河井夫妻逮捕は序章 ・・・

 日刊ゲンダイDIGITAL

 巻頭特集 


 【転載開始】


 ■河井夫妻逮捕は序章 

  原資を出した党と官邸の関与が核心 

 公開日:2020/06/18 


 ついに東京地検特捜部が動いた。 

昨夏の参院選で地元県議らに現金を渡し、 

票の取りまとめを依頼したなどとして、 

検察当局は18日、公選法違反(買収)

 容疑で、自民党を離党した衆院議員で 

前法相の河井克行容疑者(57)

 =広島3区=と 

妻の参院議員、案里容疑者(46) 

=広島選挙区=を逮捕した。 


  河井前法相の逮捕容疑は計 

約2570万円を選挙運動の報酬として 

提供、買収した疑い。 

案里議員の容疑はこのうち170万円で 

前法相と共謀した疑いがもたれている。 


 ウグイス嬢と呼ばれる車上運動員に 

対する違法報酬疑惑に端を発した一連 

の問題は、法務行政トップを務めた 

現職国会議員の逮捕に発展。 

国会議員が夫婦そろって逮捕されるのは、 

前代未聞のことだ。 


  2人はこれまで検察当局から複数回、 

任意で聴取を受けたが、買収行為を否定 

してきた。 

しかし、検察は今年1月以降、2人の 

関係先を家宅捜索し、“現金配布リスト” 

