小山田圭吾さんスキャンダルはなぜ国際的なものになったのか?
Sputnik日本
【転載開始】
■小山田圭吾さんをめぐるスキャンダルは
なぜ国際的なものになったのか?
2021年07月21日
東京五輪の開幕を数日後に控えた日本で、
また新たな騒動が浮上した。
東京オリンピック・パラリンピックの開会式
の作曲を担当していた小山田圭吾さんが、
かつてあるインタビューで子ども時代の
面白おかしいエピソードとして、障害を持つ
同級生をいじめていたと告白したことが
メディアで取り上げられたのである。
このエピソードが外国のメディアでも詳細が
報じられるにつれ、憤慨の波はますます強く
なってきている。
小山田さんは謝罪し、楽曲担当を辞任すると
したが、なぜ今回のケースはこれでは不十分
だと言われる可能性があるのか、
「スプートニク」が取材した。
■メディアに知られなければ、罪ではない?
1990年代、当時人気絶頂だった
小山田圭吾さん(52)は、日本の音楽雑誌か
らのインタビューに応じた中で、障害のある
同級生に本人の大便を食べさせたり、
他の生徒たちの前で自慰を強要したりしたと
いう。
この恐ろしい過去の話は、何年も前の日本の
音楽雑誌に印刷されたものであるが、今回、
小山田さんが音楽を担当したオリンピックの
開幕まで1週間というときになって、突如これ
が表に出てきたのである。
この衝撃的な告白が掲載されてからすでに
30年ほど経過しているが、小山田さんは最近
まで、このことを問題とは考えておらず、
憤慨した読者が小山田さん自身や彼の息子、
日本オリンピック委員会のTwitterアカウント
に怒りのつぶやきで攻撃するようになるまで、
謝罪をする必要があるとも、この間に自身の
態度を改めたことを表明すべきだとも思わ
なかったのである。
小山田さんの辞任を求めるメッセージが
数千件にのぼり、また世界でも数十の記事が
掲載されたのを背景に、小山田さんはTwitter
で、過去の行いを反省し、
「不快な印象を与えてしまうことを心から
申し訳なく思います」と呟いたが、その言葉
が心から出たものであると信じるのは難しい
状況となっている。
■被害者の苦しみと日本のイメージに対する打撃
小山田さんの過去のイジメが発覚したことは、
世界中の彼のファンにショックを与えただけで
なく、オリンピックに関与するさまざまな国の
数百万の人々の心を傷つけることとなった。
「このような差別的で暴力的な行動を起こし
た者が、オリンピック・パラリンピックに参加
するのに適した人物だと言えるのだろうか?」
この記事を執筆している時点で、
Yahoo!ニュースへのコメントの数は1万件を
超えている。
そのうちのいくつかを紹介しよう。
「オリンピックで小山田の曲が流れれば日本
は世界中に障害者にイジメしたことを容認した
国として醜態を晒すことになる。ましてや
パラリンピックで小山田の曲を流すなど常軌を
逸している。」
「彼は被害者に対して謝罪し、それを受け
入れてもらえているのだろうか?それであれ
ば、組織委員会はそう説明すれば良いのにして
いない。何故だろうか?」
関東地方の障害者スポーツ協会は、
小山田さんは謝罪するだけでなく、懺悔の
気持ちを表し、周囲の人々に、今の自分はもう
あの頃の自分とは違うということを示す必要が
あったのではないかと指摘している。
「パラリンピアンは自身の障害も含めて、
人間関係や社会など多くのハードルや差別
を超えて、これから競技に臨みます。
オリンピアンもまた同じく、ダメな自分や
弱い自分を乗り越えて、出場します。少な
くとも、“自分を振り返ることのできない
人物”にオリパラの舞台に立つ資格はないの
ではありませんか。小山田さんがインタビュ
ーに応じた時から成長されたのかを知りたい
と思います。」
雑誌「ロッキング・オン・ジャパン」に掲載
された記事で小山田さんにインタビューを
