特別背任罪は遠く、暗雲漂う捜査・・・

 AERA dot. 12/16(日) 配信 

 週刊朝日オンライン限定記事 


 【転載開始】 


 ■日産・ゴーン前会長の身柄拘束は不当? 

 特別背任罪は遠く、暗雲漂う捜査 


 電撃の逮捕から1カ月、検察は 

行き詰まったのか。 


  日産自動車のカルロス・ゴーン前会長 

の金融商品取引法違反(有価証券報告書

の虚偽記載)は捜査の入り口に過ぎず、 

あくまで本丸は特別背任―。 

関係者の多くはそんな予測を立てながら、 

東京地検特捜部の捜査を見守っていたに 

ちがいない。 


 だが、ふたを開けてみれば、 

12月10日の再逮捕容疑は1回目と同じ 

金商法違反だった。 


 ゴーン氏とグレッグ・ケリー前代表

取締役が共謀して、15~17年度の役員

報酬を約43億円も有価証券報告書 

(以下、有報)に過少に記載していたと 

いうもの。 

これで10~17年度の虚偽記載容疑の 

総額は、90億円を超える。 

同時に検察は2人を金商法違反の罪で 

起訴した。 


「特別背任などが立件できるのであれば、

それで再逮捕していたはずです。 最初

から材料などなかったのでしょう」 


 元特捜検事の郷原信郎弁護士は、 

そう突き放す。  


 「最初の5年分と、今回の直近3年分の 

虚偽記載は実質的に同じ犯罪です。それ 

を分割して逮捕をくり返し、40日間も勾留 

することは不当な身柄拘束というほかない。 

国際的な非難に耐えられないと思います」  


 ゴーン氏をめぐっては、リオでコンサル 

タント会社を経営する姉と実体のない 

業務契約を結び、約10万ドル(約1100万円) 

を経費から支出したとして、日産側が提訴 

している。 

また、海外に高級住宅を会社に買わせて、 

自宅として使用していた疑惑なども取り 

沙汰された。 


 だが、特別背任や横領などの罪に該当 

する可能性は低いという。 

青山学院大大学院会計プロフェッション 

研究科の町田祥弘教授が指摘する。 


 「特別背任は大変重い罪ですから、立件 

のハードルを高くしてあるのです。お姉さん 

への支出も金額的に大きいとは言えない。 

経営者が自分の家族をファミリー企業に 

あてがって、役員報酬を支払っていたなど 

という話は不適切ですが、珍しくありません。 

ゴーン氏を逮捕するのなら、他にも多くの

 経営者を逮捕すべきだということになるで 

しょう。海外の高級住宅も会社に損害 与え

たとまでは言えず、ゴーン氏の使用実態も

調べようがないと思います」 


 ゴーン氏は退任後の報酬を記載しなかった

ことについて 

「あくまで希望額で、将来の支払額は確定

していない」と供述している。 

公判でも同様の主張をくり返すことになる

だろうが、前出の郷原氏はこう語る。 

「現実に報酬を受け取っているわけでも 

ない。将来の支払いの合意に過ぎず、 

犯罪の成立には非常に疑問がある。 ゴーン

とケリー両氏を罪に問うのなら、同じ代表

取締役である西川(広人)社長だけが不問

というのは理解できません」 


 郷原氏によれば、今回の虚偽記載で罪と

なるのは「虚偽の記載をすること」では

なく、

「虚偽の記載のある報告書を 提出すること」。 

犯罪の主体は有報の提出義務者で、 

日産の場合は代表取締役CEOだ。 

西川氏は17年4月からCEOの任にある。 

虚偽を記入することじたいが犯罪となる 

政治資金収支報告書の虚偽記載とは、異なる

ところだという。  


 「いずれにしても無理筋の逮捕・起訴 

であり、裁判所は無罪判決を出さざるを

得ないのではないか。そうなれば、検事

総長の責任問題に発展するかもしれません」

(郷原氏) 


 一方、町田教授はゴーン氏が報酬を受け

取ることが確定していて、意図的に金額

などを隠そうとした証拠などがそろって

いれば、有罪になる可能性が 高いと見る。 

有報の経営者報酬欄の虚偽記載は株主の

重要な判断事項になるからだ。 

だが、仮に有罪判決が出たとしても、 

執行猶予がつくことが考えられるから、 

身柄の拘束に対しては疑問を呈する。 


 「もし今回、グローバル企業のトップを

逮捕しておいて、有報の虚偽記載という

形式犯だけで終わってしまった ら、大問題

になるのではないでしょうか。例えば、

日産の株が不当に売買される事態が生じる

ような緊急性があるとは考えられませんし、

証拠もすべて押収済みのはずです。2人とも

外国人で国外逃亡の恐れがあると判断した 

のかもしれませんが、勾留の延長にはやはり

疑問が残ります」  


 ゴーン氏らは、日産の臨時取締役会で会長職

と代表権を解かれたが、いまなお取締役の立場

にある。  


 「取締役の解任は、株主総会でなければでき

ません。ゴーン氏らは、裁判では罪状を否認

して争うことを明らかにするでしょう。その

うえで保釈された後に、日産の取締役会でもう

一度自分 たちが返り咲くアクションを起こす

かもしれません」(町田氏) 


 日産の“ゴーン追放劇”は誤算だったのか。 

本丸=特別背任に切り込めなければ、 

検察の存在意義も問われることになる。 

続いて、ゴーン氏による報復劇の幕が 

切って落とされるのか。 

(本誌・亀井洋志) 


 【転載終了】 

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 拘留延長していますので、 

無罪になったらやばいですよね。 


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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