生活を脅かす「負のデータ」の数々
日刊ゲンダイDIGITAL
【転載開始】
■値上げラッシュ、上がらない賃金、倒産、
失業・・・生活を脅かす「負のデータ」の数々
公開日:2021/11/30
新型コロナウイルスの感染者数はひところ
に比べ減少し、繁華街の人出は戻りつつある。
リベンジ消費という言葉も登場するほどで、
このままコロナ禍が落ち着けば景気回復の
期待は高まる。
だが、今秋は値上げラッシュのうえ、
原油価格も高騰。
そこに円安が重なり、輸入物価の上昇も懸念
される。庶民生活は苦しくなるばかりだ。
■家計切迫 消費支出はマイナス続き
この秋、食料品が次々と値上げされた。
マーガリンは4~12%程度、和洋菓子が約7%、
レギュラーコーヒーも20%前後アップして
いる。
ただでさえ家計は切迫し、1世帯(2人以上)
当たりの消費支出は減少。
総務省の家計調査によると、直近統計の9月
は26万5306円で前年に比べ実質1.9%減った。
8月に続き2カ月連続のマイナスだ。
そこに値上げラッシュ。
ようやく外出自粛から解放されそうだという
のに、コロナ前より“物価上昇”だからたまら
ない。
ニッセイ基礎研究所金融研究部上席研究員
の井出真吾氏は言う。
「実質的に物価は上昇している状況といえま
す。賃上げが伴えば、それほど問題ではあり
ませんが、賃金アップは期待薄といえます」
ここ1、2年、賃金は上がっていない。
それどころか、平均給与の推移にはガク然と
する。
戦後の高度経済成長期に月給は毎年1万円ほ
ど上がっていた。
バブル景気に沸いた80年代後半からもグッと
伸びている。
民間給与実態統計調査(国税庁)によると、
平均給与は1971年に105万7000円と初めて
100万円を突破。
4年後の75年に200万円を超え、その6年後
の81年に300万円に達した。
元号が平成に変わった89年に400万円に到達。
この年の12月に日経平均株価は史上最高値の
3万8915円をつけている。
■平均給与のピークは1997年
そこをピークに株価は下落していき、
いまだ最高値を更新できていない。
「かつて日本株の時価総額は約600兆円あり、
米市場の400兆円を上回っていました。日経
平均が史上最高値をつけた89年当時、NYダウ
は2753ドルに過ぎませんでした。いまやNY
ダウは3万6000ドルを突破しています。当時
のほぼ13倍です。ところが、日本株は89年の
高値を更新できていません」
(経済評論家の杉村富生氏)
そんな状況でも給与は上がっていった。
97年に平均給与は467万3000円まで上昇。
だが、ここをピークに2009年までほぼ一直線
に下降していく。
“失われた20年”だ(別表参照)。
■韓国より低い日本の賃金
13年からは上昇傾向となるが、19年に再び
下落。
昨年は433万1000円で、97年のピーク時には
遠く及ばない。
「OECD(経済協力開発機構)が出している
20年の年間平均賃金で日本は3万8515ドル
(約439万円)です。アメリカは6万9392ドル
(約791万円)。30年前と比べるとアメリカは
48%増ですが、日本は4%増にすぎません」
(杉村富生氏)
日本は、韓国の4万1960ドル(約478万円)
やスロベニアの4万1445ドル(約472万円)、
イスラエルの3万9322ドル(約448万円)より
少ない。
■コロナ倒産は増え続ける
昭和の高度経済成長期、そしてバブル期と
サラリーマンは花形だった。
しかし、平成不況に入ると格差は拡大して
いった。
上場企業の役員に“1億円プレーヤー”が続出
する一方、サラリーマン給与は低迷。
コロナ禍で外食業は大ピンチに陥り、倒産が
続出した。
東京商工リサーチによると、新型コロナの
関連倒産は2420件(11月12日時点)。
10月は過去最悪の164件を記録している。
「業種別で見ると飲食業が409件で最も多く
なっています。次いで建設業の226件、ホテル
・旅館も103件を数えます。緊急事態宣言が
解除され、飲食業は一息ついたかもしれません
が、引き続きコロナ関連倒産は高水準で推移す
ると予想されます」(東京商工リサーチ関係者)
業績は悪くないのに希望退職者を募る
大手企業が続出している。
「コロナ禍が落ち着いている今がリストラの
チャンスだと判断しているようです。コロナ禍
でリストラを実行するとイメージダウンにつな
がりかねません。だから、今なのです」
(市場関係者)
実際、東京商工リサーチの調査では黒字企業の
希望退職募集は27社(9月末時点)にのぼった。
■非正規社員の割合は40%へ上昇
失業者も増え続けている。
労働力調査(総務省)によると9月の完全失業率
は2.8%。6月2.9%で、7月2.8%、8月2.8%と
高止まりだ。
年間ベースでは18年、19年とも2.4%なので
失業率は間違いなく上昇している。
「非正規が増えているのも問題です。雇用者
全体に占める非正規の割合は、90年ごろは約
20%でしたが、20年は37%強に達しています。
この30年間でほぼ倍になった。生活の安定しな
い人たちが40%近くもいるのです」
(経済評論家の倉多慎之助氏)
非正規労働者や失業者が増え続け、給与は
韓国やイスラエルより低い。
そんな状況のなか、食品など生活必需品は
値上がりしていく。
原油高の影響で電気代は毎月のようにアップ。
11月の標準家庭の電気料金(東京電力)は1月
に比べ1000円も値上がりしている。
ガソリンも高騰だ。資源エネルギー庁の発表
では今月1日時点の全国レギュラーガソリンの
平均価格(1リットル当たり)は168.7円と、
9週連続で上昇した。
年始からの上げ幅は30円になる。
今後も原油高による値上げは続きそうだ。
ガソリン代の上昇でネット通販の配送代は
アップしかねない。
船の燃料代が上がれば魚介類の値段は上がる。
さらにクリーニング、プラスチック容器(包装)
を使用している豆腐や納豆、ハム、サラダチキン、
菓子パン、コンビニの弁当やおにぎり、
スイーツ・・・。
たとえ数円単位でも、あれもこれも値上げでは
家計は火の車だ。
生活防衛を徹底するしかないのだ。
【転載終了】
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前の記事にも関係してきますが、このよう
な環境下で、「連合」吉野会長では労働者を
守ることは出来ないでしょう。
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