“IOC貴族”への過剰待遇、世界から嫌悪感・・・
Business Journal
【転載開始】
“IOC貴族”への過剰待遇、世界から嫌悪感・・・
独善的秘密主義と競技団体への給付金支配
2021.07.22 ※抜粋
■IOC貴族は「ぼったくり」なのか?
『オリンピック・マネー 誰も知ら
ない東京五輪の裏側』(後藤逸郎/文藝春秋)
――大手マスコミは後藤さんが言うような
「筋論」に触れることは一切なく、一方で
バッハ会長をはじめとするIOCへの特別待遇
は目に余るという報道を続けています。
まるでヘイトを煽っているかのようですが、
俗に言う「IOC貴族」の実像についてお聞か
せください。
後藤 IOC委員が世界中で豪華な接待を受け
ていることは、かねてから批判されています。
5月に米国の有力紙ワシントン・ポストに
掲載された記事で、
バッハ会長は「ぼったくり男爵」と呼ばれ、
厳しく批判されました。東京五輪でも、
IOC委員に用意するホテルは五つ星または
四つ星が義務付けられており、費用を東京都
が負担するのは行き過ぎだとする報道があり
ました。
ホテルのグレードを指定するのは
セキュリティ確保のためという主張があり、
これ自体は必ずしも納得できない話ではあり
ません。とはいえ、以前から「ワイロに近い
過剰接待」が常態化していたという事実が
あるので、合理性があることでも勘繰られて
しまうのです。
例えば、2002年の米国・
ソルトレイクシティ冬季五輪の招致に当たり、
組織委員会が複数のIOC委員に金品を贈った
ことが問題視されました。この背景には、
1998年の長野冬季五輪が「接待攻勢で開催
を勝ち取った」という噂が、立候補都市の
間で公然の秘密となっていたことがあります。
ホテルに加え、IOC委員には1人1台の
専用車と専属スタッフをつけることになって
います。過去の甘い汁が忘れられず、堂々と
していればよいとばかりに過大な待遇を要求
していては、「ぼったくり男爵」の汚名を
着せられるのも当然と言えるでしょう。
■「五輪は欧州のビジネス」しかし欧州で
すら持て余し気味
――IOCは開催当事国の日本だけでなく、
米国紙でも批判されているのですね。世界
各国で、IOCはどのような組織と認知され
ているのでしょうか。
後藤 IOCは日本以外の国でも、少なからず
「嫌悪感」を持たれています。特に米国では、
五輪は結局のところ欧州のスポーツ大会で
あると見切られています。
確かにIOC幹部は欧州出身者が多く、
歴代会長9人のうち欧州以外の出身者は1人
(米国出身)だけです。五輪はあくまでも
欧州のビジネスである、というのが実情です。
とはいえ近年では、足元の欧州でも、五輪
開催に立候補した都市が、高騰する開催費用
を嫌って選考の途中で辞退するケースが出て
きています。2022年の冬季大会に立候補して
いたノルウェーの首都オスロは、ノルウェー
政府が財政補償を承認しなかったことで、
立候補を取り下げました。IOCが開催費用に
関し一切の責任を持たないため、費用を抑え
るインセンティブがなく、結果として開催
都市の負担がふくれあがってしまう構造が
あるのです。
もはや欧州の中ですら、「五輪はしょせん
スイスがやっていること」というふうに
見透かされてきています。IOCに対する反感
は非常に根強いものがあるといえます。
■スポーツ振興のための給付金にすら疑い
の目が
――IOCについて、ありのままに歴史と
資金面、開催国に対する姿勢をうかがって
きましたが、どうしても厳しい論調になら
ざるを得ないようです。とはいえ、そも
そもスポーツイベントの主催者として、
スポーツ振興などの面でIOCの功績は少な
からずあるのでは?
