安倍政権の働き方改革、残業抑制で4-5兆円の所得減・・・
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【転載開始】
■安倍政権の働き方改革、残業抑制で4-5兆円の所得減
一時手当は効果に限界
政府が重要政策として実行中の「働き方改革」
によって、企業が雇用者に支払う残業代が年間
4─5兆円減少すると政府が見積もっていること
がわかった。
複数の政府筋が明らかにした。
このままでは、残業代を生活費に組み込んでいる
子育て世代などの消費に大きな影響が出かねない
ため、政府は経済界に対し、一時的な手当ても
含めたベースで3%の賃上げを要請し、減少する
所得の還元を目指す。
ただ、労組側やマクロ経済の専門家らは、
賃上げを手当て主体で実行すれば、
雇用者が所得増が一時的にとどまる可能性を意識し、
消費浮揚にはつながらないと指摘。
賃上げは雇用者の消費性向拡大に効きやすい
月例賃金の増加を軸に対応するべきだと主張している。
■残業規制の副作用、数兆円規模
政府筋の1人は、ロイターの取材に対し
「残業代カットの影響は、短期的におおむね5兆円程度
とみている。企業は若い世代に対し、手当てでよいから
還元してもらいたい」と述べた。
政府自身が推し進めている長時間労働の是正により、
当初から懸念されていた残業代の削減という副作用の
大きさについて、政府内で試算した規模を初めて示した。
5兆円は年間雇用者報酬の2%を占め、
減少を放置すれば消費減退につながりかねない。
大和総研は今年夏、残業が年間720時間に規制
されれば、雇用者全体で8.5兆円の減収との機械的
試算を公表。
今月に入り、短期的には年間4兆円程度の残業代
減少になるとの試算も示した。
残業規制をオーバーしている社員に代わり、
残業の少ない別の社員が業務を担当するケースが
考えられ、マクロ的に所得減少幅が縮小するとの
試算結果だ。
別の政府筋は「8.5兆円は過大だが、数兆円規模の
所得が数年にわたり減少するとみている」との見通しを
示す。
すでに残業時間の削減は大手企業を中心に始まって
おり、安倍首相が産業界に呼びかけている3%の
賃上げ目標は、残業規制による所得減に対応するため
にも必要だと述べている。
■手当てやボーナス含めば3%賃上げも可能と楽観視
特に30─40代の子育て世代では、2割弱が残業代を
生活費の一部に組み込んでいるとの調査結果があり、
政府としては、固定費拡大につながらない「手当て」での
支給を容認する方針。
また、月額賃金1万円増といった定額での賃上げを
選択すれば、給与の低い若手ほど増額率が厚くなるため
望ましいとの意見もある。
アベノミクス開始以降、定期昇給とベースアップを加えた
賃上げ率は2%前後で推移しているが、政府内では、
そこに手当てや定額での上乗せ分を加えれば
「3%の賃上げ実現も、そう非現実的とも言えない」
(先の政府筋)という楽観論も出ている。
これに対し経済界でも、政府の要請を深刻に受け止めて
いる。
経団連の榊原定征会長は時間外手当の大幅減少分を
原資とした従業員への還元が必要だとして
「消費性向の高い子育て世帯への重点配分ということも、
労使で知恵を出して考えていくべき」(10月26日の経済
諮問会議での発言)と述べている。
経団連は、政府の要請を踏まえ、春闘での対応方針を
検討中だ。
12月4日の正副会長会議で労使交渉の指針案を示し、
来年1月に春闘の指針となる「経営労働政策特別委員
会報告」(経労委報告)を決定する。
■一時的手当てでの還元に違和感
ただ、労組側やマクロ経済の専門家からは、
政府や経済界が「手当て」などでの補てんを議論の
対象としていることに疑問の声が挙がっている。
連合総合労働局の冨田珠代局長は
「残業規制に伴う働き方の工夫は、労使の知恵の
出し合いによるもの。(労働時間の短縮が可能に
なったということは)生産性が向上したということで
あり、月例賃金引上げで還元すべきだ」と主張。
手当てではなく月例賃金の引き上げで対応すべき
と主張する。
日本総研理事の山田久氏の分析では、所得の
増加分を消費に回す割合でみても、所定内給与
なら9割に対し、一時的なボーナスなどでは4割
程度にしかならない。連合では、これを踏まえて
「一時的な手当てでは将来不安が消えない。
持続的な賃上げで対応する方が経済の好循環に
つながりやすい」(冨田氏)との見方を示している。
その山田氏は「3%の賃上げを目指すなら、名目
成長率がそれ以上でなければ企業は動かない。
月例賃金アップを継続するためには将来の展望が
必要だが、成長産業に人材を振り向ける雇用流動化
や、国内市場縮小を食い止める人口減対策への
本腰を入れた取り組みは遅れている」と指摘。
「春闘賃上げや残業減など、安倍政権の政策は
部分的には正しいが、全体像が見える形になって
いない」と見ている。
目先の対策ばかりで、本来取り組むべき根本的な
課題が残されたままでは、いずれ効果にも限界がくる
と警鐘を鳴らしている。
(中川泉 編集:田巻一彦)
【転載終了】
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今のサラリーマンは、残業収入が可処分所得と
して大きな割合を締めていることに気付いていない
のでは?
逆に、企業としては此の残業代が大きな負担に
なっているのかも?
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