「祖父は反戦政治家」安倍首相が決して語らない、 もう一つの系譜・・・
現代ビジネス 2017.02.21
【転載開始】
「祖父は反戦政治家」安倍首相が決して語らない、
もう一つの系譜「安倍三代」を辿って、見えてきたこと。
※抜粋。
■ 「オレは安倍寛の息子なんだ」
そんな苛立ちを募らせていた折、ニュース
週刊誌「AERA」の編集部から、安倍晋三と
いう政治家の素顔と本質を取材によって
描いてみないか、という提案が私に寄せ
られた。
正直、躊躇した。しかし面白い、とも思った。
政治記者ではなく、政界になんの伝手や
コネクションのない私だが、生い立ちにまで
さかのぼって周辺を徹底取材し、この男の
根本的な人間像をあぶり出す試みは、十分
に挑戦してみる価値がある仕事だと思った。
同時に私は、もっと大きな腹案を抱いた。
安倍政権を支持するにせよ、しないにせよ、
この男が現下日本政界における究極の
世襲政治家であることに異論はあるまい。
その系譜を取材によってたどれば、戦後
日本の政治史を「論」ではなく、ミクロな事実
の積み重ねによる俯瞰図として点描し、課題
と問題点を浮かび上がらせることができる
のではないか、と。
安倍晋三が母方の祖父・岸信介を敬愛して
いることは、あらためて記すまでもない。
だが安倍には、もうひとつの系譜がある。
父方の祖父・安倍寛もまた戦前・戦中に
衆院議員を務め、実は相当に反骨な
反戦政治家だった。
なのに、このことはあまり知られていない。
その息子であり、晋三の父でもある晋太郎は、
父・寛に憧れて政治の道を志し、口癖のように
周辺者にこう語っていたという。
「オレは岸信介の女婿じゃない。
安倍寛の息子なんだ」
岸の娘・洋子との結婚が晋太郎の政界に
おける跳躍台になったことは否めないが、
「安倍家」という視座で眺めた場合、岸信介
ではなく、国政への第一歩を記した安倍寛
こそが政治のルーツにほかならない。
なのに、安倍晋三が父方の祖父に言及する
ことは皆無に近い。
安倍寛とはどんな男だったのか。
そして、安倍晋太郎とは。取材は1年以上に
及んだ。
ずいぶん苦労はしたが、安倍寛は魅力的な
男だった。
安倍晋太郎も、ノンフィクションライターの心を
躍らせる数々のエピソードの持ち主だった。
ではいったい安倍晋三はどうか——。
■恐ろしくつまらない男
取材の成果は「AERA」誌で約10回、断続的
に連載し、それに大幅な追加取材と加筆修正
を施す形で先ごろ『安倍三代』(朝日新聞出版)
として上梓したから、興味のある方は拙著を
ぜひお読みいただきたいと思う。
ただ、核心部分の一端はここで紹介しておき
たい。
失礼ながら、恐ろしくつまらない男だった。
少なくとも、ノンフィクションライターの琴線を
くすぐるようなエピソードはほとんど持ち合わ
せていない男だった。
誤解してほしくないのだが、決して悪人でも
なければ、稀代の策略家でもなければ、
根っからの右派思想の持ち主でもない。
むしろ極めて凡庸で、なんの変哲もなく、
可もなく不可もなく、あえて評するなら、
ごくごく育ちのいいおぼっちゃまにすぎな
かった。
言葉を変えるなら、内側から溢れ出る
ような志を抱いて政治を目指した男では
まったくない。
名門の政治一家にたまたま生を受け、その
“運命”やら“宿命”やらといった外的要因
によって政界に迷い込み、与えられた役割
をなんとか無難に、できるならば見事に演じ
切りたいと思っている世襲政治家。
その規範を母方の祖父に求めているに
せよ、基礎的な教養の面でも、政治思想の
面でも、政治的な幅の広さや眼力の面でも、
実際は相当な劣化コピーと評するほかは
ない。
だからこそ、逆に不気味で薄ら寒い日本
政治の現在図が浮かびあがってくる。
このような男が政界の階段をあっという間に
駆け上がり、父方の祖父も父も射止められ
なかった宰相の座をやすやすと射止め、
しかも「歴史的」な長期政権を成し遂げつつ
あるのはなぜか。戦後70年、営々と積み重ね
てきた矜持が、劣化コピーのごとき世襲政治家
の後づけ的思想によって次々と覆されてしまっ
ているのはいったいなぜか。
政権や政権の主ばかりを批判していても
どこか詮無い。
課題や問題を抱えているのは、政治や政権
の側ではなく、むしろそんな為政者を戴いて
しまい、「歴史的」などと評される執権を許して
しまう日本政治のシステムと日本社会の側に
あるのではないか——それが1年以上にわたる
取材を終えた私の感慨である。
(文中敬称略)
【転載終了】
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日本の政治が、北朝鮮とは違った形での
偏りとなった原因が、この系譜から見えて
くるような気がします。
まるで、戦国時代の勢力図のような繋がり
のような感じですね。
父方の祖父の政治学も良く咀嚼していれば、
もう少しましな政治家になっていたかも・・・
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