中東諸国も安倍元首相国葬にソッポ・・・
日刊ゲンダイDIGITAL
【転載開始】
■中東諸国も安倍元首相国葬にソッポ・・・
軍事協力強化に踏み切ったイスラエル
からの要人はゼロ
公開日:2022/09/24
2015年、ネタニヤフ首相とがっちり
握手をする安倍首相(いずれも当時)
岸田首相は、27日に行われる
安倍晋三元首相の国葬に弔問外交で各国と
の関係を強化すると述べてきたが、
これについてはジュネーブ軍縮会議代表部
大使、日朝国交正常化交渉政府代表などを
歴任した元外交官の美根慶樹氏は朝日新聞
(9月19日)で具体的な外交成果はほとん
ど期待できないと述べている。
外交的成果を上げるには緻密な準備が必要
であるし、葬儀の席上では各国代表同士の
具体的な意見交換も難しいからだそうだ。
美根氏の言葉を筆者の専門である
中東諸国に当てはめれば、緻密な準備も
なく、具体的な意見交換の前提になるほど
の要人が来ないから外交的成果を期待する
のは難しいということになる。
■親イスラエルに舵を切ったことで邦人
犠牲者が2人も出た
イスラエルはギラッド・コーヘン大使の
参加だけでイスラエル本国から要人は
まったく来ない。
昭和天皇の大喪の礼には
ハイム・ヘルツォーグ大統領が参列し、
エリザベス女王の国葬にはハイム氏の息子
のイツハク・ヘルツォーグ大統領が出席し
た。
イスラエル政治では実務は首相が担当し、
大統領は儀礼的存在だが、外国元首などの
葬儀には大統領が出席するのが外交上の
礼儀となっている。
閣僚クラスの参列もないことは安倍氏の
国葬が重視されていないということだろう。
安倍氏は首相在任時代、イスラエルとの
関係強化に熱心であった。
イスラエルとの安全保障協力を推進し、
日本の国家安全保障局とイスラエルの
国家安全保障会議との会合を行うことで
合意したり、日本で生産された部品が
イスラエルも使用するF35戦闘機に使用
されたりすることになった。
自衛隊幹部のイスラエルへの派遣、
サイバー・セキュリティや無人機に関する
協力も確認されている。
こうしたイスラエルとの防衛協力は
安倍政権が初めてで、安倍政権の
イスラエルに傾斜する姿勢はアラブ世界の
日本への良好な感情を損なう危険性を孕ん
でいた。
2015年1月、シリアで日本人2人が
「イスラム国(IS)」に拉致された時、
安倍元首相はイスラエルのネタニヤフ首相
との間で、イスラエル国旗の前で両国の
連携強化を確認した。
ISはそれに反発するように日本人の人質
たち2人の首を斬った。
安倍氏が親イスラエルとも言える外交に
舵を切ったのは彼が重視した対米外交への
配慮もあったのだろう。
米国はよく知られているようにイスラエル
最大の後ろ盾だ。
■昭和天皇の大喪の礼やエリザベス女王の
国葬と比較すると・・・
湾岸諸国に目を向けても要人らしい人は
やって来ない。
イランは大喪の礼では
モスタファ・ミールサリーム副大統領が
来日したが、安倍国葬には
ジャヴァード・オウジー石油相の参加が
予定されている。
オウジー石油相はイラン東部のアフワーズ
石油工科大学の出身で、国営イラン・ガス
会社のトップを務めるなど、ずっと石油関連
のポストに就いてきた。
イランが石油相を派遣する背景には日本に
石油を購入してほしいという狙いがあるの
かもしれないが、米国などとの核合意が再建
しない中で、イランからの石油・ガスの輸入
の再開は難しく、外交的進展は望めない。
サウジアラビアは、大喪の礼では後に国王
となる(在位2005~2010年)アブドラ皇太子
が出席した。
また、エリザベス女王の国葬には、
ワシントンポスト紙のコラムニストだった
ジャマル・カショギ氏の殺害を指示したとされ
るムハンマド皇太子が招待されると、
イギリス国内では反発の声が上がり、代わって
王族のトゥルキ・ビン・モハメド国務大臣が
出席した。
安倍国葬に参列するのはファイサル外相で、
イギリスが当初招待したムハンマド皇太子の
権力にはほど遠い。
ファイサル外相が今年7月に来日した際に
岸田首相は原油市場の安定に協力を要請して
いて、国葬の機会で何か目新しい進展がある
とは思えない。
UAE(アラブ首長国連邦)は日本の石油輸入
の割合では30%前後とサウジアラビアと並ん
で重要な国だが、大喪の礼では
現ムハンマド国王(当時は参謀副総長)が
参列したが、安倍国葬ではハーリド・アブダビ
執行評議会委員兼執行事務長とジャーベル産業
・先端技術大臣兼日本担当特使が参加する。
エリザベス女王の国葬にはムハンマド副大統領
が出席したのに比べると、やはり見劣りは否め
ない。
中東諸国の出席者を見ただけでも大喪の礼
という国葬と、あるいはエリザベス女王の国葬
と安倍氏の葬儀を「国葬」という同列に置いて、
16億円を超す高額の税金を費やす価値がある
のだろうかとあらためて思わざるを得ない。
中東諸国の側も派遣する人々を見ると、
安倍国葬で何らかの外交的成果を期待すると
いう意気込みや姿勢が伝わってこない。
ペルシャ語司法通訳・翻訳に携わっている
川嶋啓子さんによれば、イランの言葉
「パシマニー」という「後悔している」という
言葉は「どうしてこんなこと、しちゃったんだ
ろう」というニュアンスだそうだ。
引き返す勇気があれば、「どうしてこんなこと
をしちゃったんだろう」にはもちろんならない
が、岸田首相には国葬についても引き返す勇気
がなかったのだろう。
【転載終了】
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「理屈じゃないんだよ」と圧力を加えた
麻生氏にも責任はありますね。
一番いけないのは、もちろん決められな
い岸田首相ですが。
バカな政治家のせいで、日本が恥をかか
なければいいのですが。
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