資産価値の下落

で債務が資産価値を上回る

「デッド・オーバー・ハング」の状態と

なり。不良債権が拡大します。


 日本の90年代にみられた現象で、

バブル崩壊の資産デフレにつながります。


 そうなると中国経済は国内の債務金融

危機に陥るリスクがありますが、同時に

米国が金融緩和の縮小から利上げに出ると、

中国の債務返済がドル建て債を中心に苦し

くなり、他の新興国でも資金の引き揚げ

から意図しない金融引き締めとなって経済

が圧迫されます。


 世界経済はこれまで以上に厳しくなり、

日本の輸出には逆風が強まります。

その分、内需の拡大に期待するしかなく

なります。


■新しい資本主義に政財界が乗り出す


 日本の企業が利益を上げても国内投資に

慎重で、内部留保に積み上げてきた背景に

は、国内市場が消費を中心に右肩下がりと

なっていたことも大きな要素になっていま

す。


 人口が減少し、少子高齢化が進むためと

みられてきましたが、実際には企業が利益

確保、競争力維持のために人件費を抑え

込んできた結果でもあります。


 そうした反省から、岸田新政権は

「新しい資本主義」を打ち出し、偏った

分配にメスを入れる姿勢を打ち出しました。


 自民党内のアベノミクスを信奉する勢力

からは反発も見られますが、少しずつ

これまでの市場原理主義からの脱却を進め

ようとの動きが見られます。


 実際、政府の賃上げへの意欲はこれまで

以上に強くなりました。


 今回の経済政策の中でも、最低賃金引き

上げによる中小企業への負担を軽減する

救済措置や、賃上げをした企業に対しては

法人税控除で報いる方針を打ち出していま

す。

これまでも安倍政権などが産業界に賃上げ

を求めてきましたが、最後は産業界の姿勢

いかんでした。


 ところが、十倉経団連会長は岸田政権の

「新しい資本主義」に理解を示し、

できる企業は賃上げを積極的に進める姿勢

を見せています。


 こうした政府、産業界の姿勢変化が追い

風になるのですが、肝心の労働組合が及び

腰で、連合は2%というこれまでよりも

むしろ低い賃上げ目標を掲げています。


 空気が読めていないとしか言いようが

ありませんが、22年春闘は、組合側が久々

に賃上げを強く求めるチャンスであり、

その成否が日本経済の内需下支えの成否に

大きくかかわります。

このチャンスを逃す手はありません。


【転載終了】

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>こうした政府、産業界の姿勢変化が

追い風になるのですが、肝心の労働

組合が及び腰で、連合は2%という

これまでよりもむしろ低い賃上げ目標

を掲げています。


↑労働者の賃金が上がらないと国内

消費が進まず、益々賃上げしにくく

なるので、先進国の中で唯一のGDP

のマイナス成長は当たり前ですよね。


 残念ですが、保守的な姿勢が垣間

見える「連合」の新会長に期待する

のは難しいですね。


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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