物価上昇も給料は伸び悩み 医療・介護も負担増で家計直撃!
AERAdot.
【転載開始】
■物価上昇も給料は伸び悩み 医療・介護も負担増で家計直撃!
4月に入り、納豆は27年ぶり、
ビールは10年ぶりに値上げした。
他にも牛丼やインスタントコーヒーなど、
家計に響く商品の価格が上がっている。
物価が上昇しても給料がそれ以上に
上がるなら、生活は楽になるはずだ。
デフレ脱却を実現するために、
安倍晋三首相は毎年のように春闘で賃上げ
を求めてきた。
今年は「3%以上」の賃上げ目標まで掲げ、
経団連も各企業に同調するよう呼びかけた。
ところが、春闘の結果を見ると、
3%の賃上げにはほど遠い結果だ。
連合の春闘第2回回答集計(3月23日発表)に
よると、1216組合の平均で6508円、2.17%の
賃上げ。
この数字は、実は定期昇給分を含んでいる。
ベースアップ分が明確にわかる回答(814組合)
でみると、1948円、0.64%の賃上げにとどまる。
これに対し消費者物価指数は、生鮮食品を
除くベースで1月が前年同月比で0.9%、
2月は同1.0%の上昇。足元の物価上昇に、
ベースアップが追いついていないことがわかる。
つまり賃金が多少上がっても、それ以上に
物価が上がっているので、生活は苦しくなるのだ。
こうした傾向はこのところ続いている。
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、
物価変動の影響を除いた実質賃金指数は昨年、
前年を0.2%下回り、2年ぶりに低下した。
「企業の業績は好調だが、もうけたお金を賃上げ
に回さず、内部留保としてため込んでいる。企業側
が賃上げに慎重なのは、いったん引き上げると経営
が悪化しても下げにくいことがある。労組側も賃上げ
よりも雇用の安定を重視しており、強く要求しづらい。
物価は今後も上昇が見込まれていて、家計はなか
なか楽にはならない」(大手証券アナリスト)
これでは個人消費は伸びず、景気回復にも勢い
が出てこない。
第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストも、
こう指摘する。
「大雪もあって生鮮食品の値上がりが、消費者の
財布のひもを固くしている。年金収入で暮らす高齢者
にとっては、様々なものの値上げが消費の抑制要因
になる。株価も足元では下落傾向で、景気回復は
実感しにくい」
みずほ総合研究所の酒井才介主任エコノミストは、
ガソリン・灯油や生鮮食品、日用品といった身近な
商品の価格に消費者は敏感だと指摘する。
国内のレギュラーガソリン価格は原油高もあって、
足元では2016年の年初より2~3割近く高い。
こうした商品が高くなると、家計の「体感物価」は
上がりやすくなる。
「家計は目に見える物価だけでなく、内容量を減ら
すなどの実質値上げにも反応している。身近な商品
の価格がいろいろ上がっていることで、体感物価は
上昇している」
日本総研の小方尚子主任研究員は、食品や
ガソリンなど生活必需品の値上がりが、特に年金で
暮らすシニア層の消費マインドを冷え込ませている
という。
「シニア層の家計に占める食品やガソリンの割合
は非常に高くなっている。ここが値上がりすると、
消費マインドに大きく影響する」
物価上昇だけでも大変なのに、家計の余裕を奪う
負担増は目白押しだ。
例えば医療費。診療報酬の改定で、夜間や休日
に電話対応などをしてくれる身近な病院には4月から、
患者1人につき初診料が800円加算される。
患者の窓口負担は原則1~3割で、3割の人にとっては
240円の負担増だ。
医療機関が連携して在宅患者への24時間の往診
態勢などを整えると、患者1人当たり月2160円が加算
される。
窓口負担の月々の合計が上限額を超えると返って
くる「高額療養費制度」も、70歳以上の上限が8月から
一部で引き上げられる。
一般世帯だと外来費用は1万4千円が1万8千円になる
ため、月4千円の負担増になる人が出てくる。
自営業者や無職の人らが入る国民健康保険(国保)
の保険料も、自治体によっては4月から引き上げられる
ところもある。
3年に1度の介護保険料の改定も、4月から実施される。
高齢化に伴って介護保険の費用は膨らんでいて、
多くの市区町村で保険料が引き上げられる。
大阪市では65歳以上の基準月額が1169円上がって
7927円になる。
こうした医療や介護関連の負担増は、今後も続く見通し
だ。
値上げラッシュでただでさえ苦しい家計にとって、
将来の不安は高まるばかり。
少しでも蓄えておこうと節約志向になることで、個人消費
が低迷し、景気が改善しにくくなる悪循環に陥っている。
抜け出すには思い切った賃上げや、将来不安の解消が
必要だが、実現しそうにない。
景気が悪くならないように各家庭でできることは、
あまり悲観的にならず「お金を使うときは使う」ことぐらい。
値上げされたからといって敬遠せず、思い切ってビール
でも飲みに出かけたほうがいいのかもしれない。
(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2018年4月13日号
【転載終了】
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医療・介護の負担が増えるのはきついですよね。
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