「普天間飛行場の返還」「辺野古新基地建設の阻止」を強調した玉城新知事。
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【転載開始】
玉城デニー・沖縄県知事、基地問題について
「日米両政府との対話」を求める。
「対話をしないのは安倍政権にもマイナス」
■就任会見で「普天間飛行場の返還」
「辺野古新基地建設の阻止」を
強調した玉城新知事
辺野古新基地が最大の争点の
「沖縄県知事選」(9月30日投開票)で、
8万票差をつけて圧勝した玉城デニー 知事
が10月4日、台風25号接近による暴風が吹き
荒れ始める中で沖縄県庁 に初登庁した。
午前10時すぎに県庁前に到着し、入口で
花束を受け取った玉城知事は、 職員や支援者
の拍手で出迎えられた。
その後、県選管からの当選証書授与、 副知事
からの事務引継ぎ、台風襲で設置された災害
対策本部の会議出席と、矢継ぎ早に公務を
こなした。
そして14時前からは初の就任会見に 臨み、
「翁長雄志前知事の遺志を引継いで、辺野古
新基地建設阻止を貫く」ことを強調したのだ。
「政府は今もなお『普天間(飛行場存続)
か辺野古(新基地建設)か』と県民同士に負担
をつけ替えて、新たな犠牲を押しつけようと
しています。心ない分断を乗り越えるために、
翁長前知事の遺志を引継ぎ、今こそ県民が心
を一つにして、誇りのある豊かな沖縄を実現
していく必要があります。
私は政府に対し、対話によって解決策を導く
民主主義の姿勢を求め、普天間飛行場の一日も
早い閉鎖と返還、そして辺野古新基地建設の
阻止に向けて、全身全霊で取り組んでまいり
たいと考えております」 (玉城知事)
■「県の辺野古埋立承認撤回」の適法性を
政府に訴えていく
この決意表明を受けた後の質疑応答では、
辺野古関連の質問が相次いだ。
――辺野古移設反対の民意がこの選挙で示さ
れたと思いますか。
玉城知事:
私は衆議院議員を務めていた時から辺野古
新基地建設には反対という立場を明確にして
おり、4年前の翁長知事の選挙の際にも訴え、
(2014年)12月の私の選挙の時にも
「私も翁長 知事もともにぶれない」と掲げて
選挙を戦いま した。
ですから今回の争点も、まさに翁長知事が
県民との公約を、命を削ってまで果そうとした
辺野古新基地建設反対について、多くの県民
の方が高く評価していただいた結果が、今回
の勝因にもつながったというふうに思っており
ます。
――玉城知事は選挙戦で「辺野古埋立承認の
撤回を、全面的に支持する」と訴えてい ました。
今後、国が執行停止などの対抗措置 を取って
くる場合にどう対応するのか、具体的 に辺野古
新基地をどのように止めていくので しょうか。
玉城知事:
「県は公有水面埋立法の主旨にそって、適法に
承認取り消しを行った」と私は考えております。
国からどのような対抗措置がなされても、承認
取り消しの理由や政府の当時の強行姿勢や、
環境保全への配慮のなさ、辺野古新基地建設は
基地負担軽減にはならないこと(を訴えたい)。
そして、沖縄に200年耐用年数のある基地を
作ることから考えても、将来の過重な基地 負担
を押しつける、いわゆる無責任さについては重い
問題であることを訴え、県の主張が 認められる
ように全力を尽くしてまいりたいと 考えており
ます。
(具体的手段については)県民が選挙で明確
に示した辺野古新基地反対の民意を 政府に訴え
ることはもちろん、県が法律にそって判断した
「公有水面埋立承認撤回」 に対しても当然、
県の判断に従うことを求め まいります。
この沖縄県の民意を国際社会にも、 あらゆる
ツールを通じてしっかりと訴えていって、共有
できる価値観を広げていき たいとも思ってい
ます。
■翁長前知事と同じ「いばらの道を行く」覚悟
――翁長前知事は当選証書を受け取った 場で、
辺野古移設阻止の厳しさを認識して 「いばらの
道を歩む」という言葉で覚悟を 示されました。
辺野古問題に関して、今の 就任を受けて覚悟の
ようなものをどのように表現されるのでしょう
か。
玉城氏:
私は当然、この今までの経緯の状況から見て
「辺野古新基地建設を断固阻止する」 という
翁長知事の姿勢を高く評価しております。
私もぶれずに「辺野古新基地反対である」とい
う考えで、有権者との皆様との公約を守る ため
に取り組んできたものであります。
ですから当然、これから辺野古新基地建設
を断念するためのさまざまな取り組みを私も
取っていく考えであります。そういう意味から
すると、当然「いばらの道を行く」という翁長
前知事の思いと私の思いが重なるところが ある
と思います。
しかし私は、この辺野古新基地建設と普天間
の移設については、対話の窓口をアメリカと
日本政府に求めていくということも、新たに
始めていく必要があるのではないかと思います。
ですから、いばらの道ですが、そこにいばらが
あれば、踏みしめて行く、乗り越えて行くという
覚悟が必要ですし、そのいばらをかき分けて
行って、その先に本当に安心安全な県民の求めて
いる未来が必ず見えてくるということを 信じて、
私は突き進んで行きたいと思っています。
■「対話の必要性」を日本政府にもアメリカにも
求めていく
――第4次安倍改造内閣は、官房長官も防衛大臣
も沖縄担当大臣も「従来の方針に変わり はない」
と言っています。翁長さんが4か月も 官房長官に
会えなかった4年前の経験を踏ま えて、いつ頃
どういう形で政権中枢に会いたい と考えている
のでしょうか。それから「対話の 窓口を求めて
アメリカとの交渉を進めていく」 というと、
