日本ほど感情的な選挙を行う国はない・・・
日刊ゲンダイDIGITAL
<解散は詐欺師の手口 和田秀樹氏が懸念する感情的な日本人>
※長文なので抜粋
【転載開始】
■日本ほど感情的な選挙を行う国はない
――勝てば官軍の発想ですね。
今回の解散・総選挙も詐欺的です。
心理学のテーマとして、詐欺師について研究した
ことがあるのですが、歴史的な詐欺師に高学歴の
人はほとんどいない。
人を騙すのに必要なのは理論ではなく、感情に
働きかけることだからでしょう。
たとえば、振り込め詐欺は、基本的に3つのテクニック
で構成されます。
「不意打ちにして考える時間を与えないこと」、
「不安感情で揺さぶること」、そして「情報の遮断」です。
今回の解散・総選挙は、この3つの詐欺テクニック
そのものですね。
不意打ちで即断即決を迫り、北朝鮮のミサイル危機を
煽って不安感情に訴えれば、国民はコロッと騙されると
考えているのでしょう。
――ずいぶんナメられたものですが、メディアが
政府の言い分を垂れ流せば、判断材料も奪われて
しまう。情報の遮断です。
ジャーナリストを萎縮させているのも不安感情です。
記者クラブでの孤立を恐れ、たがいに同調し合う傾向に
陥っている。
会見で権力者を怒らせるような質問をすると、
その記者を排除しようとする過剰な忖度も働いています。
マスメディアが闊達さを失うと、不安感情であれ、
嫉妬であれ、人々はメディアが発信する感情の通りに
動かされやすくなる。
高齢者による自動車事故をメディアが頻繁に報じれば、
「免許を取り上げろ」という魔女狩りのようなことも
起こります。
きちんと統計にあたれば、実際は高齢者よりも
25歳以下の若者の方が事故を起こす確率が高いのに、
免許取得年齢を引き上げろとは誰も言わない。
統計ではなく感情で政策が決まる稀有な国なのです。
■弱者に冷たい「男性ホルモン欠乏政治」
――感情的な投票行動は、結果的に国民が
損をすることになりそうですが……。
これほど感情的な選挙を行っている国は、
おそらく他にありません。
いまの日本という国家を家族に例えるならば、
こういうことです。
安倍首相を“お父さん”としましょう。
この家の収入は50万円なのに支出は100万円も
あって、1000万円もの借金を抱えている。
そのうえ両親は寝たきりで、医療・介護費の負担は
年々、増えていく。
子どもは学力が低く、教育費もかさむ。
そんな満身創痍の状態なのに、隣の家族がガラが
悪くて物騒だからと、お父さんは自宅のセキュリティー
システムや、不審者を返り討ちにするための護身具に
バンバンお金をつぎ込んでいる――。
一家の大黒柱がそんなむちゃをしていれば、
普通は「そんなムダ遣いして!」と文句のひとつも
言いたくなるでしょうが、「さすがうちのお父さんはスゴイ」
と拍手しているのが日本の有権者ではないでしょうか。
――冷静に考えれば、いつ来るか分からない泥棒を
恐れて警備に散財している場合ではない。
このままでは早晩、この家は行き詰まります。
隣家の脅威よりも、足元の生活が揺らいでいることが
問題で、そこを立て直すことこそが家族の「命と安全を守る」
ことなのに、本当にあるかどうかも分からない外の
脅威に大騒ぎして、目の前の深刻な問題への対策を
放置しているのが日本の現状です。
たしかに北朝鮮の核・ミサイル開発はけしからんこと
ですが、社会の底が抜けるかもしれないという足元の
脅威の方が起きる確率が高いのに放置し、
北朝鮮の暴発という確率の低いことに必死で対策している。
それも、役に立つかも分からないミサイル迎撃システムに
数千億円を投じるくらいなら、核シェルターを全国に整備
した方がはるかに現実的です。
――外部に敵をつくることで求心力を高めようと
しているだけで、本当に国民の方を向いた政治が
行われていない。
興味深いデータがあります。
男性ホルモンが多いと性欲や攻撃性が強くなると
思われていたのですが、最新の研究では、人づきあいが
円滑になったり、奉仕の精神が生まれやすいことが
分かってきました。
男性ホルモンが減ってくると、女性だけでなく、
人間そのものに対する興味や、ボランティアの心が
なくなってくる。
安倍首相をはじめとして、弱者に冷たい今の日本の政治は、
総じて男性ホルモンが欠乏している状態だといえるでしょう。
そういう政治が続いていいのかが、来る国政選挙で
問われているのだと思います。
(聞き手=日刊ゲンダイ・峰田理津子)
▽わだ・ひでき 1960年大阪府生まれ。
東大医学部卒。米国カール・メニンガー精神医学学校
国際フェローを経て、現在は精神科医。
「感情的にならない本」「『高齢者差別』この愚かな社会」
など著書多数。
【転載終了】
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とにかく、マスコミがアンダーコントロールされていて、
情報が少ないのでTVや商業新聞に踊らされるという
ところもあるでしょう。
いろいろな情報を集め、その中から方向を見出すような、
情報リテラシーの訓練が必要ですね。
安倍首相をたとえにしたところは“そのまんま”で
笑ってしまいましたが。
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