変動率「ゼロ」に近づく日本国債の低迷

東洋経済online


日本国債めぐる、かつてないほどの異常事態

市場低迷がもたらしかねない6つの副作用から抜粋


【転載開始】


■変動率「ゼロ」に近づく日本国債の低迷


 かつて、日本国債は証券会社間などで

活発に売買されていた金融商品のひとつだ。

ところが、2013年に日本銀行が異次元の

金融緩和を始めて以来、かつては1%弱

あった10年物国債の金利も徐々に下げて、

今やほぼゼロ%水準を維持している。


 利息がほとんど付かなくなった国債を

売買しても意味がないから、市場参加者

はどんどん減少し、さらに新たに発行され

る日本国債の大半は、日本銀行が買い

占めてしまう。


 今年6月には、証券取引等監視委員会が、

日本国債の先物取引で相場操縦をしていた

疑いがあるとして、三菱UFJモルガン・

スタンレー証券に対して2億1837万円の

課徴金を課すように勧告したと報道された。

取引の成立しない長期国債先物市場で、

意図的に大量の注文があったように見せ

かける「見せ玉」によって不正に価格を

操作した、とされている。


 こうした日本国債の取引低迷が以前から

あったのも事実だが、ここにきてその状況

がさらに深刻化したと言われる。

その理由は、4月に黒田東彦日銀総裁が

再任となり、改めて「物価目標2%を達成

するまでは現在の金融緩和策を堅持する」

と強調したためだ。

当初2年だったはずの異次元緩和が、

すでに6年経過した現在も続いており、

さらに今後も継続されることがはっきりした。


 実際に、3カ月物の銀行間取引金利を示す

「TIBOR(東京銀行間取引金利)」を予想して

売買する先物取引では、1989年6月の取引

開始以来、初めて「取引ゼロ」の状況に陥った。

そのTIBORの値そのものも2016年9月下旬

以降、ほとんど変化していない。


 また、金融商品の変動率(ボラティリティ)を

示すものに「VIX指数」というのがあるが、

日本国債の変動率を示す「S&P/JPX日本

国債VIX指数」も、6月あたりからじりじりと下落

しており、現在ではゼロ付近で推移し続けて

いる。

ボラティリティの大きさによって価格変動の

シグナルとなることから、別名「恐怖指数」と

呼ばれるVIX指数も、日本国債のボラティリティ

のなさを示している。


■安定的な収益確保ができた債券市場がなくなる?


