米中貿易戦争の行方・・・
田中宇の国際ニュース解説
【転載開始】
米中貿易戦争の行方から抜粋。
▼トランプの米中貿易戦争は軍産の賛同を
得たので経済界に反対されても長期化する
米国との貿易戦争が長引くほど、中国は、
自動車やハイテク製品、 航空機などの多分野
で、米国から の輸入品を代替する国内産業を
育成していく。
このまま2-3年ぐらいすぎてから米国が
中国への懲罰をやめて 関税を下げても、
その時に中国では、米国製品を代替する国内
製品、もしくは中国と良い関係を維持する
欧州や韓国などの製品で穴埋めされ、米国
から中国への輸出は元に戻らず 伸び悩む
ことになる。
トランプの懲罰関税は中国側の報復策を生み、
世界最大市場になる中国における米国製品の
売れ行きをみすみす 悪化させる愚策となって
いる。
トランプが中国に懲罰関税をかけた理由
の一つは、中国が米国企業の産業ノウハウの
知的所有権を盗み、中国の製造業の発展に
使っている 点だとされる。
トランプは、懲罰関税によって対米輸出でき
なくなって困窮した中国勢が、米国から知的
所有権を盗みだすのをやめるのを期待して
いるという。
だが、この点も実際は逆効果だ。
中国が対米自立し、世界経済が 米国側と中国
側に分割されてしまうと、中国は、米国に制裁
されても困らなくなり、米国勢の知的所有権を
守ろうと いう意識もなくなる。
中国は、米国(や欧日)から産業ノウ ハウを
とんどん盗み、発展を加速する。
トランプ政権は、懲罰関税で中国を 困窮させ
ると言っているが、実際に困窮しているのは、
米国(欧米日韓)企業だ。
売れ行きだけでなく、製造面でもそうだ。
企業が、製造拠点を中国から東南アジア など
他の新興諸国に移せば、トランプの懲罰関税の
対象から外れる。
だが、電子機器など高付加価値製品は、産業
インフラが整ってきた中国以外の 新興諸国で
作れないことが多い。
新興諸国の中で、中国並みの賃金など のコスト
で、中国並みの品質の製品を 作れるところが
少ない。
もっと付加価値が低い繊維製品などは、すでに
中国でなく、もっと賃金が安い 国々で作られて
いる。
米国(欧米日韓)企業は、高付加価値 製品の
製造拠点を、中国から他の国に 移すことが
できず、困っている。
トランプの対中貿易戦争は、 金融面でも
米国の覇権を破壊して いく。
中国が世界の製造業の下請け だった従来は、
中国が米国(など世界) に輸出したドル建て
の代金で米国債(など米金融商品)を買って
保有し、貿易の赤字分の資金が米国に還流し、
米国の政府や金融界がどんどん借金 を増やし
(債券を発行し)ても金利が低く維持され破綻
しない構図を維持 していた。
中国は日本と並び、世界最多額の米国債を保有
してきた。
米国では今後、中国への懲罰関税 をやめて
くれという圧力が、米産業界からトランプ政権
に対して高まりそうだ。
だが、トランプは課税をやめそうもない。
米国の経済界では反対論が多いが、政界では、
トランプの敵だった軍産複合体が、中国敵視の
懲罰関税に賛成し、共和党も民主党も、軍産系
のタカ派議員たちがトランプの中国 戦略を支持
しているからだ。
軍産はトランプの対中関税を、中国との
「経済冷戦」と呼び、永続化 することを狙って
いる。
軍産は、マスコミに歪曲報道をさせら れるので
強い。
今はまだ「トランプのやっていることは 全部悪い」
という軍産仕込みの歪曲 報道の一環として
「トランプの対中 関税は米国のためにならない」
という 正論が出ているが、今後しだいに対中関税
を支持する報道が増える だろう。
米中貿易戦争は、おそらく来年の 今ごろになって
も続いているだろう。
アリババの馬雲は、米中貿易戦争は30年続くと
言っている (永続するほど中国に有利なので
「中国万歳」という意味を込めて)。
トランプの対中貿易戦争は、金融面でも米国
の覇権を破壊していく。
中国が世界の製造業の下請けだった従来は、中国
が米国(など世界)に輸出したドル建ての代金で
米国債 (など米金融商品)を買って保有し、貿易
