東南アジア経済が窮地、デルタ株拡大で生産打撃!

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【転載開始】


■東南アジア経済が窮地、デルタ株拡大

 で生産打撃

 2021年8月8日


 東南アジアの製造業セクターは、

強い感染力を持つ新型コロナウイルスの

デルタ株の広がりで身動きが取れず、

半導体やゴム手袋といった製品の世界的

な供給に混乱を引き起こし、

この地域の景気回復を脅かしている。


 今週発表された製造業を対象とする

一連の調査では、東南アジアで7月の

企業活動が急速に落ち込んだことが

分かった。

北東アジアや西欧の製造業が減速しな

がら、なお拡大基調を維持したのとは

対照的だ。


 デルタ株による東南アジア経済の動揺

を増幅しているのは、地域人口6億人に

対するワクチン接種の遅れだ。

各国政府はワクチンの確保に苦戦し、

経済コストの大きいロックダウンを実施

しており、多くの工場からは労働者が

いなくなった。


 東南アジアは幅広く堅実な経済改革の

実施や、中国に近いという地の利の恩恵で、

世界でも屈指の「打たれ強い」新興地域と

なり、ここ数十年で起きたさまざまな危機

を乗り切ってきた。

だが、今回の逆風は、経済成長に新たな

脅威をもたらしている。

 HSBCのエコノミストチームは、

インドネシアとベトナム、フィリピン、

タイのワクチン接種率が低いばかりか、

使用しているワクチンの効果に疑念がある

と解説。

「つまりこれらの国の人々は現在の感染

拡大だけでなく、今後さらに進化するか

もしれない別の変異株に対しても脆弱な

状況に置かれる。規制を導入しては解除

する展開が続き、当面の成長見通しに

重圧を与えそうだ」と述べた。


 主として労働コストの低さと原材料の

入手しやすさが競争力の源泉となって

いる東南アジアの製造業にとって、

デルタ株感染拡大が労働力の供給に影響

を及ぼし、生産が大きな制約を受ける

事態になっている。


 アジア第4位の自動車輸出国で主要自動車

ブランドの生産拠点が置かれているタイでは、

トヨタ自動車が7月に入って部品不足を理由

に、現地工場3カ所の操業を停止した。


■需要満たせず


 タイの加工果物輸出企業、

サイアム・アグロ・フード・インダストリー

は、外国人労働者に大きく依存しており、

これらの従業員がいったん本国に帰った後、

国境閉鎖で戻れなくなったため、550人が

必要な仕事に400人しか人員を手当てでき

ていない。


 同社社長は

「毎日350トンの果物が入荷するのに、今

処理できるのは250トンにとどまる。なぜ

なら加工に携わる人手が足りないからだ。

当社の一番の出荷先である米国など、輸出

市場は強い需要が存在する。問題は生産側

にある」と説明した。


 サムスン、フォックスコン、ナイキと

いった世界的な企業の工場があるベトナム

の場合も、南部で操業している企業は、

規制措置によって夜間は従業員を工場に

立ち入らせることができなくなっている。


 ベトナム統計総局が先週公表したデータ

に基づくと、南部の幾つかの都市や省は、

7月から導入した厳しい移動制限が原因で

工業生産が急低下した。


 世界のゴム手袋の約67%を供給している

マレーシアでは、ロックダウンのため、

多くのメーカーが6月と7月に操業を停止。

その後、業界団体の訴えを受けて規制が

緩和され、6割の従業員が復帰した。

業界側は、全従業員が稼働できるように

してほしいと要望しているところだ。


■東南アジアの混乱は世界に波及


 東南アジア製造業の混乱は、既に他の地域

にも影響を与えている。

例えば、ドイツの半導体メーカー、

インフィニオン・テクノロジーズは、

マレーシア工場の一時閉鎖で数千万ドルの

損失が発生すると予想。そうした工場閉鎖

が今度は、インフィニオンの取引先の

自動車セクターに波及するだろう。


 マレーシア・ドイツ商工会議所の

バーンベック最高責任者は、マレーシアの

厳格な隔離ルールが、半導体メーカーなど

高付加価値製造業にとって、

必要な技術専門家の確保も難しくしている

と指摘した。


 アナリストは、リスクは生産への打撃に

とどまらないと警鐘を鳴らす。

 ムーディーズ・インベスターズ・サービス

は「集中的な経済構造」と政府機構の弱さ

があるアジア太平洋経済は、最も痛手が

大きくなると予想。

「これらは低所得層を伴っており、そこが

深い傷を負えば社会的なリスクが増大する

公算が大きい。一部では、多大な債務負担

がパンデミックに耐えるための政府の財政

出動余地を限定してしまっている」と分析

した。

(Orathai Sriring記者 Liz Lee記者)


【転載終了】

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 日本も経済への影響が本格的に出て

来るのは、盆休明けからですかね?


 感染拡大状況が鍵を握ると思います

が、あまり良い状況は予想出来ないで

すね。


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