消費税収19兆のうち6兆が大企業に還付・・・

Business Journal

【転載開始】

■輸出が主力の大企業は消費税を払っていない?


 これまで日本では、「欧米と比べ消費税率が低いから

上げる」という論理が支配的でした。

しかし、欧米では食料品など生活必需品が非課税に

なるなど、所得の低い人には負担のしわ寄せが

いかないような工夫があります。

日本では、何から何まで一網打尽に消費税を徴収

しますから、現行の8%でも生活者の実質的負担は

欧米以上に高いのです。

逆進性が高く、所得再分配機能も働かない租税立法上の

「応能負担原則」にも反します。

所得が低く貧しい人ほど、日常生活は苦しくなるわけです。


 しかも、輸出で稼ぐ大企業には輸出還付金制度という

特典があります。

これは、海外販売分では消費税が発生しないことを理由に、

仕入れの際に支払った消費税分を「輸出戻し税」という

かたちで還付される制度です。

これにより、部品材の仕入れの際に子会社や下請けに

「買い叩き」をしても、国から還付金を得ることができます。


 消費税が5%だった時にも、例年3兆円強が大企業に

還付されたため、消費税収の毎年10兆円が国庫に

入る時には、7兆円弱になっていました。

一方、下請けの中小企業は大企業向けでは納品価格に

消費税分を載せられずカットされるため、納品価格の

内税分の消費税を払うことになります。

消費税は赤字でも払わなければならないため、中小企業は

青息吐息です。


 消費税率5%だった2010年度の大企業の推定還付金は

以下の通りです。


・トヨタ自動車:2200億円強

・ソニー:1100億強

・日産:1000億円弱

・東芝、キャノン、ホンダ:700億円台

・パナソニック、マツダ:600億円台

・三菱自動車工業:500億円台

・新日鉄:300億円台


 そして消費税率が8%の15年度には、トヨタが3633億円、

日産が1546億円などで、消費税収19兆円のうち還付金額は

6兆円に膨らんでいます。

消費税収19兆円でも、国庫の実収はたったの13兆円なの

です。

消費税率がアップするほど、輸出大企業は払ってもいない

消費税の還付で儲かります。

まるで輸出奨励金なので、そのうち米国トランプ政権も

目をつけてくるでしょう。


 そして大企業にとって税金でトクをする状況は、消費税

だけに限った話ではありません。

法人税もろくに払っていないのが実態なのです。


■大企業の法人税実効税率は高くない


 大企業もマスコミも「日本の法人税実効税率は高い」と唱え、

安倍首相も16年度に30%を切る29.97%にして、2018年度には

29.74%にするとしていますが、大企業の多くはこの実効税率を

まともに払っていません。

なぜなら、企業にはさまざまな減税措置があるからです。

国税庁が公表した13年度の「資本金階級別の法人税(国税)

の状況」によれば、実質的な法人税率は以下のようになって

います。


・全企業平均:15.66%

・資本金1000万円以下の単体法人:13.6%

・資本金1000万円超1億円以下の単体法人:17.6%

・資本金1億円超10億円以下の単体法人:22.3%

・資本金10億円超の単体法人及び連結法人:14.6%

(うち資本金100億円超の単体及び連結法人:13.6%)


 資本金100億円超の大企業と資本金1000万円以下の

零細企業が、たったの13.6%という同じ税率なのです。

これに地方税7.38%を加えても、法人税実効税率は

20.98%にしかなりません。

これは13年度の実績として国税庁が公表したものですが、

実際には16年度から法人税の実効税率は表向き29.97%と、

13年度(34.62%)と比べ4.6%も下がっていますから、

16年度なら資本金10億円以上の大企業は、実質的な

法人税負担率は10%さえも切っている可能性があります。


■世界の中で日本の法人税実効税率は低水準


 世界の法人税実効税率は、表向きは以下のような

順番になっていますが、少なくとも日本の場合は、

実際の税負担はさらに10%前後は低いと言えるのです。


 米国38.91%、フランス34.43%、ベルギー33.99%、

ドイツ30.18%、オーストラリア30%、メキシコ30%、

日本29.97%、ポルトガル29.5%、イタリア27.81%、

オランダ25%、韓国24.2%、アイスランド20%、

トルコ20%、イギリス19%、チェコ19%、ポーランド19%、

ラトビア15%、アイルランド12・5%


 日本の29.97%から10%前後を差し引くと、実質的な

負担率は法人税が低いといわれるイギリス、チェコ、

ポーランド並みとなります。

消費税引き上げ分の負担を家計に押し付け、大企業には

消費税に加えて法人税も大まけして、与党は大企業から

政治献金の見返りをもらうという構図なのです。


 こうした大企業に与えられている法人税の軽減特典は、

ざっと挙げれば「連結納税制度による所得金額の減少措置」

「受け取り配当金の所得不算入」「外国子会社配当金の

所得不算入」「所得税額控除」「外国税額控除」「試験研

究費税額控除」などがあります。

大企業ほど特典が多数あります。

そして大企業は正社員を減らして非正規雇用を激増させ、

人件費を削って内部留保(利益剰余金)も膨らむ一方です。

「日本の法人税の実効税率は高い」という嘘を垂れ流して

きたマスコミや大企業、政府与党の罪は重いのです。

法人税率は、これ以上下げる必要はありません。

そして、大企業経営者などの金持ち優遇策で引き下げてきた

累進所得税率を上げ、とっとと消費税は廃止すべきです。

(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)


【転載終了】

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 私は、消費税3%の時から、福祉目的税なのに

福祉には1%しか使われていないと書いてきました。


 そして、5%の時に大手企業の「戻し減税」が増え、

増税で儲かるのは輸出大手だけとも書きました。


 マスコミも消費増税に反対しないのは、

経費で飲み食いしても「取材上の交際費は非課税」

と処理していたり、申告漏れ、所得隠しなど、

もろもろ税務上の不都合が多いので、

つつかれたくないようです。


 結局、消費税は法人税減税の穴埋めと、

輸出企業への還付金に消えているということに

なってしまいます。


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