人手不足で企業倒産が11年ぶりに増加・・・
Business Journal
【転載開始】
■人手不足で企業倒産が11年ぶりに増加・・・
小・零細企業が息切れ、消費増税も打撃に
2020.02.12
企業倒産が11年ぶりに前年を上回った。
東京商工リサーチの調査によると、
2019年の全国企業倒産
(負債総額1000万円以上)は8383件
(前年比1.7%増)で、リーマン・ショック
が発生した08年(1万5646件)以来11年
ぶりに増加した。
一方、負債総額は約1兆4232億円で、
過去30年でもっとも低い水準だ。
「中小零細企業のジリ貧型倒産が多く
なっており、今後も同様の倒産が増えて
いく見込み」と指摘する、
東京商工リサーチ情報本部情報部の
増田和史課長に話を聞いた。
■飲食、アパレルが特に苦戦
――これから、特に体力のない中小零細企業
の倒産が増えるのでしょうか。
増田和史氏(以下、増田) その流れは続き
そうです。
これまでと違い、金融機関は中小零細企業
の事業性についてシビアに判断する傾向が
強まり、事業について「将来性がない」と
判断するケースも出てくるでしょう。
金融機関はマイナス金利下で有望な借り手
を求める一方で、貸付金の回収不能に備え
て貸倒引当金を積む動きも出てきています。
今後は、金融機関の“集中と選択”がより
鮮明になるでしょう。
――倒産のなかでも「人手不足」関連倒産
が過去最多を記録していますね。
増田 2019年の「人手不足」関連倒産は
426件(前年387件)で過去最多となりま
した。
このうち、「後継者難」が270件(構成比
63.3%)と最多を占めています。
ただ、「従業員退職」が44件(前年24件、
前年比83.3%増)、「求人難」が78件
(同59件、同32.2%増)、「人件費高騰」
が34件(同26件、同30.7%増)とそれ
ぞれ大幅に増えており、人手不足による
労務費の高騰などが経営に悪影響を与える
ケースが増えています。
「人手不足」は、今後も倒産の要因になる
と思われます。
ちなみに、業種別では人手不足が深刻
な運輸業の倒産が254件(同6.7%増)と
7年ぶりに増加しています。
「人手不足」には抜本的な解決策がなく、
金融機関からは「人件費の高騰が利益を
圧迫し、さらに資金繰りの悪化を招いて
いる」との声も聞かれます。
打開策として、国は新たな在留資格
「特定技能」を設けましたが、日本と
アジア他国との賃金の差が少なくなって
きていることなどから、当初の想定より
も外国人労働者は日本に来ていません。
そのため、人材確保に外国人労働者を
活用するという目論見は外れつつあり
ます。
――運輸業のほかに、業種別で注目すべき
点はありますか。
増田 より消費者に近く“川下”といわれる
業種です。
サービス業他が2569件(前年比2.2%増)
で4年連続増加、小売業が1230件(同8.6
%増)で2年連続増加しています。
飲食業は799件(同7.9%増)、コンビニ
エンスストアなどの飲食料品小売業は316件
(同12%増)で、やはり増加傾向にあります。
――飲食店では、いきなり!ステーキや
大戸屋のように一気に店舗を拡大した
業態の不振が目立ちます。
増田 飲食業界の移り変わりは本当に早い
です。
大手は業績が落ちているものの、まだ資本力
に余裕があります。
厳しいのは個人レベルでラーメン店やそば店、
タピオカ店などを始めたケースで、流行に
影響を受けやすいので業績を安定させるのは
難しいでしょう。
飲食業は、参入障壁は低いですが、継続して
いくのは困難です。
はやり廃りのサイクルがますます早くなると、
個人レベルの飲食店はバタバタと潰れていく
可能性があります。
生き残るためには、固定客の確保やしっかり
とした経営基盤を築くことがカギになるで
しょう。
――同じく苦境が伝えられるアパレル業界は
いかがですか。
増田 流行や天候に左右されやすい上に、
最近はECサイトに顧客が流れ、店舗型では
人件費などの固定費が経営を圧迫しています。
アパレル製品など織物・衣服・身の回り品
小売業の倒産は236件(前年比18.5%増)と、
大幅に増えています。
特に、今シーズンは記録的な暖冬です。
コートなどの重衣料の売れ行きが伸びず、
アパレル各社の今後の動向には注目が必要
です。
■すでに起きていた“消費増税倒産”
――消費税増税も影響も与えていますか。
増田 消費マインドの減退を招くことで、
小売業を中心に影響は避けられないで
しょう。
消費増税に伴い、政府がキャッシュレス
・ポイント還元を始めましたが、今後は
クレジットカード決済などが増えること
が予想されます。
今まで現金商売が中心だった小売店は
入金が後ろ倒しになる上に手数料を引か
れるため、資金繰りに苦労するケースも
出てくると思います。
実際、高知県のスーパーでは想定以上に
カード決済が増え、軽減税率対応レジの
投資なども重なったことで経営に打撃と
なり、12月に破産を申請しました。
――今後の見通しを教えてください。
増田 倒産の波は中小零細企業から中堅
企業に波及しつつあります。
特に、ポイント還元が終了する6月以降は、
小売業、飲食業、サービス業など個人消費
に依存する業種の動向に要注意です。
全体的には、好決算を出している大企業も
多く、好況を謳歌する企業と、その恩恵に
あずかれない企業の二極化が進んでいます。
今年は東京オリンピック・パラリンピック
が開かれるため、インバウンド需要が高まる
とみられていましたが、日韓対立や
コロナウイルスなどの問題に収束の気配が
見えず、リスク要因も多いのが実情です。
(構成=長井雄一朗/ライター)
【転載終了】
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5月の連休以降もコロナウィルスの
影響が残ると五輪の開催も危ぶまれ
ますね。
暫くは中国からのインパウンドも
期待できず、五輪特需も空振りでは
景気の後退は日本に大きな打撃を
与えそうですね。
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