「年金カット」に今から備えよ 生涯現役は「前提」になる

 現代ビジネス


【転載開始】


 将来的には2割減もありうる!

 「年金カット」に今から備えよ 生涯現役は「前提」になる

 2018.07.04


■年金制度が破綻しないとしても…


 日本の公的年金は、自分が現役時代に

積み立てたお金を老後に受け取れる制度

だと思っている人がいるが、それは違う。


 日本の年金制度は賦課方式といって、

現役世代が支払った保険料で高齢者世代

を扶養するという考え方がベースになって

いる(年金制度の構築当初は違ったが、

場当たり的な制度改正を繰り返した結果

として賦課方式になってしまったとの指摘

もある)。


 子供が親の面倒を見るという家族制度を

社会全体に拡大したものであり、給付される

年金の原資は、基本的に現役世代が支払っ

た保険料である。

このため、社会の高齢化が進み、現役世代

の割合が減ってくると制度の維持が難しく

なるという特徴がある。


 年金をいくらもらえるかは、自分たちが払っ

てきた金額ではなく、現役世代がどのくらい

保険料を納付できるのかにかかっている。

もちろん、給付額の算定に際しては、現役

時代にいくら保険料を納めたのかについて

考慮されるが、制度の仕組みそのものと

しては、現役世代の支払い能力に依存して

いるという点を忘れてはならない。


 この仕組みが分かれば、公的年金の破綻

に関する議論がナンセンスであることが理解

できるはずだ。


 一部の識者は「日本の公的年金制度は絶対

に破綻しない」と言い切っている。

一方で別の識者は「日本の年金は危ない!」と

危機感を煽っている。


 未来のことについて「絶対」と言い切るのは、

知的議論としてかなり乱暴だと思うが、

それはともかくとして「制度が破綻しない」という

指摘は大筋合っている。

なぜなら、現役世代から徴収する分だけしか

高齢者に支払わないというのが日本の年金制度

である以上、仕組み上、破綻しようがないからで

ある(究極的には給付をやめてしまえばよい)。


 だが「日本の年金は危ない」という指摘もあな

がち間違っていない。

制度が破綻しないことと、現役世代から徴収した

金額だけで、高齢者がまともな生活ができること

はまったくの別問題である。

つまり日本の公的年金制度は、制度上、破綻する

ことはないが、高齢化が過度に進めば、実質的に

制度が機能しなくなるリスクを抱えているというの

が正しい認識である。


■公的年金の財政は慢性的な赤字


 では、日本の公的年金の財政状況は実際の

ところどうなっているのだろうか。

日本の公的年金は階層構造になっており、全員

が加入する国民年金をベースに、企業に務める

サラリーマンが加入する厚生年金が加わる。


 企業によっては厚生年金基金など、さらに金額

を上乗せする制度を設けているところもあるが、

公的年金制度の中核となっているのは国民年金

と厚生年金である。


 2016年時点において、現役世代から徴収した

保険料の総額(国民年金と厚生年金の合算)は

約36兆円となっている。

これに対して、高齢者に支払った年金総額は51兆

だった。


 保険料と年金額の差額は15兆円もあり、

現役世代から徴収する保険料だけでは到底、

年金の支払いをカバーすることはできない。

この部分については税金からの補填が行われて

おり、年間、約12兆円が支出されている。


 これでも高齢者に支払う年金の全額をカバー

することはできないので、何らかの手当てが

必要となる。

この役割を期待されているのが積立金の運用

である。


 これまで公的年金の積立金運用は、安全第一

ということで国債が中心だった。

だが安倍政権はこれを抜本的にあらため、

積立金の多くを株式などのリスク資産にシフトした。

この結果、公的年金を運用するGPIF(年金積立金

管理運用独立行政法人)は大量の日本株を購入

し、GPIFは日銀と並んで、多くの日本企業に

おいて大株主となった。


 今のところ株価は上がっているので、赤字の補填

が出来ているが、株式の運用は本質的に市況に

左右される。

常に運用益が確保できるとは限らないので、財政

当局は運用益に頼らずに収支を均衡させたいと

考えている。

今後、年金の給付額が減るのではないかとの懸念

はここから来ている。


■そろそろ年金給付の抑制が現実味を帯びてきた


 年金の給付を抑制しようという動きは、実は

政府内で着々と進められている。

