日銀が出口戦略に転換できない本当の理由・・・
小笠原誠治の経済ニュースゼミ
【転載開始】
■日銀が出口戦略に転換できない本当の理由
日銀の黒田総裁は、今回の記者会見で、
物価上昇率が2%の目標に達しない状況で
出口戦略を考えるのは本末転倒だと言いました。
今から約5年前、何が何でもデフレ脱却
(=物価のマイルドな上昇)が先決だとの
安倍総理の強い意志に基づいて日銀は
物価目標値を掲げて今日までやってきた訳ですが…
笛吹けど踊らず!
つまり、マイルドなインフレは起きておらず、
その意味では緩和策を続けるのも一応筋は
通っているかに見えるのですが、その一方で、
日本は今や人手不足が問題になるほどで、
そして需給ギャップも既に解消しているのです。
景気はこんなによくなったと安倍総理も
選挙戦でどれだけ自慢していたことか!
しかし、政策金利はマイナス0.1%、そして
長期金利はほぼゼロ%に誘導するという
超緩和策は依然として続くのです。
何故、このような超緩和策を継続する必要が
あるのでしょうか?
巷では、出口戦略を議論しようとしても政治の
圧力があって、それができないのだという解説が
あるほどです。
つまり、日銀は泥沼にはまったようなものだ、と。
泥沼というよりも、底なし沼、或いは蟻地獄と
いった方が分かりやすいかもしれません。
では、政治家は何故超緩和策を止めるなと圧力
をかけるのでしょうか?
円高に転じてしまうから?
株価が下落する恐れがあるから?
そうしたことも大きな理由だと思いますが、
もう一つ大きな理由があるのです。
グラフをご覧ください。
こんなに恐ろしい事実を示したグラフがあるかと
言いたいほど!
全然怖くない?
でも、グラフの意味することをよく考えてみて下さい。
過去17年間、政府が毎年度支払っている
利払費がどのように推移したかを示しています。
そして、併せて公債(国債)残高の推移も示しています。
バブルが弾け始めたと言われた1991年度の利払費
は10兆円を超していたことが分かります。
そのときの国債残高は200兆円弱。
そして、ご承知のようにその後も国債残高は
年とともに上昇している様子が窺えます。
一方、利払費の方は、8年間ほど横ばいの
水準で推移していたものの、その後ガクンと
減少するのです。
金利が大きく低下したからです。
もっと正確に言えば、国債残高の増加のペース
よりも金利の低下のペースが早いからそうなるのです。
でも、その利払費もその後は、少しずつ増加
しています。
但し、利払費の増加のペースは国債残高の
増加のペースほどではありません。
過去16年で、国債残高は4倍以上に増えて
いるのに利払費はむしろ減っているのです。
仮に金利が間ずっと変わらなければ利払費も
4倍以上になっていたでしょう。
つまり年間40兆円以上に。
それが今現在では9兆円ほどで済んでいるのです。
ということはですよ、仮に今金利がかつてほどの
水準にあったとしたら、利払費だけで後、
30兆円以上も財源を探し出す必要があり…
そして、それは殆ど無理だから利払のために
更に国債を発行するという自転車操業が
始まっていて、国債の残高は今の規模を
遥かに上回る水準になっていたと想像できます。
私は何を言いたいか?
要するに、日銀が金融政策の正常化に乗り出して、
金利を上昇を容認するならば、利払費が増大して
政府は予算を編成するのが非常に困難になると
いうことなのです。
教育の無償化?
バカ言っちゃいけないと言われるほどで、
様々な予算がバサバサと切られてしまう事態に
なってしまうでしょう。
要するに、金利が上がると、安倍総理が好きな
ばら撒きができなくなってしまう。
そして、ばら撒きができなくなると、支持率も下がる、と。
逆に言うと、今の政策を続けると、将来の世代が
大変な目に遭うということなのです。
【転載終了】
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日銀は引き返すことができないところまで
来ているのかも?
金融業界もゼロ金利継続で疲弊し、
日本国債購入の体力もないのでは?
海外が日本国債を放出してきたら、
日銀しか購入するところはないでしょう。
日銀総裁は黒田氏を代えることができないのが、
中央銀行としての今の日銀の姿ではないでしょうか?
安倍政権の経済音痴はもう周知のとおりで、
キャッチコピーで看板を掛け替えてのごまかしです。
特に、安倍首相は「何々改革」などを好んで
使いますので、若い世代は保守ではなく改革派と
思い込んでいるようだとの分析もあることから、
そのような、政治的に幼い票が今回の選挙で
自民に入ったとのこと。
今回初めての選挙に臨んだ十代の票は、
社会経験を積んでしっかりした投票ができるように
なるでしょう。
私見ではありますが。
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