「コロナ金融危機」は本当に起こるのか?
ダイヤモンド・オンライン
【転載開始】
■「コロナ金融危機」は本当に起こるのか?
「リスクシナリオを検証する」より抜粋。
2020.5.1 4:52
■考えられるリスクシナリオは多数
今の局面で考えられるリスクシナリオ
は多数ある。
いずれも予測ではなくリスクシナリオで
あるから過度な懸念は不要だが、順を
追って検証してみよう。
不況で倒産が続発し、銀行の決算が
悪化すると、人々が不安に感じるように
なるので、取り付け騒ぎが発生するかも
しれない。
怖いのは零細な預金者たちが引き起こす
取り付け騒ぎとは限らない。
銀行が大口預金者や他の銀行から資金を
借りられなくなることで、銀行自身が
大いに困るかもしれないのだ。
あるいは、銀行の自己資本が赤字に
よって減少すると、銀行が自己資本比率
規制によって貸し渋りをするようになる
かもしれない。
そうなると、銀行に公的資金を注入する
(銀行の増資を政府が引き受ける)必要
が出てくるが、世論の反対で実現が難し
い場合も多いだろう。
貸し渋りを受けた借り手は、他の銀行
に融資を依頼するだろうが、それは容易
なことではない。
銀行は新規取引先への融資に際しては既存
顧客の借り換えよりも慎重に対応するから
である。
これが本当に痛感されるのは、貸し渋り
をしていた銀行が倒産した時だ。
たとえば小幅の赤字の企業は、これまでは
取引銀行から大目に見てもらえたが、
取引銀行が倒産すると他の銀行からは借り
られないからである。
銀行が倒産した場合の経済への打撃は、
別の経路からも甚大である。
それは、銀行相互の資金貸借が止まって
しまうからである。
「他の銀行に資金を貸すのは危険だ」と
すべての銀行が考えると、各銀行は
「他行から借りられないなら万が一に備え
て金庫に札束を積み上げておこう」と考え
るようになるので、貸し出しに慎重になる
のである。
銀行の自己資本が十分あったとしても、
倒産が増加すると、銀行が与信に慎重に
なるので、信用力の低い借り手の倒産が
増えるかもしれない。
米国などでは低格付けローンが証券化され
ているので、それが暴落して買い手が付か
なくなる可能性もあろう。
■現金需要の高まりが途上国に影響する
さらに問題なのは、たとえば住宅ローン
の焦げ付きが増えると銀行が住宅ローンの
貸し出しに慎重になり、住宅価格が下がり、
銀行が一層慎重になる、といった悪循環が
生じかねない事である。
不安が高まると、人々が多くの現金を
持っておきたいと考えるようになるので、
現金の需要が高まるかもしれない。
紙幣の需要もそうだが、資金という意味で
もそうである。
各国の中央銀行が潤沢な資金供給をするだ
ろうが、最近も世界中でドルが不足してい
ることは要注意である。
ドルの需要が高まったり米銀が貸し渋り
をしたりすると、しわ寄せが途上国に来る
可能性が高まる。
途上国の通貨を売ってドルを買う動きが
広まり、途上国通貨安が途上国経済に打撃
を与え、一層の通貨安をもたらす通貨危機
である。
不況が長期化すると税収が落ち込み、
景気対策の歳出が膨らみ、財政破綻が懸念
される国が出てくるかもしれない。
途上国でそうしたことが起きる可能性はも
ちろんあるが、ユーロ圏加盟国で起きる
可能性もある。
最悪の場合、不況とインフレが共存する
スタグフレーションが発生し、金融政策が
極めて難しい舵取りを迫られることになる。
舵取りを誤ると、それが金融危機の引き金
を引く可能性もあるだろう。
以上、いろいろなシナリオを考えてみた
が、いずれも頭の片隅には置いておきたい
ので、次回以降少し詳しく見ていくことに
しよう。
本稿は、以上である。なお、本稿は筆者
の個人的な見解であり、筆者の属する組織
等々とは関係がない。
【転載終了】
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今の状況では、どうなるかわからないので、
やはり現金が強いと言うことになりますかね。
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