例えば駐日アメリカ大使とか、そういう方と
積極的に会う考えはあるのでしょうか。
玉城知事:
前の翁長知事が数か月間、総理をはじめ官邸の高官
と会えなかったことは、政府の取るべき 姿勢では
なかった。このことに皆様から批判が上っていた
ことはご承知のことと思います。
私は速やかに面会を申し入れて、そこはまず
は挨拶から申し上げさせていただき、そこから
辺野古・普天間の問題を沖縄だけの問題にしない
ために、日米安全保障の根本的な問題 について、
そこから意見交換を始めてもいいの ではないかと
(考えています)。
今回の民意が示された私の選挙結果、さらには
条例制定6か月以内に施行される県民投票も踏まえ
て、「できれば、これ以上沖縄に 基地は作らない」
「普天間は1日も早い返還が 道理である」という
この沖縄県民の思いを、片方の当事者であるアメ
リカに対しても、 あらゆるチャンネルを通じて訴え
ていきたい と思います。
そのためには当然、アメリカにも足を運び ます。
政府当局、議会、あるいは民主主義を共有する立場
で行動するアメリカの住民 や市民団体、平和を
希求する退役軍人の 皆様などなど、この私たちの
行動に賛同してくれる方々と、この基地問題を通じ
て、私たち が訴えている民主主義の本質を含めた
「対話の必要性」を(日本)政府にもアメリカにも
求めて行きたいと考えています。
■「対話をしないのは、安倍政権にもマイナス」
初登庁日の会見は、災害対策本部の会議への出席
によって当初の予定より大幅に短く なり、30分足ら
ずで打ち切られた。しかし筆者 は、当選翌日の10月
1日、選挙事務所で玉城 知事の話を聞くことができた。
その内容も紹介したい。
――県知事選で辺野古新基地反対の民意が 示された
ことを受けて、安倍総理に訴えたい こと、伝えたい
ことは何ですか。
玉城知事:
「ぜひ玉城デニー沖縄県政と協議、話し合いを する
姿勢を持ってください」ということです。どういった
ことを話すのかについては個別具体 的な話があります
が、基本的には「沖縄県と政府が話し合う場を作る」
ということを示して くださいということです。
(国と沖縄県の法廷闘争について)いじめられている
側が「いじめられた」と言っているのに、「それが
いじめであるのかないのかは、訴えた 方が証明すべき」
というのは理不尽な話です。 我々は事実を述べている
のに放置されている。 ということは、結果的に差別
されているのでは ないか。
――辺野古新基地建設が土砂投入直前になっている
状況に、どう抵抗していくのでしょうか。
玉城知事:
これは個別具体的な戦術なので私が明らかにするわけ
にはいきませんが、あらゆる手段を 講じて辺野古新
基地を作らせないということ です。理不尽なことに
対しては、「それは おかしい」と思う人たちのうねり
になっていく。
日本政府、安倍政権はそういううねりをわざと起こ
させたいのでしょうか。「そういうことが 起きるのを
予期して、(わざと)対話せずに 法廷闘争に出るのか」
という疑問の目が、 世界から向けられると思います。
それは安倍 政権に対して非常に大きなマイナスで、
窮地 に追い込まれてしまうことになると思います。
「日本国民の要求に対して一顧だにしない」
「仮想敵国を煽って、必要以上に防衛装備に 予算を
かけようとする」という安倍政権への 批判がもっと
強くなっていくでしょう。辺野古 の件も法廷闘争だけ
の話にならないよう、 我々もあらゆる手段を講じて
抵抗していきます。 その時に私が持っているアメリカ人
と日本人 のハーフというアイデンティティが多分、
どこか で役に立つことが出てくるかも知れません。
■翁長前知事も当選後、新基地建設よりも「対話」の
重要性を説いていた
安倍政権が、翁長県政時代と同じような「対話
なき法廷闘争」を続けた場合には、「アメリカを
含む国際社会に、沖縄の民意を伝えて徹底抗戦を
する」と玉城知事は予告したといえる。
ちなみに筆者は4年前、翁長前知事が当選した
翌日にも同じ質問をしていた。
――安倍総理は県知事選の結果のいかんにかかわらず、
新基地建設を強行しようとしています。 安倍総理に
おっしゃりたいことはありますか。
翁長知事(当時):
その時(基地建設を強行した時)には、安倍総理
の「日本を取り戻す」というのがいかにゴマカシ
であるのか、ということがよく分かってくると思い
ます。そして民主主義国家・自由主義国家として、
アジアの同じ価値観を持った国同士で「手を結び
ましょうよ」という中で沖縄の基地問題を解決しな
ければ、日本を民主主義国家として誇ることは
できない。だから日本が今一度原点に帰って “誇れる”
ようにするには、沖縄の基地問題を解決しなければ
ならない。そうしないと、日本という国 は世界から
変な目で見られるのではないかと思い ます。
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安倍政権の強硬姿勢を世界中に訴えて国際的
包囲網を作ろうとしている点でも、玉城知事は
翁長前知事の遺志をしっかりと引継いでいると
いえるのだ。
【転載終了】
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基地問題も、以前とは少々風向きが変わって
きたかなという感じを受けます。
ここも、安倍政権尾やり方次第では、強い逆風
が吹く可能性がありますね。
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