防衛費増額の財源で「法人税」を削除し「国民全体の負担」だけにした
LITERA
【転載開始】
■防衛費増額の財源で「法人税」を削除し
「国民全体の負担」だけにした
政府有識者会議は読売社長、日経元会長、
朝日元主筆がメンバー
2022.11.25
国民が物価高騰に苦しむなか、岸田政権
が血道を上げている防衛費の増額。
来年度から5年間の防衛費の総額を
43兆~45兆円程度とする方針だというが、
ここにきて与党が防衛費の財源として
所得税などの増税を視野に入れていると
いう報道が飛び出し、Twitter上では
「所得増税」がトレンド入りする騒ぎと
なった。
岸田文雄首相は「所得倍増」を掲げて
総理となったというのに、まさかの
所得増税。
この矛盾に反発が巻き起こるのは当然だ
ろう。
しかも、所得増税の動きの一方で、
法人税アップのほうは、経済界の圧力で
削除されていた。
そもそも、今回の「所得増税」の端緒は、
敵基地攻撃能力の保有などのための
防衛費増額にかんして検討してきた
「国力としての防衛力を総合的に考える
有識者会議」が22日、岸田文雄首相に
報告書を提出したことにはじまる。
この報告書、原案では「財源の一つ」と
して法人税の引き上げが記されていたの
だが、ところが提出された報告書では法人税
の記述が削除され、
〈歳出改革の取り組みを継続的に行うこと
を前提として、なお足らざる部分について
は国民全体で負担することを視野に入れな
ければならない〉と明記されたのだ。
「国民全体で負担」という文言は原案にも
あったものだが、かたや財源のひとつとして
名指しされていた法人税は削除される──。
無論、この背景にあったのは、経済界からの
圧力だ。
経団連の十倉雅和会長は10月17日に
おこなった記者会見において、防衛費の増額
の財源として法人税の引き上げが検討されて
いることについて「法人税がひとり歩きする
のはいかがなものか。長期にわたって広く
集める、安定的財源が必要だ」と牽制し、
「消費税に(低所得層ほど負担感が重くなる)
逆進性があるのは理解しているが、防衛計画
の質と合わせ幅広い議論をしてほしい」と
発言。
11月21日の定例会見でも「薄く広く国民、
社会全体で負担するのが適切だ」と述べ、
法人税の引き上げに反発するだけではなく
消費税を財源にすべきという見解まで示し
ていた。
そして、岸田首相はこうした経団連からの
突き上げにあっさり屈服。
実際、岸田首相は今月4日、十倉会長をはじめ
とする経団連幹部らと2時間あまりにわたって
会食をおこなっているが、会食後、十倉会長は
「ものすごく盛り上がった。経団連の月例会議
に首相にゲスト出演してもらいたいくらい和気
あいあいだった」と語っている
(日本経済新聞11月14日付)。
ようするに、事前に「法人税の引き上げを報告
書では明記しない」と手打ちしていたという
ことだろう。
■有識者会議には読売新聞社長、日経新聞
前会長らメディア幹部がずらり
経済界の声にはしっかり聞く力を発揮する一方、
苦しい生活を強いられている国民を無視し、
さらなる税負担を求める・・・。
辞任が相次ぐ大臣の任命責任問題も重要だが、
賃金がまったく上がらないうえに物価高騰という
状況下で防衛費の増額に邁進し、さらにはその
財源として増税を言い出す姿勢こそ、政権交代
に値する問題ではないか。
ところが、メディアの報道を見ると、厳しさ
を増す国民生活の問題と防衛費増額が切り離さ
れ、政権の主張のまま、報道も完全に
「防衛費増額ありき」で事が進んでいるのだ。
だが、それも当然だ。というのも、経済界の
反発にあっさり屈服した岸田首相お手盛りの
報告書をまとめた有識者会議には、メディア
幹部が雁首を揃えているからだ。
有識者会議のメンバーを見てみると、
山口寿一氏は読売新聞グループ本社社長兼
日本テレビホールディングス取締役会議長。
喜多恒雄氏は昨年まで日本経済新聞社の
代表取締役会長を務め、現在は日本経済
新聞社顧問。
船橋洋一氏は2010年まで朝日新聞で主筆を務め
た人物だ。
ちなみに、山口氏は安倍晋三首相時代には
渡辺恒雄氏とともに会食をおこなっているほか、
岸田首相が就任して以降は岸田首相とも
たびたび面談。
喜多氏は安倍政権下で安倍首相と会食を繰り
返していたメディア幹部のひとりで、船橋氏も
岸田首相と面談をおこなっているほか、
安倍・菅政権時代にも首相と頻繁に面談。
今年9月には安倍派の研修会で櫻井よしこ氏ら
とともに講師を務めている。
ようするに、政権とベッタリの関係を築いて
きた現役のメディア幹部・元幹部が有識者会議
に参加し、岸田政権による「防衛費増額ありき」
の議論を推進、財源は「国民全体で負担する」
などという狂気の沙汰としか言いようがない
報告書をまとめたのだ。
<中略>
■低賃金・物価高騰に苦しむ国民の声を無視し、
防衛費のため増税を目論む鬼畜政権
そして、もっとも重要なのは、防衛費に巨額
を注ぎ込めるような余裕が、この国のどこに
あるのか、という問題だ。
物価上昇に賃金がまったく追いつかず国民生活
が悪化の一途を辿っている最中に、5年間で
防衛費を45兆円にまで増額しようということ
自体、まさに異常事態だ。
さらに、報告書からは削除された法人税の
引き上げにしても、本来は賃上げ支援や
消費減税、社会保障のために使うべきである
ことは言うまでもない。
1989年に消費税が導入されて以降、
この34年間で消費税の総額は476兆円にも
のぼる一方、かたや法人税は324兆円も税収が
減ってきた(しんぶん赤旗6月24日付)。
とりわけ安倍政権では、アベノミクスの
成長戦略として法人税率を3回にわたって引き
下げ、法人実効税率は安倍政権発足時の37%
から29.74%まで減少した。
だが、法人減税したものの賃上げや設備投資
には結びつかず、企業が溜め込んだ内部留保は
10年連続で過去最高を更新し続け昨年度は
過去最高の500兆円超えを記録。
つまり、大企業優遇の法人税の引き下げのため
に消費税は増税されつづけ、国民生活は打撃を
被ってきたのだ。
一向に賃金は上がらず物価高騰で多くの国民
が危機に晒されている、そんな状況下で、
非現実的かつ第二次世界大戦の反省から日本が
原則としてきた専守防衛から逸脱し、5年間で
防衛費を45兆円にまで増額しようという
岸田政権。
この異常さこそメディアは指摘すべきだという
のに、あろうことか報道機関の現役幹部・
元幹部が政権と癒着して推進役となり、
ほとんど「防衛費増額ありき」の報道一色に
染め上げられているのだ。
経済界の声にだけは聞く力を発揮する
岸田首相と、国民の生活苦はそっちのけで
大本営発表に追随するだけのメディア。
このままでは、軍事力強化の名のもとに国民の
首を締め上げ、その反発をメディアが封じ込め
るという、安倍政権でもなし得なかったかたち
が完成することになるだろう。
(編集部)
【転載終了】
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国際的には政治家のレベルが低いのは
周知の事実ですが、経済一流と言われた
財界の質がここまで落ちているのも
ショックですよね。
もともと、政府の有識者会議メンバー
も政権寄りの人物が選ばれていますが、
マスコミ関係が政府寄りでは、正しい
情報が国民に知らされないわけです。
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