 そもそも債券市場は、世界中にある金融

マーケットのひとつであり、その市場規模は

株式市場よりはるかに大きい。

国家が発行する「国債」をはじめとして、

公社や公団などの政府の関係機関が発行

する「政府関係機関債」、地方自治体が発行

する「地方債」もある。

これらを総称して「公社債」とも呼ばれる。


 そのほかに、企業などが発行する「社債」、

海外の国や公共機関、企業が発行する

「外国債」などもあり、それらを全部合わせて

債券市場と呼んでいる。

こうした債券市場は、全世界で170兆ドル

(1京8700兆円、2017年)にも達しており、

2012年に100兆ドル程度だったことを考えると、

ここ10年で急速な拡大を続けている。


 ブルームバーグTVによれば、「500年以上

の歴史を持つ債券市場で、市場最大の市場

規模になっている」そうで、世界的に見ても

現在の債券市場はバブルに陥っていること

がわかる。


 中でも、最大の市場規模を誇るのが米国

の債券市場だ。

現在の米国の債券市場は40兆ドル規模に

達しており、米国株式市場の時価総額

30兆ドルを10兆ドルも上回っている。


 一方、日本の債券市場も、日本国債だけで

1097兆円(2018年3月末)と、1000兆円を優に

超えており、日本も債券大国と言っていい

だろう。


 世界はいま株高に沸いているが、株式市場

に入ってきたマネーの多くは債券市場で調達

されたおカネであり、株式市場がバブルだと

いうことは、債券市場もバブルであることを

物語っている。

グリーンスパン元FRB議長も、「現在は株式

市場よりも債券市場がバブル」と発言。

債券市場のバブルに対して警告を発している。


 こうした債券市場で売買を行っている市場

参加者は、 銀行や証券の債券ディーラーや

債券トレーダー、債券ブローカーと呼ばれる

金融機関のプロをはじめとして、年金や投資

信託、銀行や証券会社、生損保といった機関

投資家、あるいはヘッジファンドといったプロの

運用機関、そして個人投資家などが債券市場

に投資している。

日本銀行といった中央銀行も債券市場の市場

参加者の一員だ。


 こうした債券市場の中核的な存在とは、

言うまでもなく「国債市場」だ。


 国が発行する債券は総称して「ソブリン債」

などと呼ばれるが、国債の金利はその国の

債券市場の中心的な存在であり、国債の金利

が下落すれば公共債全体や社債などの債券

金利も下落する。

場合によっては、株式市場や為替市場も、

国債市場の金利動向によって大きく動くケース

もある。


 国債の金利がゼロであるということは、

債券市場に参加している投資家にとっては

値動きがなく利益を上げられない市場という

ことになる。

現在のような状況は、銀行や証券会社と

いった債券で利益を生み出してきた金融

機関、あるいは年金や投資信託といった

機関投資家にとっては運用困難な時代と

言える。


 機関投資家などの多くは、やむをえず収益

をもたらしてくれる海外の外国債券や株式市場

に資産の一部をシフトさせることで、債券市場

での収益減少分をカバーしてきた。

いまのところ、GPIF(年金積立金管理運用独立

行政法人)が好成績を収めていることでも、

それは理解できる。


 しかし、もし株式市場や為替市場で大きな変動

が起こったとき、収益確保の道がなくなってしまう

可能性がある。

これまで株価が下落したり、急激な円高に振れ

たりしたときは、日本の国債市場などで安定した

利益を確保してきた。


 国債の金利がゼロに近いことも深刻だが、

先物市場なども含めてそのボラティリティがゼロ

に近く、市場参加者がいなくなってきていること

事態が大きな問題と言える。

実際に、1日数回の取引で終了し、あとはひたすら

動かないマーケットを見続けている債券ディーラー

などからすれば、電気代の無駄であり、時間の

無駄という声も聞こえる。

転職の時期だと考えている債券の専門家も少なく

ない。


■世界経済は再び景気後退局面に戻る可能性がある


 世界の金融市場の流動性が失われるという

ことは、これまで高く推移してきた新興市場の

債券市場や株式市場などから資金が逃避する

ことを意味し、世界経済は再び景気後退局面

に戻る可能性もある。


 日本国債の場合、日本銀行が特定の投資家

としてその大半を買い入れることで、金利を低く

保ち、債券価格としては異例の高値を維持して

きた。

このような状況がずっと続いている現状では、

日本銀行が出口戦略に向かったときに、

債券市場がどんな動きを示すのかの予想は

非常に困難となる。


 場合によっては、債券価格が大暴落し、金利

が急騰するケースも考えられる。

通常の状態では、世界一の債権国である日本

の国債が暴落するはずはないのだが、

国債も金融マーケットで売買されている以上、

債券価格が下落し金利が急騰することも十分

ありうる。


 とりわけ、すでに動き始めている「QEからQTへ」

の動きによって154兆円の流動性がなくなるとき、

どんな事態になるのか。

日本銀行、とりわけ黒田総裁にとってははじめて

の事態を経験することになる。

これまでの経験値が役に立たない可能性もある。


【転載終了】

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 実体経済や市場原理を無視して経済操作

したツケがいつ出始めるのか?


 ジム・ロジャースが予言したように、

日本経済を破壊した人物として、

安倍晋三と黒田東彦が歴史に名を残す

のか?


 一つ気になるのは、中国が米国債を

売却した時に、日本国債を大量に購入

しているようです(不気味ですね)。


 財務省が公表した最新のデータによると、

2016年に中国が買い入れた日本国債は

11兆2000億円で、2005年以来最高の水準

となり、「日本国債保有額が世界で最も多い国」

となったということのようです。


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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