を押収。 

検察はリストに基づき地元議員や運動員 

らに事情を聴いたところ、大半が2人 

からの現金の受け取りを認めた。 

「参院選をよろしく」などの発言もあった 

という。  


 この参院選では当初、前職の溝手顕正氏 

だけが自民党公認で立候補するはずだった。 

しかし、第1次政権時に溝手から痛烈に 

批判されたことを根に持った安倍首相が 

案里を刺客に立てた。 


 捜査の焦点の1つは、自民党本部から 

夫妻陣営に渡った1億5000万円もの 

カネだ。 

通常、候補者には1500万円の資金が 

渡される。 

溝手氏に支給されたのも、1500万円 

だった。 

なのに、なぜ河井陣営には10倍ものカネ 

が流されたのか。 

いったい、誰が判断したのか。 

1億5000万円のカネはどう使われた 

のか。 

もし、党本部や大物議員に還流していた 

としたら、一大スキャンダルになる。 


 安倍官邸が、ルールを破ってまで 

“官邸の守護神”と呼ばれた黒川弘務前東京 

高検検事長の定年を延長したのは、 

河井夫妻の公選法違反を事件化させないため 

だったのではないかと疑われている。 

捜査によって、安倍政権の暗部が明らかに 

なる可能性がある。 


  果たして今後の捜査はどう進むのか。 

案里が出馬した昨年の参院選について、 

判決が下された。 


 16日の広島地裁では、車上運動員に法定 

上限を超える報酬を支払ったとして、 

公選法違反(買収)罪に問われた案里の公設 

第2秘書、立道被告の判決公判が行われ、 

冨田裁判長は「主体的、積極的に関与した」 

とし、立道に対して懲役1年6月、執行猶予 

5年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。  


 検察側は立道について、選挙運動の計画や 

調整を担当し、連座制の対象となる 

「組織的選挙運動管理者」に当たると判断。 

禁錮以上の有罪が確定すれば、広島高検が 

連座制の適用を求める行政訴訟を起こす方針 

だ。 

地裁が懲役刑を言い渡したことで、すでに 

案里が失職する公算が高まっているが、 

現職の衆参両院議員が揃って逮捕、起訴なんて 

事態になれば、憲政史上に残る汚職事件になる 

のは間違いない。


 <中略>  


 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が 

こう言う。 

「自民党は所属議員に問題が起きると、いつ 

も『個人の責任』を持ち出してくるが、選挙 

の際に公認した党にも責任があり、まずは党 

が疑惑について調査し、国民に説明するべき 

です。それが政党政治の在り方です。今のよ 

うな状況をいつまでも許していると、また同 

じような問題が起きる可能性がある。メディ 

アも世論も厳しく追及するべきです」


 ■公選法違反事件を巡る構図は、お友達優遇 

 のアベ政治の姿そのもの  


 公選法は有権者が選挙を通じて民意を示す 

ことを定めている。 

その法律に違反し、選挙結果を歪めた政治家 

は、不正選挙で得た議席を返上(辞職)する 

しかない。 

つまり、離党なんて有権者、国民にとっては 

茶番以外の何物でもなく、責任を取ったこと 

にならないのは言うまでもない。  


 自民党の二階幹事長は、案里の秘書が有罪 

判決を受けたことに対し、 

「(党や政権に)影響を及ぼすほどの大物議員 

でもなければ、そんなに大騒ぎするような立場 

の人の行動でもない」なんて答えていたが、 

選挙違反疑惑を持たれている政治家(秘書)に 

大物も小物も関係ないだろう。 


 まさか、卑しい夫婦の離党で疑惑に蓋をして 

幕引き――と考えているのであれば許し難いが、

 今回の公選法違反はあくまで「入り口」であり、 

本丸は、背景に横たわる金権選挙の闇の解明だ。 


 安倍首相や菅官房長官に近しいとされ、 

党総裁外交特別補佐などを歴任してきた克行。 

そんな安倍官邸の“お気に入り”の妻(案里)が 

送り込まれたのは、安倍に批判的な言動で知ら 

れた現職(当時)の溝手顕正氏の選挙区だった。 


 この時、党本部は通常、1500万円とされ 

る選挙資金の10倍に当たる1億5000万円 

を河井側に渡しており、この金の一部が今回の 

買収工作に使われていたとみられているのだが、 

一体、誰の指示で1億5000万円もの資金 

提供が決まったのか。 

金はどう流れ、どう使われたのか。 

安倍や菅の指示や関与はなかったのか。 

河井夫妻を巡る公選法違反事件は、ここが最大 

のキモなのだ。


 ■退官が迫る稲田検事総長が踏ん張れるか 


 「国会議員は与党であろうと野党であろうと、 

かけられた疑惑についてしっかり説明を果たし 

ていく責任を負っている」  


 河井夫妻が離党の意向を固めたことを問わ 

れた安倍はこう言っていたが、 

「責任は私にある」と言うばかりで責任を一度 

も取ったことのない男がどの面下げて言って 

いるのか。 

大体、今回の公選法違反事件を巡る構図は、 

これまでのアベ政治の姿そのものを表している 

といっていい。 

通常の10倍という豊富な選挙資金が提供され、 

現職の国会議員にもかかわらず平然と現金封筒 

を配り歩く――。  


 これらが示しているのは、お友達だけが優遇 

されるという好き嫌いによる政治の私物化と、 

安倍のお気に入りであれば何をやっても許され 

るという傲慢さ以外の何物でもない。 

揚げ句、地検の捜査に介入し、疑惑潰しを図ろ 

うという意図だったのか、安倍政権は検察人事 

にまで手を突っ込み、これが疑惑を深めている。 

要するに、河井事件は党ぐるみ、官邸ぐるみ、 

政権が“黒幕”に見える疑惑なのだ。 


 安倍官邸は“守護神”といわれた黒川前東京 

高検検事長の定年を閣議決定という禁じ手を 

使ってまで延長し、疑惑のもみ消しを図ろう 

としたものの、結局、黒川は賭けマージャン 

問題で辞職した。 

こうなると、安倍政権に残された手は、 

河井夫妻をスケープゴートにして知らんぷり 

することしかないが、検察が河井夫妻を逮捕 

してオシマイ、とはならないだろう。 


 政治評論家・本澤二郎氏がこう言う。 

「1・5億円の選挙資金というのは、普通に 

考えると、安倍首相がOKしなければ絶対に 

支出できない。つまり、今回の河井事件= 

アベ事件なのです。見方を変えると、森友 

事件の財務官僚のように河井夫妻が全てを 

話したら安倍政権は終わるかもしれない。 

だから、河井夫妻はあれだけ強気なのです。 

ここで退官が迫る稲田検事総長が踏ん張れる 

。世論もメディアも今後の捜査の展開を 

注視する必要があります」 


  この闇はあまりに深い。 


 【転載終了】

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  成り行きに注目が集まりそうですが、 

河井夫婦逮捕で有耶無耶か。 

文中にあるように、党、官邸まで波及 

するかですが、韓国のような自浄能力 

を発揮できるか、今後の日本の行く末 

を占う案件ですね。 


 河井事件を足掛かりに、告発されて 

いる「モリカケ」「桜」疑惑に捜査の 

手が入るか注目ですね。 


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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