コロナ:看護師、過労・差別で限界に・・・
Business Journal
【転載開始】
■コロナ:看護師、過労・差別で限界に・・・
近所や患者から心無い言葉、家族が会社
から出勤拒否
2021.01.06 05:55
日本看護協会が昨年12月22日に開いた
記者会見で、福井トシ子会長は、
コロナ禍で看護師への差別と偏見がますます
増えていると訴えた。
第1波が襲来したときに医療従事者への差別
と偏見が頻発したが、一向に事態は改まって
いないのだ。
会見で発表された
「看護職員の新型コロナウイルス感染症対応
に関する実態調査」の結果によると、
調査対象の看護師(有効回収数3万8479件)
で、20.5%(7904件)の看護師が、
差別・偏見が「あった」と回答した。
差別・偏見の内容は多い順に
「家族や親族が周囲の人から心無い言葉を
言われた」「患者から心無い言葉を言われた」
「地域住民から心無い言葉を言われた」
「勤務先の同僚から心無い言葉を言われた」
「家族や親族が勤務先等から出勤を止められた」
「子どもが通っている保育園・学校等から入室
を断られた」だった。
福井会長はこの事態について
「20.5%はたいへん多い数字だと思う。
他の団体の調査でも20%を超えている。
第3波が来てからは、形を変えて差別や
偏見が酷くなっている」と深刻に受け
止めている。
こんな例があるという。
「コロナに感染した患者が入院すれば、
その患者に対して看護職は防護服を着て
対応するが、『どうして私のところに
そんなに大袈裟な格好をしてくるのか?』
と言われることがある。患者は不安だから、
そういう対応をせざるを得ないのかもしれ
ないが、コロナ問題を自分事として考えな
い人が増えているのではないか。それが
第三者への攻撃的な発言として現れている
ことは、状況として歪んできていると思う」
本来なら謝辞を述べるべきところ、差別
や偏見が続くようでは看護師の士気の低下
は避けられない。
この問題は国民にいくら呼びかけたところで、
失業や減給による生活困窮者や自殺者が増加
して世相が荒廃に向かう時勢に、容易に解消
されるとは考えられない。
看護師の人権問題として俎上に載せるべきで
ないのか。
■看護師の数が不足
さらに福井会長は看護師不足を取り上げた。
「そもそも日本全体で看護師の数が不足し
ているので、コロナ対応で大変な病院に対し
て、うちの病院から看護師を派遣しようとい
う応援が簡単にできない」
調査によると「看護職員の不足感があった」
と回答した病院は34.2%。
感染症指定医療機関・新型コロナウイルス
感染症重点医療機関・新型コロナウイルス
感染症疑い患者受入協力医療機関ではさら
に不足感が強く、45.5%に達した。
看護師が不足した場合の確保方法では
「病棟再編成や配置転換等により院内で人手
を確保した」が圧倒的に多く、全体で68.9%、
感染症指定医療機関等では79.6%。
過半数が院内での確保に頼っていたのだが、
日看協が都道府県看護協会からの要請を受け
て看護師を応援に派遣する仕組みを整備し、
北海道には岩手県から1名、東京都から3名、
大阪府には奈良県から1名、東京都から2名
の派遣手続きを進めている。
全国70万人と推計される潜在看護師の雇用
も進んで2015名(12月7日時点)が復職した
が、調査では、潜在看護師の雇用に意外にも
病院が積極的とはいえない現状が明らかに
なった。
「雇用する」は病院全体の53.7%、
感染症指定医療機関等では47.8%にとどまった。
「どちらともいえない」は、それぞれ41.2%、
44.7%。「どちらともいえない」と
「雇用しない」と回答した病院において、
雇用しない主な理由は
「潜在看護職員の知識・技術の程度がわからない」
「感染症下では教育・研修の余裕がない」
「看護職員を加配する経営的な余裕がない」
だった。
ホテルでの軽症者対応が多かった第1波に
比べて、第3波では院内での重症者対応が増えた。
その結果、ICU勤務経験を持つなど即戦力が求め
られているため、潜在看護師をすぐにコロナ専用
病棟での戦力に起用できない事情があるという。
この調査では、新型コロナウイルス感染症対応
を理由とした離職状況もわかった。
病院全体の15.4%が、コロナ対応に起因する離職
が「あった」と回答。
感染症指定医療機関等では「あった」が21.3%と
病院全体を上回った。
「家族が感染を心配して退職を促している
ケースが多い。近所の人から心無いことを
言われたりして、感染が心配なのはわかるが、
病院は十分に感染対策をしていることを理解
してほしい」(福井会長)
■清掃や洗濯などすべての業務が看護師に
だが、看護師の業務負担は改善されるどころか、
ますます過酷になっている。
福井会長は次のように報告した。
「第1波に比べて第3波では、看護職の就労環境
はますます悪化していると言い切ってよい。重症者
の病棟に清掃業者などは入ってこられない状況で、
清掃や洗濯などすべての業務が看護職に回ってきて
いて、本来の業務に専念できていない。病院で働い
ているのは看護職だけではない。各部門・全職種を
含めて施設全体で業務遂行体制を見直してほしい。
日看協は清掃業の業界団体と話し合いをする」
看護師には使命感の強い人が多いが、多くの
看護師の心身はもはや限界に達しているという。
「新型コロナに対応する看護職だけでなく、一般
の病院や福祉施設の看護師、保健所の保健師は、
疲労困憊の状態が今年の春から続いていている。
報われていると思うことも看護師には必要ではない
だろうか。いくら強い使命感を持っていても、給与
の減額やボーナスのカットによって心が折れてしま
う。危険手当の支給も含めて一刻も早く財政支援を
してくれるように、国に引き続き要請していきたい」
コロナ禍で医療と経済は対立関係に捉えられ、
ともすれば双方の関係者とも自陣営の都合を
主張しがちだが、福井会長は会見当日の夜に出演
したテレビ番組で
「大変なのは看護職だけではなく、飲食業や観光業
も大変なことはわかっている」と理解を示した。
(文=編集部)
【転載終了】
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>「大変なのは看護職だけではなく、
飲食業や観光業も大変なことは
わかっている」と理解を示した。
長期になれば全ての業種に波及します。
出来れば、休業要請をして保証をきちんと
するのが一番なんですが。
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