中小企業を襲う「休廃業」「解散」恐怖の足跡・・・
人生100年時代の歩き方
【転載開始】
■中小企業を襲う「休廃業」「解散」恐怖
の足跡・・・賃上げムードどころじゃない!
公開日:2023/02/03
新型コロナは飲食店などの経営を直撃
(C)日刊ゲンダイ
「もう、あきらめた」。
中小・零細企業からはそんなタメ息が
聞こえてくる。飲食業などの経営を
直撃していた新型コロナは5月8日以降、
「5類」に移行する。客足も戻りつつ
あるが、賃上げムードの広がる大企業
とは違って、給与アップに踏み切れない
中小企業は人材流出の危機に直面。会社
をたたむしかないとの嘆きも・・・。
◇ ◇ ◇
■突然の閉店のお知らせ
閉店しました──。
横浜市にある駅前のこぢんまりした
イタリアンに張られた一枚の紙だ。
ほかに何の文字もない。閉店したこと
を告げるだけ。
「10人も入れば満席という小さな店で
したが、リーズナブルなうえおいしかっ
たので残念です。1月中旬に行ったときは、
ご主人は店を閉めるなんて一言も言って
いませんでしたから、突然、決めたので
しょうか。アヒージョがバツグンでした。
残念です」(50代女性)
このイタリアンは廃業を決めたのだと
いう。
コロナ禍で客足が落ち、一時はテイク
アウトでしのいだものの、赤字が続き店
を閉めた。
夫婦2人で5年ほど前にオープンしたばか
りだったという。
■倒産件数の約7.7倍
【休廃業・解散と倒産の件数】
/(C)日刊ゲンダイ
東京商工リサーチがまとめた
「休廃業・解散企業」動向調査によると、
2022年は2年ぶりに増加し、
全国で4万9625件に上った。
00年の調査開始以降、過去2番目の多さ
だ。
「21年はコロナ関連のさまざまな支援
があったので、休廃業・解散は前年を
大幅に下回りました。でも昨年は、原料
高や物価高、円安など悪材料が重なり、
廃業を選択した中小企業は増えたといえ
ます」
(東京商工リサーチ情報本部の増田和史氏)
22年の倒産件数は前年より6.6%増の
6428件(負債総額1000万円以上)だった。
休廃業・解散は、倒産の約7.7倍に達し
前年比で11.8%増。
倒産よりハイペースで増えている。
「コロナ前とは様子が変わっています。
22年は、休廃業する企業の黒字率が過去
最低を記録したのです。かつては経営自体
は黒字だけれども、後継者がいないなどの
理由で廃業を選ぶ社長がたくさんいました。
20年は黒字率は70%でした。22年は原材
料価格の高騰などで赤字へ転落し、仕方な
く廃業を選択するケースが増えています。
黒字率は54.9%まで低下しました」
(増田和史氏)
廃業を決めた冒頭のイタリアンも赤字
続きで、このまま赤字額が膨らむと倒産
もチラつく──余力のあるうちの廃業を
決めたという。
「休廃業・解散」と「倒産」の大きな
違いは、負債を残しているかどうか。
休廃業・解散は従業員の給与をキチンと
支払い、金融機関などへの借金も返済。
うまくすれば、手元に「次のビジネスの
ための資金」も残る。
一方、倒産は負債が残る法的整理だ。
とはいえ“会社が消える”のはどちらも
同じ。
従業員は路頭に迷いかねない。
■飲食業などサービス業が32%
産業別では、どの産業も前年より増加し
た。
構成比で見ると、飲食業を含むサービス業
が最多で32%を占める。
「飲食業は参入しやすい分、撤退もしや
すいといえます。しかも、コロナ禍の影響
をもろに受けたのは飲食業です。デリバリ
ー・持ち帰りも競争激化で、苦戦する中小
店舗は多い。大手の居酒屋チェーンなどが
“ゴーストレストラン”に進出し、ウーバー
イーツでもてはやされています。居酒屋
店内にブランドだけを変えて営業している
ゴーストレストランもあります。ハンバー
ガーや丼物など、専門店をうたう場合も
多いので人気です。商店街の小規模な飲食
店はデリバリー分野でも生き残りが難しく
なっています」(市場関係者)
22年の飲食業の倒産件数は522件と
前年比で2割ほど減ったが、休廃業・解散
は過去最多の1899件に上っている。
■介護事業者も大ピンチ
日本の会社員の約7割が中小企業の
従業員(C)日刊ゲンダイ
もうひとつ、休廃業・解散が過去最高
を記録したのが介護事業者だ。
「老人福祉・介護事業(介護事業者)」の
調査は10年以降ながら、22年は前年比
15.6%増の495件を記録した。
介護事業者は倒産件数も過去最多
(143件)。
コロナ禍の支援効果が薄れるなか、利用者
数は回復してこない。
物価高、コストアップが重なり、撤退せざ
るを得ない事業者が続出したことになる。
東京商工リサーチのリポートにはこう
ある。
<介護事業者の苦境は、家族を含めて誰も
が“介護難民”に直面する可能性を示唆する。
23年は休廃業・解散がさらに増勢を強める
可能性がある>
社長の平均年齢がより高齢化している
ことも、休廃業・解散の加速に拍車を
かける。
22年は秋田県の65.33歳を最高に、
全国平均は63.02歳と過去最高だ
(東京商工リサーチ調べ)。
「後継者不足は深刻です。高齢の社長ほ
ど業績悪化が進む傾向も調査結果から分か
っていますので、経営リスクはより高まっ
ているといえるでしょう」(増田和史氏)
コロナ前は倒産が増えれば休廃業・解散
は減少し、逆に倒産が減れば休廃業・解散
は増加する傾向が強かった。
いまは違う。
倒産が増え、休廃業・解散も増加という
最悪事態となっている。
日本の会社員の約7割が中小企業で働く。
賃上げムードに目を奪われていると、
ヒドい目に遭いかねない。
【転載終了】
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日本企業の99.7%が中小企業であり、
68.4%の労働者が中小企業です。
大手企業が値上げを続ければ、もの
が売れなくなり、さらに中小を苦しめ
ることになるのでは。
いい加減、内部留保にこだわらず、
内部留保を放出するときです。
内需を拡大するのは賃上げしかありま
せん。
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