今、出生率を上げるのは物理的に不可能・・・
Business Journal
【転載開始】
■今、出生率を上げるのは物理的に不可能・・・
日本の人口は半分になり社会・経済は
貧困化する 2020.11.03
日本の人口が急激に減りつつあるという
現実については、すでに多くの人が認識し
ているだろう。
だが、本当の意味で人口減少がもたらす
影響の大きさを理解している人は少ない。
出生率を上げれば、人口問題が解決すると
考える人もいるが、これもまったくの幻想
である。
人口の急減は日本経済における最大の危機
であり、
本格的な覚悟が必要だ。
■最悪の場合、80年後に日本の人口は半分
になる
2020年における日本の総人口は
約1億2600万人である。
人口が減るという話は以前から話題になって
いるが、2000年代は、10年間で人口が
約110万人増えていたので、横ばいか微増と
いう状況だった。
2000年代後半からいよいよマイナスに転じ
たが、それでも2015年時点では1億2709万人
だったので、それほど急激なペースとはいえ
ない。
しかし、これからは状況がガラっと変わる。
国立社会保障・人口問題研究所の推計に
よると、2040年には1億1000万人に近づ き、
2053年には1億人を割る見込みと なっている。
このペースで人口減少が進むと、2100年に
は6000万人を下回る。
だが、これだけで驚いていてはいけない。
この推計は従来の出生率を前提に行われて
いるが、近年、予想を超えるペースで 出生率
が下がっており、その影響が無視で きなく
なっている。
もし今後、出生率がさらに低下した場合、
将来の人口予測は驚くべき水準となる。
同研究所における出生低位の推計では、
2077年には7000万人を割り込み、
2100年にはなんと4900万人にまで人口が
減ってしまう。
つまり、出生率が大きく低下した場合、
あと80年で日本の人口は今の半分以下に
なってしまう計算である。
経済成長は、基本的に、資本、労働、
イノベーションの3要素で決まる。
この うち労働量については、人口に依存するの
で、人口が減った場合、この項目はマイナス に
ならざるを得ない。
つまり、今の経済状態から変化がない場合、
人口が減った分だけGDPが低下する可能性
が否定できないのだ。
多くの人はこの話を聞いて
「出生率を上げるよう努力すべきだ」と考え
たのではないだろうか。
実際、出生率を上げるべきだとの声を多く
耳にするし、政治家や識者も揃って同じよう
な発言をしている。
厳しい言い方になるかも しれないが、
「出生率を上げよ!」という 単純な意見は、
机上の空論にすぎない。
今のタイミングになって出生率を上げるのは、
物理的にほぼ不可能というのが現実なので
ある。
<中略>
■日本に残された2つの選択肢
一部の論者は、今の若者が「草食系になって
しまった」とか「女性が子どもを産みたがら
ない」など勝手なことを言っているが、
そうではない。
あまにも経済状況が厳しく、子どもを作りたく
ても作れないのが現実である。
その証拠に、東京都では、住民の所得が高い
港区の出生率は上がっており、所得が低い区の
出生率は著しく低下する傾向が顕著となって
いる。
人口動態の変化がもたらす経済的な負荷を考え
た場合、高齢者の比率が低下し、
現役世代の 負担が低下するタイミングになら
ない限り、 いくら少子化対策を実施したところで
子どもは 増えないと考えたほうがよい。
単純に「出生率を上げろ!」という意見が
机上の空論にすぎないといったのは、 こうした
理由からである。
では、こうした現実を目の前にして、 日本は
どうすべきなのだろうか。
選択肢は2つあると筆者は考えている。
ひとつは、子育て世代に強力な財政支援を 行い、
あえて子どもを作ってもらう方法。
もうひとつは人口が減少することを前提に高い
成長を目指すという方法である。
前者を選択する場合、かなりの財政支出が必要
となる。
本当に出生率を上昇させるためには、 子どもを
作った世代に対して、子ども1人 あたり
年間200万円程度の金額を20年間 提供するくら
いの覚悟が必要となるだろう。
逆に言えば、ここまで手厚い支援を行うという
国民的な合意が得られない限り、 出生率は上げ
られないと思ったほうがよい。
筆者は人口減少問題は深刻と考えている ので、
この制度を実現するために、 税負担が増えても
やむを得ないと思ってい るが、子育て支援策に
対する世間の冷たい 反応を見ると、このプラン
が国民的合意を 得られるのかは甚だ疑問である。
■生産性を向上できれば解決の道筋が見えて
くるが・・・
一方、イノベーションを活発にし、
日本 の生産性を大幅に高めることができれば、
人口が減っても持続的な経済成長を実現で きる。
日本の労働生産性(時間あたり)は 46.8ドル
と主要先進国では断トツの最下位 となっている。
1位の米国は74.7ドル、2位のドイツは 72.9ドル
なので、日本の生産性は米国や ドイツの6割しか
ない。
単に数字の羅列として見ると大したことが ない
よう思えるかもしれないが、経済の理屈 を知って
いる人からすると、この差は驚くべ き水準である。
同じような生活水準を実現している (はずの)
先進国の中で、ある国の生産性が 6割しかないと
いうのは、一種の異常事態で ある。
生産性の差は、そのままGDP(国内総生産) の
水準の違いとなって顕在化してくる。
あえて厳しい言い方をすれば、日本はすでに
先進国ではなく、基礎的な経済力において、
すでに圧倒的な格差が生じていると考えるべきだ
ろう。
こうした状況に人口減少というマイナス 要因
が加わっているので、ここから生産性 を他国並み
に引き上げるのは至難の業と いってよい。
日本はハンコひとつとってもITツールに置き
換えることに難儀している状況である。
デジタル化や規制緩和、雇用制度の見直し や
コーポレートガバナンス改革など、 変革が必要
とされている項目を総動員して、 徹底的に経済
の仕組みを変えない限り、 出生率を上げずに経
済成長を実現すること は難しい。
つまり出生率を上げることも、今のままで
成長を実現することも、相当な努力と 苦しみを
伴う。
どちらも選択できなければ、日本は人口減少
に伴い、想像を超えるペースで経済が縮小し、
社会の貧困化がさらに進むだろう。
どの道を選択するのかは最終的には日本人
自身が決めなければならない。
(文=加谷珪一/経済評論家)
【転載終了】
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少子化問題はかなり以前から懸案事項
でしたが、自民党が手を打ってこなかった
のが現実ですね。
戦後70年、国民生活をないがしろにして
きたツケがいま廻ってきたということなの
でしょう。
移民政策を続けると、何れ日本人のDNA
が消滅するともイワレテイます。
日本国民は、なんとなく政治は自民党で
間違いがないという洗脳をされてきていると
言われています。
日本の貧困率は15.7%だそうですが、
1億総中流家庭は昔の話で、築いた時に
は 格差がさらに進み、手遅れになるのでで
しょうね。
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