65歳以降「年金だけでは暮らせない」という現実・・・
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【転載開始】
<65歳以降「年金だけでは暮らせない」という現実より抜粋>
■22年前の年間収支の赤字はわずか15万円!
さて、本棚から出てきた古い家計調査年報のデータを
見てみよう。
昭和58年と直近を比較したかったのだが、この頃は
「高齢無職夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)の家計収支」
のカテゴリーがない(調査としてあったのかもしれないが、
掲載はされていない)。
当時は60歳から満額の年金が支給されていたので、
年金生活は60歳から。
「60歳以上の高齢世帯(夫婦ではない)」の収入には、
夫が少し働いて得た収入や、夫婦以外の同居の家族の
収入や支出も含まれているので、現在の調査とは連動性
がない。
昭和と比較できなくて、残念。
比較できる資料の中で最も古いのは1994年のデータ
であった。2016年の収支と比べてみよう。
グラフで目を引くのは、1994年の赤字額が少ないこと。
年間収支は、2016年がマイナス66万円に対し、1994年は
マイナス15万円で済んでいる。
赤字額が少ない要因は、次の2つ。
(1)年金収入が2016年より21万円多い
(2)消費支出は16万円、税金・社会保険料ともに今より
15万円少ない
赤字額が少なければ、老後資金の取り崩しのペースが
緩やかになる。これは年金生活者にとても重要なことである。
「老後資金はいくら貯めるといいですか?」といった質問に
私は次のように答える。
【老後資金の目安=下記AとBの合計額】
A.65~90歳までの25年間の「年間収支の赤字」の合計額
B.病気の備えや住宅の修繕費、車の買い換え費用などの
数年に1回の「特別支出」
25年間の特別支出を1000万円と見積もったとする。
年間収支の赤字額が15万円なら25年間で375万円、
特別支出と合わせると、老後資金の目安は1375万円の
計算になる。
ところが、年間収支の赤字額が66万円なら、取り崩し額は
25年分で1650万円、特別支出との合計額は2650万円にもなる。
年51万円もの赤字分の差は、25年分の累積だとさらに重たい
ものになる。
収支赤字の額は、老後の生活に大きな影響を与えることが
わかるだろう。
もちろん、すべての人が家計調査のデータ通りに暮らす
わけではないので、年間収支は各世帯により異なる結果
になる。
ただし、まだ老後を迎えていない人にとってみると、
「年金生活」の具体的な支出イメージは持ちにくいので、
家計調査データは参考になるのだ。
年金額は人によって異なるが、現役の時よりも収入格差が
少ない。
そういう意味でも「高齢無職夫婦の年間収支」は、
使える資料なのである。
■手取りで見ると17年間で33万円の減少!
3つ目のグラフも見てほしい。
これは、年金収入が厚生年金と企業年金
(退職金の分割受け取り)の合計で300万円ある人の
手取り額を試算したグラフだ。
手取り額とは、「額面の年金収入」から「所得税・住民税+
国民年金保険料・介護保険料」を差し引いた金額のこと。
手取り額は、1999年には290万円あったのが、
2016年は257万円。
なんと17年間で33万円も減っている!年金生活者の
デモ行進が起こってもおかしくないくらいの減り方である。
原因は、税金と社会保険料の負担アップである。
グラフの内訳を見ると、1999年は介護保険が導入されて
いなかったので、「使えないお金」は国民健康保険料が
10万円程度だけ。
今より高齢者向けの税金優遇もあり、所得税・住民税は
かからなかった。
しかし、現在は介護保険料もかかり(介護保険は2000年
に導入)、国民健康保険料はアップし、高齢者向けの
税優遇は廃止・縮小され(老年者控除の廃止、公的年金
控除の縮小)、所得税・住民税がかかるようになった。
グラフの試算は、東京23区に住んでいる人の例だが、
社会保険料が30万円、所得税と住民税は合計で
13万円かかる計算となっている。
今回は怖いグラフの3連発だったため、暗い気持ちに
させてしまったかもしれない。
しかし、少子高齢化が進み、「年金額は徐々に減少、
高齢者でも税金と社会保険料はこれからも負担増が
続く」という流れはこれからも続くだろう。
考えたくない現実かもしれないが、働いている間にぜひ
知っておいてほしい。
「老後は何とかなる」と思ってはいけない。
「何とかする」と思えるように、マネースキルを身に
付けていこう。
((株)生活設計塾クルーファイナンシャルプランナー深田晶恵)
【転載終了】
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夫婦ともに施設に入所するするとなると2000万円超
必要のようです。
老後には施設入所を含め、
3000万円超の手持ち資金が必要になりそうですね。
現在の若い世代では、年金支給が75歳となれば、
預貯金のない世帯は老後に生活保護が必要になりそうです。
昨年発刊の著書に「・・・親を捨てる時代」というのがありましたが、
現実の問題になりそうな気がします。
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