EU諸国では「脱サマータイム」の声が高まっている。
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【転載開始】
■経済的メリットはなし、健康被害も大。
EU諸国では「脱サマータイム」の声が高まっている
2020年の東京五輪・パラリンピックを前に、
サマータイム(夏時間)導入を政府・与党が
本格検討に入った。
筆者が住むヨーロッパでは、現在サマータイム
を採用している。
3月の最後の週から2番目の週末の日曜夜中
2時に時計の針を1時間進ませて3時にする。
夜中の2時に態々起きて時計の針を進ませる
ことは面倒。
寝る前に針を1時間進めておくのが一般化して
いる。
だからいつも一定の時間に起床する人はその日
は1時間睡眠時間が少なくなる。
冬時間に戻すのは10月の同じ最後の週から
2番目の週末に同じ作業を行うのであるが、
今度は3時になった時点で時計の針を2時に戻す
のである。
だから、その日は1時間余分に寝ることができる。
この様な面倒な作業を欧州共同体の加盟国が
一致して行うようになったのは1981年からである。
もともとヨーロッパでサマータイム制度を広く
設けるようになったのは第一次世界大戦中の
1916年であった。
石炭の消費を節約するのが目的であった。
その後も賛否両論分かれていたが、1970年代の
石油危機が発生してから石油消費の節減という
のが主要課題となって1974年にヨーロッパ全域で
サマータイム制度が普及するようになった。
■欧州ではサマータイム廃止の声が高まる
ところが、最近になって時間変更に反対する
意見が多くなっている。
この制度の廃止に向けて欧州議会で審議
するように要請したのはサマータイム制度
反対に7万7000人の署名を集めたフィンランド
であった。
フィンランドの夏は日没時間は僅かで、
冬になると逆に日照時間がほんの僅かとなる。
このような環境下でサマータイムの採用は
省エネという面においても意味がないのである。
むしろ、体調管理に弊害があることが問題視
されている。
結局、フィンランドが提案した動議は欧州議会
で賛成384、反対153、棄権12という採決となり、
これについて調査委員会が設けられることに
なっている。その前に、欧州委員会は加盟国の
市民の意見を聞きたいとして8月16日までネット
を通して市民が賛成か反対かの意見を伝える
ことができるようになっている。
これで集めた意見を参考にしてサマータイム
制度を廃止するか否か同委員会の方針を決め
たいとしている。(参照:「Bolsamania」、「SER」)
■ポーランドはすでに脱サマータイムを決定
しかし、この決定を待つまでもなく、欧州委員会
の反逆児ポーランドは、来年からサマータイム
制度を採用しないという方針を固めている。
同様に、ヨーロッパの中央部から北部に位置
するドイツ、ベルギー、オランダ、スェーデン
そしてフランスも省エネへの効果は少なく、
むしろ体調管理に弊害が多いとしてこの時間
変更制度に反対してサマータイムの廃止に
強い関心を示している。(参照:「Bolsamania」)
南欧でもサマータイムの採用に反対する意見
が次第に増えている。
スペイン時間合理化委員会(Arhoe)の会長
ホセ・ルイス・カセロは、欧州共同体での
サマータイム制度の廃止を主張している。
彼は「時間の変更は健康維持に有害であり、
それを専門家も裏付けしている」と述べ、更に、
「経済面以上に、市民の福祉が大事で、
ヨーロッパ市民の健康と休息が最も重要である。
24時間の生活の周期を変えるということは全て
の人間に悪影響を及ぼすものだ」と強調した。
(参照:「El Economista」)
■サマータイム制で危惧される健康被害
2008年のスェーデンでの研究では、
サマータイムに変更して最初の3日間で、
心臓発作が生じる可能性が5%高くなると
いうことが明かにされているという。
また、別の研究では、時間を変更した翌日月曜
は交通事故に合う可能性が高いという報告もある
そうだ。(参照:「El Pais」)
ムルシア大学の生理学教授で、時間生物学
研究所の所長でもあるフアン・アントニオ・マドリード
は、「良い眠りに就くためには日没後少なくとも
2時間余り周囲が暗くなっている時間帯が必要だ」
としている。
サマータイムを採用すると、時間が1時間進むこと
によって日没時間が遅くなるため、
「結局、睡眠時間が30分から40分少なくなる」と
指摘している。
■サマータイム制のメリットは?
勿論、サマータイムの維持に賛成派もいる。
それによって、日照時間が増えることによって、
仕事を終えた後も街はまだ明るいのでエンジョイ
できる余暇の時間が増える。
特に、南欧は観光業が盛んで、観光者の
消費意欲をそそるにはサマータイムの採用は
最適である。
ただ、ただでさえサービス残業などが問題と
なりがちな日本企業で、そのメリットがどこまで
活かせるかは疑問が残る。
筆者自身も時計の針を前後させることに無駄
を感じている。
時間が変更になる前日の寝る前に私は時計の
針を調整してから寝ることにしているが、
無駄な作業だといつも感じている。
【転載終了】
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日本という国は、後発発進で他国が止め
ようという時に始める国ですよね。
というより、今回の場合は五輪対策であり、
批判が出て「恒久的」と言い出しましたね。
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