五輪アスリートを見下す政治家・・・
日刊ゲンダイDIGITAL
【転載開始】
■五輪アスリートを見下す政治家・・・
有観客決定でも置き去りに
公開日:2021/06/23
アスリートはこの決定を喜んでいる
だろうか。
政府、東京都、組織委員会、
国際オリンピック委員会(IOC)、
同パラリンピック委員会(IPC)の代表者
による5者協議は21日、東京五輪の
観客上限について、会場の定員50%以内で
最大1万人とすることを正式決定した。
IOCやスポンサー関係者ら、いわゆる
“五輪貴族”は大会運営に関わる主催者として
扱われ、1万人には含まれないとのことだ。
東京五輪の開幕(7月23日)まで1カ月。
忘れてはならないのは、コロナによる
死亡者累計数(厚労省発表)は1万4000人
を超えているという現実だ。
関連死を含めれば、実際にはそれ以上の数
だし、今も死亡者は毎日カウントされている。
政府の危機対応の拙さ、感染対策の遅れなど
で、多くの人が命を落としていながら、
菅首相は東京五輪について、
「感染対策をしっかり講じて、世界から選手
が安心して参加できるようにするとともに
国民の命と健康を守っていく。これが開催の
前提条件だ」と胸を張る。
国民の命はずいぶん軽いものだ。
政府の新型コロナ感染症対策分科会の
尾身茂会長は
「今のパンデミック(世界的大流行)の状況で
(五輪を)やるのは普通はない」と言った。
異常事態の中での開催について政府は「安全・
安心」や中止の基準などを示さずに強行開催に
突き進んでいる。
■「主役となるアスリートは『政治利用』
されている」
国士舘大学の非常勤講師でスポーツライターの
津田俊樹氏は、
「基準を示すことができないのではなく、基準を
示せば感染状況によっては大会中止を余儀なく
される。五輪成功の余勢を駆って秋の衆院選に突入
したいという計算が透けて見える」と言って、
こう続ける。
「開催可否の議論がいつのまにか有観客となった。
菅首相のなし崩しの開催は、『いざ五輪が始まれば、
日本選手のメダル獲得で国民は大いに盛り上がる』
という読みがあるからでしょう。一方、五輪の主役
となるアスリートは『政治利用』されている印象が
強い。例えば、五輪1年前のイベントです。白血病
からの復活を期す競泳の池江璃花子選手を起用し、
世界へ向けてメッセージを発信した。池江選手本人
は『利用されている』とは思っていないかもしれま
せんが、当時は免疫力が落ちてコロナ感染も心配さ
れた。2024年パリ五輪を目指すと言っていた池江
選手を、コロナで延期になった五輪のイベントに
引っ張り出したことに批判の声も多かった」
イベントの際、池江は
「1年後、オリンピックやパラリンピックができ
る世界になっていたら、どんなにステキだろうと
思います」と語っていた。
実際にはコロナ感染は終息に至らず五輪は開催
される。アスリートも複雑な思いだろう。
■1年延期の電話会談でJOC山下会長は蚊帳の外
4大会連続で五輪代表になった体操の内村航平
の一件もそうだ。昨年11月の国際大会で、
「できないではなく、どうやったら(五輪が)で
きるか? を皆さんで考えてほしい」と、
五輪開催を訴えた言葉も多くの政治家が引用。
体操関係者たちは眉をひそめた。
アスリートたちは、政府や組織委などに都合
のいいときには利用されてきた。
しかし、1年開催延期の決定からここまで
まったく蚊帳の外に置かれていた。
昨年3月、安倍前首相がIOCのバッハ会長に
オリ・パラの1年延期を申し出た電話会談の席
に、日本オリンピック委員会(JOC)の
山下泰裕会長がいなかったのは象徴的だ。
山下会長といえば現役時代、政治に翻弄され
た1980年モスクワ五輪の柔道で金メダルが期待
されながらボイコットに泣いた。
あのときは自民党の圧力はあったものの、
競技団体の代表が一堂に会し、意見を述べる
機会はあった。
選手である山下氏もJOCに
「五輪に行かせてほしい」と訴えた。
「当時はボイコット、今回はコロナ禍での開催
と状況はまったく異なる。今の選手は個人で
スポンサーや用具契約を結ぶなど、プロ化した。
スポンサーのイメージなどを考え、素直に発信
できない事情はわかる。でも、多くの政治家た
ちは『アスリートファースト』と言いながら、
『おまえらは難しい話には首を突っ込まず、
黙って跳んだり、投げたり、走ったりしていれ
ばいいんだ』と思っているはずです。要するに
アスリートを見下しているのです。これは
スポーツ界が黙ってきたツケでもある。今回も、
政治主導のコロナ五輪に乗っかっているだけ。
世界の目には奇異に映ります」(前出の津田氏)
菅首相らは
「選手は五輪をやりたいから、どんな条件でも
黙って従う。観客だって入れることに大賛成だ
ろう」という腹に違いない。
■「黙認でアスリートの価値が下落」
そんなスポーツ界に苦言を呈したのは、
ラグビー元日本代表の平尾剛氏
(神戸親和女子大教授)だ。
日刊ゲンダイで連載中の
「私が東京五輪に断固反対する理由」(16日付)
に登場し、こう言っていた。
<現役の指導者、アスリートは立場上、発言
しにくいことは理解できます。選手は自分の
パフォーマンスを向上することに精いっぱいで、
それどころではないのかもしれません。しかし、
当事者である以上は当然、責任は生じているはず
です。この状況下で五輪を開催するのは果たし
て適切なことなのかどうか、意見を発信しても
いいのではないでしょうか>
<IOCや組織委の運営の仕方にも意見すべき
だし、許容できないことがあれば、もっと怒り
を見せてもいいと思います。スポーツ界は長ら
く団体に不都合なことには目をつぶってきまし
たが、このままIOCの横暴を黙認するようなら
アスリートの価値の下落は免れません>
モノ言わぬアスリートに政治屋はほくそ笑ん
でいる。
【転載終了】
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連盟の存在があり、個々のアスリートが
発言する事は難しいでしょうね。
組織とは、やっかいなものです。
また、政治家というものは、何でも利用が
出来そうなものは利用するものです。
自身の都合のいいように。
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