年金を抑制する仕組みの中核となっているのが

2004年に導入されたマクロ経済スライド制である。

マクロ経済スライド制と聞くと、経済状況に応じて

年金額を調整するためのものというイメージを

持ってしまうが、実際は異なる。


 ごく簡単に説明すると、人口動態の変化に合わ

せて、年金の給付を抑制するための制度である。

つまり現役世代の比率が下がった分だけ、高齢者

の年金を減らすということである。


 ただ、この制度を導入して以後、日本経済はずっと

低空飛行を続けてきた。

年金給付を引き下げてしまうと高齢者の生活を直撃

するので、マクロ経済スライド制はこれまで1度しか

発動されていない。

だが、年金財政が逼迫していることから、そろそろ

制度の再発動が行われるとの見方が強まっている。


 もっともマクロ経済スライド制の発動は段階的に

行われるので、急に年金額が大きく減るということ

はないだろう。

しかしながら、筆者が大雑把に試算したところでは、

今と同じ経済状態が続くと仮定した場合、2040年の

段階でも年金財政には2割ほどの赤字が生じてしまう

(積立金の運用益を除く)。


 今後、日本の人口は急激に減ってくるので、高齢者

への年金給付総額も減少するが、現役世代はさらに

人口が減ってくるので(つまり高齢化はさらに進展

するので)、年金財政は好転しないのだ。


 したがって今後は、この差額を埋めるため、2割程度

を目安に年金の減額が段階的に進んでいくと考えた

方がよい。

仮に日本経済が驚異的に成長し、保険料収入が大幅

に増えれば、ここまでの減額は必要ないかもしれない

が、そうなったらラッキーというくらいにとどめておくべき

だろう。


■これからは生涯労働が当たり前に


 政府は同時に、年金の支給開始年齢引き上げに

ついても検討している。

4月に行われた財政制度等審議会では、年金の

支給開始年齢を現在の65歳から68歳に引き上げ

るプランが議論された。

政府は表立っては口にしていないが、定年後は

リタイヤするという従来の考え方をあらため、

生涯労働を前提とした社会保障制度へのシフトを

目論んでいる。


 支給開始年齢の引き上げが実施された場合には、

一生涯に受け取る年金額が減らないよう増額措置

を行うとしているが、先ほど説明したマクロ経済

スライド制による年金減額が発動された場合には、

結果として増額分は相殺されてしまうだろう。


 現状の年金財政について総合的に判断すると、

支給開始年齢の引き上げや、年金給付の減額は

避けて通れないと考えるべきである。

足りない分については、定年後も仕事を続けるか、

現役時代に蓄積した資産を運用することで副収入

を得る必要が出てくる。


 現役世代の負担については、現行制度では上限

一杯となっているので、当面、保険料の引き上げは

実施されない。

だが現役世代の負担増についても検討が行われる

可能性は十分にあり、その場合には、保険料が再度、

引き上げられることになる。


 確率は低いが、景気低迷がさらに深刻になったり、

金利が上昇して緊縮財政を余儀なくされた場合には、

話は根本的に変わってくる。

国庫負担が維持できないとなれば、さらなる給付の

引き下げもあり得るだろう。


 日本の公的年金は制度的に破綻することはないが、

状況が厳しくなっていることだけは間違いない。

よほど資金に余裕のある人を除いては、これからは

生涯労働を前提に人生設計を行うのが標準的になる

と筆者は考えている。


【転載終了】

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 この記事を見ていると、現役世代には

一つもいいことはないですよね。


 掛け金が増えて、支給年齢が引き上げられ、

さらに、支給額の減額(2割減で済めばいいが)。


 現役世代が、「バカらしいから年金をかけない」、

となったら、年金精度が破綻しますよね。


 そうなると、親の年金が頼りの介護ができなく

なります。


 2年ほど前に、「親を捨てる時代」という著書が

ありましたが、現実のことになる可能性があり得

るかも?


 これが、団塊の世代以降に少子化政策進めた

自民党政治70年の帰結ですかね。


 自民党の議員が年金制度を理解していなかった

ということもありますが、それでも、責任の一端は

国民にもありそうですね。


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