ロシアのウクライナ侵攻は米軍のイラク戦争とどう違うのか

特別寄稿


【転載開始】


■ロシアのウクライナ侵攻は米軍の

 イラク戦争とどう違うのか

 公開日:2022/04/30


 国連憲章によれば国家が武力を行使

できるのは自衛権の行使(51条)か、

安全保障理事会が軍事的措置を認めた

場合(42条)に限られる。

今回、ロシアはウクライナから攻撃を

受けていたわけではないから自衛権の

発動ではないし、安保理の承認を得て

いなかったから国連憲章違反の暴挙で

あることは明白だ。


 憲章を無視する国が常任理事国と

して拒否権を持つのは国連の機能を

妨げるから、ジョンソン英国首相の

報道官は

「常任理事国からロシアを解任する案

を議論する用意がある」と表明した。


 だが、この論者は2003年3月から米、

英が始めたイラク戦争を忘れている

ようだ。

米国は怪しげな亡命者の

「イラクはなお大量破壊兵器を保有し

ている」との言をもとにイラクを攻撃

しようとした。

国連は02年11月から核兵器と生物・

化学兵器の2つの査察団を派遣、

イラクの妨害を受けず米国などが疑惑

の対象としたすべての地点を含む

計978回の再査察を行い、03年3月7日

の安保理で

「イラクの核能力は1997年にすべて

解体され、再開の証拠はない」

「生物・化学兵器の備蓄や活動の証拠

は発見できなかった」と報告した。


 このため安保理は米国が求めた武力

行使容認決議をしなかったが、

ブッシュ(息子)大統領は

「米国が安全保障に必要な行動を取るの

に国連の許可を得る必要はない」と国連

を踏みにじる暴言を吐き、3月19日から

米、英軍はイラクに侵攻、全土を占領し

たが大量破壊兵器は見つからなかった。


■民間人16万人が死亡している


 イラク人は占領軍に対しゲリラ、テロ

で抵抗を続け、米国がつくった政府軍と

戦い、そこに宗派、民族の対立も

加わったからイラクは大混乱となり、

米軍が8年9カ月後に撤退するまでに

民間人16万人以上が死亡した。

そのすべてが米軍に殺されたわけではな

いが、米軍の侵攻がなければ惨禍は生じ

なかっただろう。


 米軍は家探しをして反抗的な者を射殺、

拘束し、アブグレイブ刑務所だけでも

4500人が収監、拷問され、少なくとも

250人は裁判も受けず、キューバの

グアンタナモ基地で檻に入れられていた。

ポンペオ前国務長官は下院議員当時、

「拷問をする者は愛国者」と言ったこと

で知られる。

こんな人物が他国の人権問題を語るのは

滑稽だ。


 第2次世界大戦で日本は死者310万人を

出したが、うち80万人は民間人で、

沖縄では民間人9万4000人、広島では

14万人以上、長崎は7万人以上、

東京大空襲では11万5000人以上が死亡し

た。


 米軍のB29による日本本土空襲の目標は

当初は軍事施設と兵器関連工場が主だった

が、1945年に入ると都市への無差別な

焼夷弾攻撃が多くなり、民間人の犠牲者が

急増した。

その指揮官カーチス・ルメイ准将は戦後、

大将、空軍参謀総長となり

「航空自衛隊の育成に協力した」として

1964年に勲一等旭日章を授与された。

今日、日本政府がロシアのウクライナに

対する無差別爆撃、ミサイル攻撃を非難

するのは正当だが、同様だったイラク戦争

では米国の愚行に加担したことを思い、

ルメイ大将への叙勲のようなお追従になる

ことは避けてほしいと感じざるを得ない。


【転載終了】

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 国連の常任理事国が、主権国家に

侵攻するのは大問題です。


 常任理事国は戦争を仕掛けない

ことが前提であり、その常任理事国

が他国に侵攻して拒否権まで行使し

たことは国連の存在意義を根底から

崩してしまいます。


 現在の常任理事国に米・露・中の

他国を脅かしている大国が居座るの

も問題です。


 理事国で4年位の任期制にして、

半分づつを入れ替えするのがいいの

では。


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