専門家が学部新設より獣医師の待遇改善を・・・
日刊ゲンダイDIGITAL
【転載開始】
■専門家が加計問題に喝…学部新設より獣医師の待遇改善を
2017年8月1日
「安倍晋三首相にかけられた、あらぬ濡れ衣を晴らす
役に立ちたい」「今治にとって黒い猫でも白い猫でも
獣医学部をつくってくれるのが一番よい猫だ」――。
7月25日に行われた参院予算委員会の閉会中審査で
加戸守行前愛媛県知事はこう語った。
愛媛県にとって獣医学部は長年の悲願、
何がなんでも誘致したかったというのだ。
ネット上ではこの加戸氏を持ち上げる書き込みが
チラホラ。
「加戸さんすごい人だね! 答弁というより、いい演説で
感激したよ!」という具合だ。
そんな折、獣医学の専門家から、加計学園の獣医学部
新設は最初から矛盾をはらんでいたと糾弾する声が
上がった。
鹿児島大名誉教授の岡本嘉六氏だ。
7月7日に発表した「獣医学小史」と題したA4用紙
18ページに及ぶ論文の中で、獣医学界が長年、
ヨーロッパの国際認証を得る高レベルな獣医学部の
創設を目指し、既存大学の再編構想を進めてきたこと
などを解説。
加計学園での新設に「ノー」を突きつけている。
改めて岡本氏に聞いた。
「文部科学省の主導でわれわれは鹿児島大と山口大、
岐阜大と鳥取大というように複数の大学で共同獣医学部
をつくり、統合でレベルアップを図って国際基準を満たそう
としてきました。そこに官邸と加計学園が(国家戦略特区で)
踏み込んできた。だから文科省が怒り、国会で前川前文科
次官が告発したのです。本来、安倍首相は国のトップとして
“国際的なレベルの獣医学部をつくろう”と文科省を後押し
すべきなのに、実際は、昔ながらの獣医学部をつくるという
真逆のことをした。“要請があれば2つでも3つでも獣医学部
を承認する”という首相の発言は、教員不足の中で共同獣
医学部をつくってきた経過を無視する素人の暴論です」
加戸氏は「口蹄疫や鳥インフル対策で四国に獣医学部が
必要だ」と熱弁をふるっていたが、これもピントはずれだという。
「四国に獣医学部があれば口蹄疫などを防げるわけでは
ないのです。そうした家畜伝染病(感染症)は国や自治体と
してどう対処するべきかをきちんと論じなければならない。
地域振興のために大学教育を利用してはダメです。そもそも
(加計の計画での)学生160人に対して教員が70人そこそこ
なのが理解できません。獣医学部は学生と教員の数が少なく
とも1対1が基本なのに、加計は3対1なのだから話にならない。
獣医学部を新設しても低レベルになるのは当たり前。実習さえ
まともにできないでしょう」
むしろ、愛媛県で新卒の獣医師を増やしたいのなら、大学の
新設よりも行政による獣医師の待遇改善のほうが効果的
だという。
「鹿児島大学では獣医学部に入る地元出身者が数人程度
なので、県の獣医師の募集定員を満たせなかった。そこで
数年前に給与をアップしたところ、充足できました。獣医学部
をつくる資金があるなら獣医師の待遇改善が第一。すぐに
問題を解決できます」
官邸と愛媛県、今治市のすべての動きが時代に逆行して
いるわけだ。
研究者の重い言葉を安倍首相はどう受け止めるのか。
(取材協力=ジャーナリスト・横田一)
【転載終了】
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前川氏の証言に信憑性があるような気がしましたが、
この記事で納得できました。
加計学園の実習はどこかの牧場だかで実施する、
ということでしたが、当の牧場が戸惑っていたようです。
獣医学部新設で教授が足りず、
実習もままならなければ、中途半端な(失礼)
獣医師を輩出してしまう可能性も否定できません。
前にも書きましたが、過当競争により、
繁盛している動物病院と、
全く患者(ペット)が来ない動物病院が存在しています。
法曹人口を増やす政策で弁護士が増えすぎ、
年収200万円の弁護士もざらにいるのと似通ってますね。
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