後藤 IOCは世界の競技団体を通じて選手に
資金を分配しています。2013~2016年の
IOCの総収入は57億ドルで、日本円で
約6,270億円に及びました(1ドル=110円
で換算)。平均年間収入にしても1,500億円
を下りません。この9割が世界の競技団体・
競技連盟に給付されており、給付金の総額
はIOCの収入増に伴って増加しています。
IOCからの資金が、スポーツ振興に役立って
いる面は少なからずあるでしょう。
ところがこの給付でも、「競技間の給付
金格差」が問題視されています。IOCは
給付金の算定に当たって競技のランク付け
を行い、給付金を傾斜配分しています。
たとえば2016年のリオ大会では、競技に
よってA~Eまでのランク付けが行われ、
Aランク全体の配分はEランク全体の5.5倍
という極端な格差がつけられたと、日本の
テレビ関係者は推測しています。
IOCの給付金を最も多くもらっているの
はワールドアスレティックス(世界陸連)
です。ランク付けにはテレビ放送での
ニーズが反映されているといわれており、
陸上競技のような人気競技への給付金は
高くなる一方で、マイナースポーツへの
給付金は少額にとどまります。
また、世界陸連への給付については、
かつての世界陸連会長とサマランチ
元IOC会長との間に強いコネクションが
あったことが影響しているともいわれて
いました。ここでもIOCの恣意性が疑惑
を呼んでいます。
■IOCが「信頼される組織」となるために
必要なこととは?
――とにかく、やることなすこと疑惑を
呼び、批判がつきものというのがIOCの
宿命だと思えてきました。結局のところ、
IOCの最大の問題は何なのか。IOCが
世界のスポーツファンから信頼される
組織となるために必要なことは、
いったい何でしょうか?
後藤 IOCの秘密主義こそが問題です。
IOCの改革を考えるためには、実態を
くわしく把握する必要があります。
まず、五輪開催にまつわる契約の開示が
必須です。今回のコロナ禍で延期・中止が
取りざたされた東京五輪が好例で、一説に
は5000億円ともいわれる巨額の金を日本
が払う可能性があるのに、その根拠を精査
できないというような話は到底認めること
ができません。
この先、五輪を開催する都市の組織委員
会も、おそらく同様に考えているはずです。
例えば天災に見舞われたときに「がれきを
早くどけて五輪を開催しろ」と言われ、
できなければ言い値で賠償金を負担させら
れる可能性があるというのは、明らかに
不当でしょう。
財務の開示も必要です。IOCは傘下に多く
の財団を従え、さらにその先にも関連企業を
持っています。IOCの会長や理事は関連財団
・企業で役員を務めていますが、関連企業
の実態は非公開であり、彼らの報酬も不明
です。仮にこれらの子会社でIOC委員が
役員報酬を受け取っているなら、「収益の
大半を競技団体への給付金など、設立目的
の活動のために使っている」というIOCの
主張は根拠が怪しくなります。
バッハ体制のルール破りも目に余ります。
IOCは2017年に、2024年パリ大会・2028年
ロサンゼルス大会の開催を同時決定しまし
た。この2028年大会の開催都市の決定は、
「開催都市は開催の7年前に決定する」と
いうオリンピック憲章の定めを逸脱する
ものです。両都市から「2024年大会に落選
したら次は立候補しない」と言われていた
がゆえの政治的判断だったと言われていま
すが、開催都市の巨額負担に手をつけるこ
となく、ルール破りという弥縫策に頼るの
は問題です。
IOCが説明責任とガバナンスの正常化を
果たし、本来の趣旨である“平和の祭典”を
守りたいのであれば、古代オリンピック
発祥のギリシャを開催地に固定するのも
選択肢だと思います。
(構成=日野秀規/フリーライター)
【転載終了】
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>IOCが説明責任とガバナンスの正常化
を果たし、本来の趣旨である“平和の祭典”
を守りたいのであれば、古代オリンピック
発祥のギリシャを開催地に固定するのも
選択肢だと思います。
このことについては、以前からもネット
でも話題になったことですね。
個人的にも、開催地はギリシャに固定して、
各国が資金を拠出していけば、不透明なお金
の流れは解消されると思います。
民間の監査組織(任期3年)が会計監査を
行えば、IOC貴族の不正資金の蓄財も防げる
のではないでしょうか。
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