希望の党「合流劇」全真相インタビュー ・・・小沢一郎。
【転載開始】
■激変の世界で日本はどう生きるべきか
米国追従、9条改憲、森友・加計学園疑惑…
問題だらけの安倍独裁を許しているのは野党の
だらしなさではないか。
野党共闘のキーマン、小沢一郎自由党共同代表
(75)が、選挙戦での「希望合流劇」の全真相を
明らかにし、政権交代へのあくなき展望と戦略を語る。
倉重篤郎が迫る。
先の衆院選時の野党再編政局。
全体像を検証する上で、いくつかの足りないピース
がある。
その最たるところは小沢一郎自由党共同代表の
動きであった。
小沢氏は志位和夫日本共産党委員長との連携を
軸とした4野党共闘態勢の実質的な後見役だった。
氏の戦略は、全国で600万ある共産党票を味方に
しながら、いかにアンチ安倍(晋三政権)の一点で
共闘できる輪を広げていけるか、にあった。
言い換えれば、「左手」の600万票を足場に、ただ、
これだけでは自公勢力を凌駕(りょうが)できるまでには
至らないゆえに、いかに「右手」を遠くまで伸ばし、
中道、保守リベラルといった勢力を取り込んでいくか、
そこが勝負どころであった。
その戦略は途中まで生きていた、ように見えた。
前原誠司民進党代表(当時)とも頻繁に接触し、
「左手」は小沢氏が担当、「右手」については前原氏が
可能な限り触手を伸ばしていくことで役割分担してきた
はずである。
その前原氏の究極の選択が、民進党と小池百合子・
希望の党との大合流だった。
小沢氏もこの動きを認知していた。
ある意味、許容もしていた。
だが、ある晩を期して情勢は小沢氏の手の届かない
ところとなった。
その経緯について、小沢氏が初めて口を開いた。
とともに小沢氏には、久しぶりに政局万般と世界の
動きを展望してもらった。
まずは、あの選挙結果。安倍信任なのか?
「形式的には信任になる。議席を取ったんだから。
だけど中身を見ると野党のどうしようもない状況だ。
国民に選択肢を与えられなかった。こんな野党の
有り様では投票には行きたくなくなる。だから、
2000万票はまだ寝たままだ。これでは勝てるわけ
ない」
2000万票というのは、戦後2番目の低さだった
今回の投票率53・68%と、1990年衆院選の
73・31%の差にあたる推定棄権者票だ。
「選挙というのは、常に相対的選択だ。ベストまで行か
なくてもその都度ベターな選択をするものだ。野党側
の問題があるにしても、安倍政権に対する不満、批判
が大きかった。憲法で認められた主権者の権利行使
として棄権はよろしくないと、国民にも言いたい」
公明党の議席減は?
「公明党も共産党も民進、希望の合流騒ぎの余波を
受けた。立憲民主党が出て反射的に浮動票が集まった。
本来公明、共産に行くべき浮動票が立憲に行った」
「公明党で言えば、本来の組織票とは別のいわゆる
『F』(フレンド)票と呼ばれるものだ。共産党も『F』票が
逃げた。公明党は100万票以上、共産党は170万~
180万票減った。二つで約300万票。それが立憲に
行った」
公明党は選挙区(神奈川6区)まで落とした。
連立疲れが出た、との見方もある。
「そんなに大げさな話ではない。あそこ(神奈川6区)
はもともと公明党はそんなに強くない。むしろ、これまで
よく取っていたというものだ」
■前原君と全く連絡が取れなくなった
特定秘密保護法、安保法、共謀罪と、創価学会本来
の主張と相容(あいい)れぬものを後押ししてきたことに
対する公明党への批判票は?
「それはある。でも今回の100万票ではない」
では、公明党のスタンスは今後も変わらない?
「変わらないだろう。権力志向が強い。権力について
いないとダメだ、という体質的なものがある。だけど、
その都度自分たちはこういうことをやった、安倍政権の
ブレーキ役をしたという宣伝は続けるだろう」
今回の野党合流劇。何がどうしてそうなったのか?
