正義面した役人どもに、日本の会社が潰される・・・
週刊現代
【転載開始】
■正義面した役人どもに、日本の会社が潰される
日本のモノづくりは地に堕ちた。
製造業の根幹が崩れた。そんな悲愴な声が
聞こえてくる。
主に、霞が関のほうから――。
危機が大きくなるほど好都合。
役人たちがなにやら不穏なことを企んでいる。
■君たちにそんな権限はない
それは、神戸製鋼所のデータ不正問題にしても
同じこと。
経産省はデータ不正が明るみに出た10月8日の
2日後にはさっそく記者会見を開いて、神鋼側に
原因究明を指示したなどと胸を張って見せたが、
実は経産省にはそんな「権限」がないことをご存じ
だろうか。
経済ジャーナリストの磯山友幸氏が指摘する。
「経産省は鉄鋼、非鉄金属業界を所管はしている
ものの、関連企業を監督・指導する権限は法的には
認められていない。処分するような権限もない。それ
なのにしゃしゃり出てきていること自体、おかしなこと
です。
そもそも、今回のデータ不正問題は神鋼と取引先
間の問題であって、経産省が出る幕はない。
法律違反をしているわけでもないのだから、本来で
あれば黙っていなければいけないのに、経産官僚たち
は神鋼の社長を霞が関の経産省本部まで呼び出した。
しかも、局長クラスを前に頭を下げさせて、それを
メディアに撮影までさせたのは明らかにやり過ぎです」
そうした経産省の行動が世論の不安を掻き立て、
余計に問題を大きくしている面は否めない。
もちろん神鋼がデータ不正をしたのは民間企業として
アウトだが、いまのところ納入された製品で不具合は
見つかっていないし、人命に結びつくような事故が
起きているわけでもない。
過去1年に不正製品が納入された525社のうち、すでに
一定の安全確認がとれているのは470社。
即座に回収が必要となるような安全性に問題のある
ケースはひとつもない。
「当初はこの問題が経営にどのくらいの影響を及ぼす
かが不透明だったため、株価は1369円から774円まで
半値近く暴落しました。しかし、製品納入先のトヨタなど
が『安全に問題はない』と立て続けに発表したことで、
マーケットは過剰反応を修正。最近では1000円を超える
水準まで株価が戻っています。データ不正は問題だが、
それが経営に致命的な安全問題にならないことがわか
ってきたので、神戸製鋼の株価はこれから暴落前の
水準にまで戻るでしょう。かつてデータ不正問題を
起こした東洋ゴム工業、旭化成なども問題以前の株価
をすでに超えています」
(絆アセットマネジメント社長の小沼正則氏)
にもかかわらず、むしろ危機をあおるように扇動して
いるのが、ほかならぬ経産官僚たちなのである。
■天下り枠欲しさに恫喝
経産省の「出しゃばり」はとどまるところを知らず、
10月末には日本工業規格(JIS)の認証機関に対して、
神鋼にすでに付与しているJISの再審査の検討を
するように指示を出した。
経産省には認証機関に対して再審査を指示する
権限がないにもかかわらず、である。
実は神鋼のボードメンバーには、元経産事務次官の
北畑隆生氏が社外取締役で入っている。
「その北畑氏はすでに在任7年で、そろそろ退任しても
おかしくない。経産官僚たちからすれば、これを『天下り
枠』として引き続きキープしたい。いま経産省が執拗に
神鋼を攻撃しているのは、その枠欲しさに『恫喝』している
ように映る」(神鋼の大口取引先幹部)
民の不祥事を喰って、官が肥大化していく……。
当然、そうして役人たちが民間企業にモノを言えば
言うほど、経営には悪影響でしかない。
一昨年から世間を騒がせている東芝にしても、
半導体事業の売却交渉に経産省が「日本の技術流出を
防ぐ」などと介入してきたのは記憶に新しい。
しかし、結果として事態を混乱させて、経営危機を深めた
だけだった。
「最近、こうした役人の介入で民間企業の経営が迷走
させられるケースが増えている。シャープが経営危機に
陥った時も然りで、経産省が業界再編を画策しようとした。
しかし、シャープ経営陣はそんな官僚主導の再生プランを
拒否した。結果として、いま見事にV字回復を果たしている。
もとより役人たちに民間企業の経営の機微などわかるはず
もないのです」(前出・磯山氏)
前出・吉川氏も言う。
「霞が関の役人たちは、グローバル競争時代に企業が
生き残っていくことの厳しさを肌身でわかっていない。
もともと日本企業は過剰規制のもとに過剰スペックを
強いられてきたことで、グローバル競争で後手に回って
いるのが現実です。それなのにこれ以上、官が民に
余計な規制やコストを強いるようになれば、企業の
生死に直結することになりかねない」
このグローバル経営時代にあって、日本企業にとって
一番怖いのは「役人リスク」。
正義面した役人たちに日本の会社が潰される。
「週刊現代」2017年11月25日号より
【転載終了】
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経産省は安倍官邸と密接な関係にあり、
思いあがったような振る舞いが目立つと
言われていますが、何れ、仇を取られそうな・・・
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