自衛隊員の応募者10年で3割減、"第一線"で特に不足
西日本新聞
【転載開始】
■自衛隊員の応募者10年で3割減、
"第一線"で特に不足
「戦場」派遣に不安、ハラスメントも拍車
5/1(月)
政府が防衛力の大幅強化を掲げる中、
自衛隊員の確保が課題となっている。
応募者は過去10年で3割近く減少し、
人員は特に第一線を担う階級で不足。
少子化に加えて景気回復で人材獲得
競争が激化し、改善は見通せない。
ロシアのウクライナ侵攻などで若者に
広がる「戦場に赴くのでは」との不安
や、相次ぐ隊内のセクハラ、パワハラ
問題も拍車をかける。
沖縄県・宮古島近海で4月6日に起きた
陸上自衛隊ヘリコプター事故の影響も
懸念される。
「休日は自分の時間が結構ある」
「食事や寝具は支給され、家賃は一切
かからない」-。
高校生ら10人が熱心に耳を傾けた。
熊本市北区の陸自北熊本駐屯地で
あった自衛隊熊本地方協力本部(地本)
のセミナー。
戦闘車両の見学もあり、担当者が
「最高速度は何キロでしょう?」など
とクイズ形式で説明した。
同市の女性(18)は「意外に福利厚生
がしっかりしている」とうなずいた。
熊本地本は、兵器の見学を盛り込ん
だセミナーを2021年度から催している。
商業施設へのブース出展、「映える訓練
風景写真」の交流サイト(SNS)投稿…。
あの手この手で若者の関心を引く。
「採用は年々困難になっている」。
担当者の実感だ。
21年度の応募者は12年度の約11万4千人
から3万人減少。
18年以降は一部区分で採用年齢の上限を
6歳引き上げて32歳としたが、効果は
出ていない。
就職は売り手市場が続き、高卒の求人
倍率は23年卒がバブル期並みの3・01倍
に達した。
「『子どもが戦場に行く恐れがある』
と自衛隊を不安視する親が増えた。従来
なかったことだ」。
鹿児島県で隊員の募集相談員を20年以上
務める男性(73)は明かす。
同県では中国軍艦が屋久島近海で領海
侵入を繰り返している。
西之表市の馬毛島では自衛隊基地が着工。
ウクライナ侵攻もあり、軍事衝突の
可能性を身近に感じる環境にある。
男性はかつて「どうしたら入隊できる
か」との相談をよく受けたが、この1年は
若者や親に入隊を誘っても反応は薄いと
いう。
4月6日のヘリ事故では、同県も管轄する
陸自第8師団長らが犠牲になった。
男性は死亡した隊員の冥福と、不明隊員
の早期発見を祈りつつ「採用にも影響が
ないとは言えない」と語る。
昨年、元陸上自衛官の女性が隊内での
性被害を告発して社会問題化。
長崎県佐世保市の海上自衛隊佐世保基地
でも4月、護衛艦乗組員の自殺は上官の
パワハラが原因などとして、遺族が国を
提訴した。
「採用には大きなマイナス要因だが、厳
しい指導が必要な組織でもある。難しい」。
九州の陸自幹部はつぶやく。
陸海空などの自衛隊の定員は約24万7千人。
22年度は約1万4千人不足した。
第一線の核となる「士」の階級は充足率が
8割で、能力を保つ上での懸念材料となって
いる。
政府は当面、定員を維持する方向だが、募集
対象となる18~32歳は38年度までに
約260万人減る。
防衛省関係者は実態を踏まえ、「定員維持は
現実的でない」と語った。
(古川大二)
【転載終了】
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集団的自衛権行使で派遣されて殉職者
が出れば、更に減るでしょうね。
自衛官が減れば、米国の「海兵隊」
方式の徴兵制度になるかもしれないです
ね。
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