「前原君は時々僕のところに会いに来ていた。その時に、
自分は民進党の最後の代表でいい、何としても野党の
再編、結集をやりたい、と言っていた。大いに結構だから
やろう、僕も協力すると。そういって何度か会談を重ねて
きた」
どこで協力が崩れた?
「その前段階として、既存政党の民進、自由、社民の
3党を結集しようとした。僕が社民を口説いてまず統一
会派を作ろうと。前の夜までOKだったのに当日の朝に
なって社民が断ってきた。一部の人が反対していてダメ
だという。それができていれば、その後の展開も違った。
小池新党ができてもあわてることはなかった。その意味
で言えば、社民も責任がある。結果的に自分のところも
票を減らした」
「そうこうしているうちに小池新党ができた(9月25日)。
前原君はそれまでの小池君の動きについて随分関心
を示していたようだったが、実際にできてみて、えらい
人気になったものだから、小池君と(合流で)話をしたい、
ということになった。僕もこの際、仕方がないと思った。
小池君の人気にあやかって、選挙戦を進めるのが
民進党の意向だった。じゃあ、前原、小池両君と僕の
3人で話し合おうということにした」
そこで、節目の26日だ。
「3人で会おうと言っていたのに、前原君と全く連絡が
取れなくなった」
前原氏が電話に出ない?
「出てこない。うんともすんとも言わなくなった。どう
したんだろうと思っていたら、その晩に前原、小池両君
が会っているらしいと。僕は寝ていて知らなかったが、
それが事実とわかった。神津里季生(こうづりきお)連合
会長も入っていたという。一体何をやっていたのか、と
思ったが、結局は小池君の言うがままになってしまった」
26日深夜の前原、小池、神津会談だ。
神津氏が保証人役を務めた。
「前原君だけで行ってしまった。僕と前原、小池両君の
はずだったんだが……」
なぜそうなった?
「小池君が僕と会いたくなかったのだろう」
小池氏が小沢氏を排除?
「排除したわけではないが、僕とでは自分の思うような
わけにはいかないと。前原君なら、まあ御しやすいと
思ったかもしれない」
小沢氏が苦手だった?
「苦手というわけではないが、見え見えの話だった」
見え見え?
「だって、小池人気はあったが、組織やカネはない。
だから本来は対等合併であるべきだった。あなたは
人気、こっちは組織とカネがあると。対等で話すべき
ところを、一方的に私の言うとおりにしろ、だった。
こんな交渉はない」
もし、あなたがいればどういう交渉に?
「対等合併で存続政党を希望の党にする。簡単な話だ」
「安保だの、憲法だの言い始めたのが小池君の
つまずきのもとだ。それが『さらさら』『排除』発言
につながっていく。安保法制や改憲を踏み絵に
してリベラル排除となれば、ほぼ官邸の人と同じ
になる。野党再編もヘチマもない。僕がその場に
いたら、わからないことを言うな、と言っただろう。
そんなこと言ってたら選挙は勝てない、と」
■小池百合子の「驕りと半端な野望」
前原氏に裏切られた?
「ご本人は裏切ったつもりはさらさらないだろう。
ただ、人間関係、信義についての考え方が少し
甘いと感じた。僕に面と向かって政治の師とか
言っていたわけだから。その後、会いたいという
から会ったが、僕に対して不義理をしたという様子
は一切見えなかった」
なぜ小池氏は排除の論理を?
「うぬぼれがあったのではないか。前原君に
対しては、何を言っても大丈夫だと思ったの
だろう。驕兵(きょうへい)は必ず敗る。ミッドウェー
海戦みたいなものだ。一朝にして奈落の底だ」
小池氏に、衆院選に打って出る、という選択肢は?
「かなりギリギリまで考えていたと思う」
ところでその間、志位氏との連携は?
「共産党とも連携を維持できた。小池氏が安保、
憲法だのと言わなければ……」
ということは合流に共産票が加算された?
「プラスされた。選挙は野党側の圧勝だっただろう。
300議席だ。2000万票が投票に来るからだ」
投票率が70%台に?
