コロナ治療薬は「ワクチンの代わりにならない」
News week
【転載開始】
■コロナ治療薬は
「ワクチンの代わりにならない」
その理由とは?
2021年11月9日
米メルクと米ファイザーが開発
した新型コロナウイルス感染症治療
の飲み薬は、早期に服用すれば
重症化や死亡のリスクを抑えられる
効果が確認された。
しかし、医師らは治療薬の効果と
ワクチンの予防効果を混同し、
ワクチン接種をためらうことがあって
はならないと、警鐘を鳴らしている。
カイザー・ファミリー財団の調査に
よると、米国では成人の72%が1回目
のワクチン接種を終えたが、その後の
接種ペースは減速している。
米国ではコロナワクチンの価値と
安全性について、党派間で見解が
分かれており、企業や州、連邦政府に
よる接種義務化が接種を促進する半面、
接種を巡る論争をあおった側面もある。
経口治療薬の登場により、
接種プログラムがさらに阻まれる
可能性も指摘されている。
ニューヨーク市立大学(CUNY)
公衆衛生大学院が市民3000人を対象
に行った調査では、治療薬が
「ワクチン接種を進める取り組みの
障害になりかねない」
(CUNYの公衆衛生コミュニケー
ション専門家、スコット・ラット
ザン氏)との暫定結果が出た。
ラットザン氏によると、調査対象の
8人に1人は、ワクチンを接種される
よりも治療を受ける方がましだ、と
答えた。
「これは高い数値だ」と同氏は言う。
ファイザーは5日、新型コロナ治療薬
「パクスロビッド」の臨床試験(治験)
で、重症化とそれに続く死亡を89%
抑える効果を確認したと発表した。
これに先立ち、メルクなどは10月、
抗ウイルス薬「モルヌピラビル」が
重症化・死亡リスクを半分に抑えると
発表。
英当局は4日にモルヌピラビルを条件
付きで承認した。
両薬ともに、米当局の承認はまだ
得ていない。
だが、12月には販売される可能性が
ある。
ただ、米ベイラー医科大学のワクチン
専門家、ピーター・ホテズ氏は
「抗ウイルス薬だけに頼るのはサイコロ
を振るようなものだ。確かに何もない
よりはましだが、イチかバチかの賭けに
なる」と語る。
ロイターが取材した感染症専門家6人
は、有効な治療法が登場することを
一様に大歓迎しているが、ワクチンの
代わりにはならない、という点でも意見
の一致を見た。
ジョージワシントン大学の救急医
リーナ・ウェン氏は
「ファイザーのニュースは素晴らしい
朗報だ。ワクチンと併せて効果を発揮
するが、代わりにはならない」と言う。
ファイザーのアルバート・ブーラ
最高経営責任者(CEO)は5日の
ロイターのインタビューで、ワクチン
接種を受けない選択を行えば
「悲劇的な間違いになる」と強調。
「(新薬は)治療薬だ。不幸にも感染症
を患った人々のためのものだ」とし
「自らを守らず、自分自身と家族、社会
を危険にさらす理由にはならない」と
述べた。
■早期投与の難しさ
専門家らによると、体内でウイルスの
複製を阻止する抗ウイルス薬は、
感染初期の限られた期間に投与する必要
がある。
この点が、新薬だけに頼るべきではない
主な理由の1つとなる。
新型コロナウイルス感染症には複数の段階
があるからだ。
最初の段階で、ウイルスは体内で急速に
複製する。
しかし、新型コロナの最悪の症状の多くは
第2段階で表れる。
複製したウイルスが引き起こす免疫反応に
よる現象だ。
非営利組織、ジャスト・ヒューマン・
プロダクションズの創設者である
感染症専門家、セリーヌ・ガウンダー氏は
「入院が必要な息切れやその他の症状を
ひとたび起こしてしまえば、免疫不全段階
に入ったということであり、抗ウイルス薬
は大した効果を発揮しなくなる」と言う。
ホテズ氏も同意見だ。
同氏によると、ウイルスが複製段階から
炎症段階に移行するまでの期間は流動的
なため、十分に早い段階で治療を受ける
ことは簡単ではない。
「ある人は早めに移行し、他の人は遅め
に移行する」という。
ホテズ氏は、感染症の初期段階では多く
の人々が驚くほど体調が良いと説明。
このため、炎症段階の始まりを告げる
初期兆候の1つである酸素レベルの低下に
気付かない可能性があるという。
「病気を患ったと気付いた時には手遅れ、
ということがしばしば起こる」とホテズ氏
は述べた。
(Julie Steenhuysen記者)
【転載終了】
*************************
抗ウィルス薬は、ワクチンとの
相乗効果が必要ということでしょうかね。
初期段階での効果とありますので、
PCR検査が重要なファクターになりそう
ですね。
0コメント