「優秀で割安」シャープ・東芝の技術者が、続々外資に流出中・・・
現代ビジネス
【転載開始】
「優秀で割安」シャープ・東芝の技術者が、続々外資に流出中
■技術者、逃げる
経営危機に直面する東芝から、有能な技術者が
次々と流出している。
先行きの見えない原子力事業部門などを中心に、
会社を見限る動きが強まっているのだ。
まだ、退職に至っていなくても、水面下で転職活動
をしている人たちは少なくない。
とくに30歳から40歳台前半の、「最も現場で仕事を
している中堅ほど、浮き足立っている」(東芝を辞めた
技術者)という。
50歳台も半ばとなれば、会社にしがみつくのが
得策という計算も成り立つが、若手は「会社と心中
するわけにはいかない」というのが本音だ。
東芝は2017年3月期の有価証券報告書が出せず、
8月10日まで延期を認められているが、債務超過
状態にあり、このままでは株式が上場廃止になり
かねない。
上場廃止になっても即座に経営破綻するわけでは
ないが、資金調達もままならなくなるなど、信用力は
大きく毀損する。
上場廃止となれば、一気に会社を見限る中堅技術者
が増えるに違いない。
「今まで、市場に出て来なかったようなピカピカの
技術者が転職活動しています」と、転職支援会社の
コンサルタントは言う。
しかも、「かなりの割合で外資系企業に転職している」
という。
今、外資系企業にとっては、理科系の優秀な人材
を獲得する絶好のチャンスが訪れているという。
もともと日本では、大学院で修士や博士課程を終え
た理科系の学生は、研究室と関係の深い企業にその
まま就職するケースが多かった。
東芝など一流企業の場合、とくにそうした「関係」が
濃密で、大学の研究室が定期的に有能な人材を送り
込む役割を担ってきた。
逆に言えば、有能な技術者は「労働市場」に出てくる
ことなく、大学から企業へと送り込まれていたわけだ。
外資系企業からすれば、これまで、優秀な理科系の
学生を採用するのは困難を極めていた。
それが、このところの日本の製造業の“崩壊”によって、
転職を希望する技術者が一気に「労働市場」に現れ
始めたわけだ。
欧米の大手重電メーカーや化学メーカーなどが、
積極的に技術者の採用を始めた。
また、IT系の企業などもエンジニアの採用にシフト
し始めている。
■ついに気づいてしまった
今いる会社が傾いて転職活動をするとなると、
悲壮感が漂いそうなものだが、東芝を後にした
技術者たちはまったく違う。
というのも、東芝よりも高い年俸など好待遇で
転職しているケースが多いからだ。
日本の技術者にとっては、東芝の給与は決して
安くはない。
30歳台で年収1000万円を超える人もいる。
ところが、東芝から外資系企業に転職した中堅技術者
の場合、年収は東芝よりも3割近くも増えたという。
「日本の技術者の報酬が安すぎるのです」と米国が
本社の大手IT企業の人事担当役員は言う。
「大学院の修士課程を終え、日本の製造業の現場で
10年前後の経験を積んだ即戦力が1000万円ですから。
海外の常識からすれば、考えられない水準です」
日本企業の場合、終身雇用が暗黙の了解事項の
ため、30歳台の給与は市場価値に比べて低く抑え
られている。
その代わり、市場価値が落ちた50歳台になっても
高給が保証される。
中堅社員も不満はあっても、いずれ部長や役員に
なれば元が取れると思ってきたわけだ。
ところが、日本を代表する製造業の経営危機が相次ぎ、
「終身雇用」を信じる中堅若手が一気に減っている。
そうなると、日本のメーカーの給与の安さが、
際立ってくるわけだ。
外資系企業は年齢や性別に関係なく、利益に貢献する
社員にはそれに見合った報酬を支払う。
一方で、市場価値がなくなれば、給与がカットされたり、
最悪、クビになったりするというのも事実だ。
だが、日本では過度にこの点が強調され、日本企業の
給与が低いことも致し方ないとするムードが強かった。
理科系大学を出た技術者の場合、自らの労働市場
での「市場価値」を考えたこともなく、ひとつの会社で
生涯を終えるのが普通だった。
それが、経営不振によって、おのずと自らの「市場価値」
を考えざるを得なくなっている。
そして、技術者の待遇が日本では過度に低いことに
気がつく中堅若手が増え始めているのだ。
■箱が残っても意味がない
日本企業の場合、円高などで輸出採算が悪化すると、
価格の引き上げなどを行わず、コスト削減に力を入れて
きた。
このため、人件費も抑えられ、有能な技術者にも
「国際標準」並みの給与を支払うことができなかった。
それでも、今までは「閉ざされた」採用システムだった
ため、外資系企業に有能な人材をさらわれる心配は
なかったのだが、それが急速に壊れ始めたのである。
これは、日本を代表する企業にとってだけでなく、
日本の製造業全体にとっての危機だ。
優秀な技術者が相次いで外資系メーカーに流れる
となれば、日本企業は人材の面から崩壊しかねない。
同僚や先輩が転職すれば、その人的なつながりで
転職が加速することになる。
伝統的な日本企業は、今でも日本型の雇用システム
にこだわっている。
終身雇用を前提にした年功序列賃金をなかなか壊せ
ない。
その結果、市場価値が高い優秀な人材を薄給で放置
していることになるわけだ。
伝統的な日本企業は円安で潤った分を人件費に
ほとんど回していない。
多くが内部留保に回されているのだ。
それも業績連動の報酬ではなく、年功序列の報酬体系
になっているためだろう。
早急にこうした日本型の人事体制を見直し、中堅や若手
に国際水準の給与を支払うことが先決だろう。
東芝など日本の代表的な企業が経営危機に陥ると、
「日本の技術を流出させるな」といった議論が盛り上がる。
だが、いくら会社という「箱」が残っても、優秀な人材が
いなくなれば、技術力は守ることなどできない。
【転載終了】
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業績の悪い会社(倒産危機)の社員の心情は
よくわかります。
何度か書きましたが、自分自身も会社の倒産危機に
退職していますので。
私は、技術部で親会社の担当でしたので、
新規の仕事も出してこないことから、雰囲気の悪さを感じ、
2年持たないだろうと思い「早期退職募集」に応じました。
送別会の時何人かに「なぜ辞めるの?」と聞かれましたが、
「後進に道を譲る時期」だと答えていました。
まさか、「2年持たないで倒産するよ」とは言えないので。
私にすれば、「辞めない勇気の方がすごいよ」
と思いましたが。
実情は「親会社が潰すはずがない」という思いだったようです。
結果は、二年後の2月にいよいよ倒産という感じに
なってきましたが、3月末ギリで「第三者割当増資」により、
倒産は免れることができたようですが、
60名の人員削減が条件となったようです。
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