「間違いなく2009年パターン(投票率69・28%)
にはなった」
となると、小池首相誕生の可能性があった。
「小池首相だった。野党を分断させず、ニコニコして
改革だ、変えましょうと言っていれば断然勝った」
細川護熙連立政権のイメージか?
「細川連立ではない。ほぼ単一政党だから民主党
政権と同じだ。ただ、民主党よりは、彼女は大人だし、
したたかさを持っている」
意外と安定した?
「そうかもしれない。ある意味、小池氏の首相の座
への野望がもっと本格的なものだったら、別の結果
になっていた。知事に専念せよと言う世論にビビる
ことなく、半端な政策論議もせずに、結果的に野党
分断になることも避けられた」
小池氏は立ち直れるか?
「難しいのではないか。うわべの人気できた人は、
それがダメになった時はなかなか立ち直れない。
豊洲問題だってさっぱり進まない。半端な野望が
希望となり、それが絶望となった」
今回の連合の役割は?
「ダメだった。(26日深夜の会談で)だまされた側に
回ってしまった」
共産党とは組みたくないという連合と前原氏の
反共意識が強すぎた?
「それもある。票は欲しいが、一緒にやるのは嫌だと
言う。ある意味図々(ずうずう)しい。ふざけんなという
話だ。本当はね。だけど、今回はそんな問題とは全然
違う話だ。共産党と連立を組むわけでもない。『+α
(アルファ)』という位置付けでよかった。失敗の原因は
小池氏の驕(おご)りと半端な野望にあった」
結果的に小沢氏の「左手」構想が崩れた。
小沢・志位間もギクシャクした?
「それはない。僕は彼にずけずけ言うし、彼もそこまでは
ちょっと無理だと、率直に言ってくる。僕は共産党には
きちんと筋を通してきたつもりだ。向こうが応援してくれる
なら、こちらもお返しをする。今回の選挙でも穀田恵二
共産党国対委員長(京都1区)や、北海道まで応援に
入った」
■「中国の今後」が世界の運命を握る
世界についても聞く。18年の潮流をどう読むか?
「米国の景気は落ち着いているが、トランプ政権自体が
不安定だ。中国はもともと危ないし、欧州もいろんな問題
を抱えている。流動的だろう」
気になるのが北朝鮮だ。
「安倍氏は米国に追随して圧力や規制を強めていくと
いうことだが、問題は中国だ。中国は北を存続させると
いう国益と戦略がある。それをどう打破するか。そのため
には相当真剣な交渉が必要になる。先のトランプ訪中の
狙いもそこにあったはずだが、逆にしたたかな中国に丸め
込まれ、20兆円という、中身がどの程度詰まったものかは
わからない商談で終わった印象だ。政治交渉はできな
かったのではないか。政治家というよりビジネスマンだ」
中国もリスク要因だと?
「経済的、政治的、軍事的に膨れ上がった中国が今後
どうなっていくか。これが世界の運命を握っている。中国
が崩壊した時には世界中めちゃくちゃだ」
その兆しは?
「ある。習近平氏が独裁を強化しているのは基盤が
強くないからだ。基盤が弱いから批判を封じ込もうと
している、と見るべきだ」
東アジアの複雑な緊張関係の中で日本の役割は?
「今の安倍政権は全く相手にされていない。トランプ政権
に黙ってついていくだけだ。戦争になるかどうか、これだけ
重要な局面なのに、だ。政権交代が必要なのはそこにもある」
小沢氏はやはり大局観の人だ。今回の野党再編に彼が
果たした役割も見えてきた。
彼のこの「左手」戦略が次の政局でヒットするかどうか。
老いてなお盛んなり。政局キーマンの執念がそこにあった。
【転載終了】
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少数野党の欠点は、「小異を捨てて大同に就く」
ことができないからでしょうね。
その点、自民党は徹底しているから強い。
いま、「民進党」「希望の党」「立憲民主」の
統一会派の結成に動いているようですが、
立憲は希望や民進の保守系とは政策自体
元々違うので、統一会派の成立は難しいのでは
ないでしょうかね~?
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