ワクチン2回接種の高齢者にコロナ感染が増えている理由

【転載開始】


■ワクチン2回接種の高齢者にコロナ感染


 が増えている理由 専門家に聞いた

 公開日:2021/09/05


 新型コロナウイルスのワクチン接種率

が8割を超えた65歳以上の高齢者で、

感染が再び増え始めている。

栃木県内の高齢者施設では入所者68人のうち、

ワクチンの2回接種を終えた60~90歳代の

36人が感染。

沖縄県与那国町でも、町内の高齢者施設で

ワクチンを接種した入所者の感染が確認された。

岐阜県岐阜市の高齢者福祉施設では入居者と

職員の5人が感染するクラスター(感染者集団)

が発生したが、5人全員がワクチンを2回接種

していたという。

いずれのケースも、感染力の強い変異ウイルス

「デルタ株」の影響とみられるが、なぜ、

高齢者はワクチンの効き目が弱いのか。

東京都COVID-19タスクホース技術アドバイザー

を務める国立病院機構京都医療センターの

林琢磨氏(がん医療研究室室長)に聞いた。


 ◇  ◇  ◇


 ――2回のワクチン接種を終えた65歳以上で

感染者が増えています。


 まず、教科書的に言えば、ワクチン接種に

よって生体内での異物、つまり、ウイルスや

バクテリアに対する免疫応答が活性化されれ

ば、発熱や倦怠感、頭痛などの全身性の副反応

が認められます。

従って、ワクチン接種による免疫誘導は、

これらの副作用の発症と相関しています。

そして高齢者におけるワクチン接種部位の

局所の副反応、発熱や倦怠感、頭痛などの

全身性の副反応の発症頻度はこれまで、

若年層と比べて低いことが報告されています。


 ――副反応の発症頻度が低いということは、

高齢者の中には免疫誘導、つまり、抗体価が

必ずしも高まらない人がいる可能性があると

いうことですか。


 臨床研究によると、初期のアルファ型

ウイルスに対するワクチンの中和抗体価は

年齢と負の関連があり、変異したガンマ型

ウイルスに対する中和抗体価は、すべての

年齢で減少していました。

これらの結果から、65歳以上の高齢者は、

ワクチンを接種しても抗体の生産が強く

誘導されないか、または免疫応答が誘導さ

れても、早期に抗体価が下がってしまって

いる可能性があるのです。


 ――ワクチン接種を終えた高齢者が入所す

る施設でクラスターが発生しているのも、

抗体価が下がったことが原因なのでしょうか。


 これまでの臨床研究で、1回目のワクチン

接種では、抗体の生産は強く誘導されない

ものの、2回目の接種によって強まることが

明らかになっています。

ただ、これは健常者を多く含む調査結果です。

高齢者は、糖尿病や高血圧などの心血管病の

ほか、がん治療中など、様々な疾患を抱えて

おり、とりわけ高齢者施設ではそうした病歴

を有する多くの人が生活しています。

臨床研究では、ワクチンの2回接種によって

誘発される抗体価は、健康な被験者よりも

がん患者の方が有意に低いことが報告されて

います。

残念ながら、がんや心血管病の患者の中には、

2回目のワクチン接種でも、免疫応答が強く

誘導されない人もいると考えられます。


■mRNAやDNAを使ったワクチンは、免疫の

 持続性がやや弱くなる可能性


 ――イスラエルではワクチンの3回接種も始ま

りました。

日本でも河野大臣が来年にも3回目の接種につい

て言及しています。ワクチンの効果はどのくらい

持続性があるのでしょうか。


 イスラエルの臨床研究では、ワクチンの2回

接種後6か月頃になると、抗体価が70%くらい

まで下がり、3回目の接種によって再び抗体価

が上がることが認められています。

不活化したウイルスを使った従来の不活化ワク

チンなどと比較して、現在、多く用いられている

「mRNA」ワクチンは、早期の大量製造、

販売を行えるため、新型コロナウイルスに対して

は有益だと思います。

かつて、マサチューセッツ工科大(MIT)で、

「HIV-1遺伝子」を用いたDNAワクチンを作った

経験がありますが、この「AIDS-DNA」ワクチン

をマウスやウサギ、アカゲザルなどに2回接種

したところ、抗体価が有意に上昇しました。

ところが、その後、2か月経過すると、抗体価

が緩やかに低下しました。


 この結果から、コロナワクチン接種後の免疫

応答の変動と、「AIDS-DNA」ワクチンの免疫

応答の変化を合わせて考えた場合、mRNAや

DNAを使ったワクチンは、免疫の持続性が

やや弱くなる可能性があると考えられます。


 ――新型コロナのウイルスはデルタ株やミュー株

など、新たな変異株が続々と出現しています。

現在の治療法はどこまで有効なのでしょうか。


 遺伝子変異はウイルスでは必ず生じることなの

で、特に驚く自然現象ではありません。

変異が生じることで、ウイルス構造蛋白質の立体

構造が変化するため、ワクチン接種で誘導された

抗体が、変異ウイルスを認識出来なくなる可能性

が生じるのは当たり前です。

WHO(世界保健機関)は、コロナウイルスの注目

すべき変異株(VOI)の感染拡大状況について、

イプシロン型、ゼータ型、シータ型について、

VOIから「監視を継続する変異株」へ再分類しまし

た。

つまり、これらの3つの検出数は減少しており、

世界的に発生率が低下しています。

CDC(米疾病予防管理センター)は、イプシロン型

の感染症に対して、現在処方されている

ステロイド剤や抗体カクテル療法などの治療法が

有効であるとしています。


 ――ワクチン接種に対しては否定的な見方も

ありますが。


 これまでの臨床試験より、ワクチン接種が重症化

を防ぐのは明らかで、早期のワクチン接種が推奨

されます。

鼻腔や上気道の粘膜細胞の表面上に分泌される抗体

は、新型コロナの感染を生体への進入路で阻止する。

この働きを行う抗体はIgA(粘液性免疫)であり、

不活化ウイルスを用いたインフルエンザワクチン

接種では、この抗ウイルスIgAの生産、分泌は強く

誘導されません。

しかし、mRNAワクチン接種では、抗ウイルスIgA

の生産、分泌が強く誘導されることが確認されて

います。

(聞き手=遠山嘉之/日刊ゲンダイ)


【転載終了】

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 抗体の減少率は、人種(DNA)により

個体差があるかも知れないですね。


 抗体は2ヶ月~6ヶ月くらい経過して徐々

に減少していくと考えても良さそうですね。


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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