の赤字分の資金が米国に 還流し、米国の政府や
金融界が どんどん借金を増やし(債券を発行し)
ても金利が低く維持され破綻しない 構図を維持
していた。
中国は日本と並び、世界最多額の米国債を保有
してきた。
トランプは世界との貿易に懲罰関税 をかける
だけでなく、米国が敵視する諸国・諸勢力がドル
を使った国際決済 を行うことを禁じる経済制裁を
発動して いる。
すでに書いたように米政府は最近、中国がロシア
から兵器を買っていること を理由に、中国政府の
軍事部門にドル 決済を禁じる制裁を発動した。
トランプは、中国がイランから石油など を買い
続けていることも、ドル決済を禁じる制裁の対象
にしようとしている。
中国は、トランプから制裁されるほど、ドルでなく
人民元での決済を拡大し、 米国に制裁されそうな
他の諸国にも、人民元での決済を勧めている。
同様に、欧州のEUも、トランプのイラン 制裁を
不当行為
とみなし、欧州企業がドルでなくユーロでイランや中国や
ロシアと取引できる決済システムを 急いで構築している。
トランプが懲罰関税と経済制裁をやる ほど、ドルが世界的
に使われなくなり、貿易黒字の国がドル建て債券を買う
傾向も減る。
まだ今のところ、中央銀行群のQE資金 があり、トランプ
による金融バブル扇動策 も奏効しているため、米国の
金融相場は 高止まりを続けている。
だが、このバブル膨張策の効果がいずれ 減ると、中国や
EUやロシアがトランプの 制裁戦略を嫌って非ドル的な
国際決済網を構築している効果の方が大きくなり、米国
の金融財政の崩壊(債券や株の 大幅下落)が起きる。
トランプが懲罰関税と経済制裁は、世界の経済システム
を、既存の 米国覇権体制と、中国やEUやロシア などが
作る非ドル・非米型の多極型体制の2つに分割する流れを
招いて いる。
米国側は金融(バブル)主導であり、中国側は製造業
(実体経済)主導だ。
欧州は、米国から離れ、中国に近づ いている。
欧州の対米自立が加速している。
日本は、安倍首相が訪米して改めてトランプに擦り寄る
試みを行い、日本側がとても嫌がってきた日米FTA の
交渉もやりますと言って煮え湯を 飲んでみせ、トランプを
なだめて日米貿易戦争の矛を収めてもらおう としている。
だがトランプの目標は対米従属諸国 の振り落とし
(覇権放棄)であり、日本が擦り寄ってもトランプは日本
を邪険に扱うことをやめないだろう。
カナダも「NAFTAはメキシコとだけで 良い」とトランプ
に言われるなど、ひどい目に遭い続けている。
日本の軍産である外務省と傀儡 勢力は、米中経済冷戦の
勃発に 喜んでいるようだが、それはぬか喜びに終わる。
軍産は、米国でも日本でも、間抜けに早合点させられる方向
にねじ 曲げられている。
軍産と対照的に、安倍首相は10月 に訪中する予定を保持
している。
長期的に、米国の覇権が衰退し、中国がアジアの地域覇権国
になって いく以上、安倍は、一方で短期策としてトランプに
擦り寄りつつ、他方で長期策として中国に擦り 寄っていか
ざるを得ない。
【転載終了】
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前から言われていたのが、
「トランプは米国の覇権を終わらせようとしている」
というのです。
そして、中ロ欧は関税問題よリかなり前 から
貿易をドル決済から、「元」や「ルーブル」、 「ユーロ」
で行えるような動きがありました。
米国は経済で孤立すると、いずれ中国は 経済と軍事力
で米国を凌駕するようになり、米国の軍事的な行動も制限
されるように なる可能性があるでしょう。
その時、日本はどのような対応をするの でしょうか?
中ロとのパイプを太くする必要がありそう です。
そのためには、いまから中ロとのパイプ のある政治家
で経済連携を詰めていく 必要がありそうですね。
中国が不快に思っている安倍首相では 難しいような
気がしますが?
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