行った当時の責任者、山崎洋一郎氏は、
その後、編集長になっているが、編集長は
ジャーナリストとしての過ちを認め、自身の
ブログで謝罪した。
同編集長は掲載誌が出た当時、自分が
小山田さんのインタビューを行ったとし、
「インタビュアーとしての姿勢、それを掲載
した編集長としての判断、その全ては、いじ
めという問題に対しての倫理観や真摯さに
欠ける間違った行為である」と記した。
そして「傷つけてしまった被害者の方および
ご家族の皆様、記事を目にされて不快な思い
をされた方々に深くお詫わび申し上げます」
と謝罪した。
■社会が超えてはならない一線
小山田さんの今回の突然のイジメ発覚は、
このような展開が待ち受けているとは思いも
しなかったオリンピックの主催者たちにも
少なからぬ打撃を与えた。
東京オリンピック・パラリンピック組織
委員会の武藤敏郎事務総長は、7月17日に
記者会見を開き、「小山田さんが謝罪され
たということは十分、理解している。事実、
当初わたしたちは、雑誌での発言について
知らなかった」と述べた。
しかしこの後の小山田さんを擁護するよう
な行動が、国内外で困惑を呼ぶことと
なった。
武藤事務総長は、小山田さんに役職から退い
てもらう、あるいは小山田さんの楽曲の使用
をやめる考えはないとの考えを明らかにした。
「小山田さんには引き続き貢献してもらいた
いと考えている」と述べた事務総長は、
「現時点に置いて、彼は十分に謝罪し、反省
をしている。また本人もより高い倫理観を
持って行動したいと語っている」と付け加えた。
欧米諸国では、イジメの疑惑があっただけ
でも、たとえばスターは契約を破棄されるの
はもちろん、人としての尊敬を失うことから、
今回のような対応は理解されがたい。
しかし、残念ながら、オリンピック組織
委員会も小山田さん自身も、現時点では、
この行動が人間の尊厳を踏みにじり、
善のイメージに矛盾することであり、それが
謝罪だけで済まされない過ちであったことを
認識していない。
ここに、たとえ才能がある人間でも超えては
いけない一線があるように思われる。
■苦難続きのオリンピック
延期が決まった東京五輪の開催が
パンデミックの条件下で開催されると発表され
てから、組織委員会がこのような騒動に巻き
込まれるのはこれが初めてではない。
2月には組織委員会の森喜朗前会長が、
女性蔑視問題発言で辞意を表明。
この事件を機に、組織委員会は、代表者、高官
らの発言により注意深く対応するようになった。
しかし、その1ヶ月後、
オリンピック・パラリンピックの開閉会式の
企画・演出を総括していた
クリエイティヴ・ディレクターの佐々木宏氏が、
開会式で女性タレントの渡辺直美さんにブタ
の衣装を着せるなどという演出案を出した
ことから、辞任することになった。
そして1週間ほど前には、国際オリンピック
委員会のトーマス・バッハ会長が、東京で
開いた記者会見で日本人を中国人と言い間違え、
大きな批判を呼んだ。
東京五輪はもともと、自然に対しても、
そして周囲の人々に対しても、あらゆる意味
で世界一環境に配慮したものにすると謳われ
ていた。
今回のオリンピックのコンセプトに、
「多様性と調和」という価値観が込められて
いるのも偶然ではない。
まもなく開幕を迎えるオリンピックが滞りなく、
計画通りに開催され、参加者たちは尊敬と
安全策を忘れずにいてくれるよう期待したい。
【転載終了】
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海外の人権に対する反応は国内の比
では無いことを日本国民は認識する事
が必要かも知れ無いですね。
ただ、コロナ禍での五輪強行が無け
れば、もしかしたら日本国内では表面化
しなかったかも知れ無いですね。
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