産経新聞大誤報の真相・・・
AERA dot. 4/2(月)配信
【転載開始】
■産経新聞大誤報の真相「つぶすからな」
取材もせず沖縄タイムス記者を恫喝
行き過ぎた表現があった――。
2017年12月に沖縄県内で起きた交通事故
で、「米兵が日本人を救出した」とする報道を
めぐって、産経新聞は「事実関係の確認が
不十分」だったとして記事を削除。
沖縄タイムスと琉球新報に謝罪した
(18年2月8日付紙面に「おわびと削除」を掲載)。
沖縄タイムス記者・阿部岳は、
自著『ルポ沖縄 国家の暴力』(朝日新聞出版)
のなかでデマを垂れ流すメディアのあり方を
問うている。
いまだ沖縄2紙に向けられる“根拠なき批判”。
その当事者でもある阿部が、今回の騒動を
リポートする。
* * *
真っすぐな視線を向けられ、答えに窮した。
取材相手の女性(19)がふいに聞いてきた。
「米軍が良いことをした時には何で書かな
いんですか」。
良いことをしたのかどうか、そこが分からない
からです。
出かかった言葉はしかし、のみ込むしかな
かった。
昨年12月、沖縄県の高速道路で起きた
多重事故。
米兵が自らを犠牲にして日本人を救った、
その英雄的行為を「反米」の沖縄タイムスと
琉球新報の2紙は黙殺した――というデマ
がものすごい勢いで広がっていた。
産経新聞ウェブ版の記事が起爆剤に
なった。
「米軍の善行には知らぬ存ぜぬ」「メディア、
報道機関を名乗る資格はない。日本人と
して恥だ」。
激しい言葉がネットの波に乗った。
沖縄タイムスの同僚は早い段階で、記事
を書いた産経の高木桂一・那覇支局長
(当時)が県警に取材していなかった事実
を把握していた。
事故は警察。火事は消防。新聞記者なら、
1年生でもまずは聞く。
電話をたった一本かけるだけで、米兵による
日本人救助は確認できない、という事実が
分かった。
新聞社として、およそ考えられない欠陥取材。
沖縄2紙を批判するために、あえて事実関係
を無視したのではないか、とさえ私たちは
疑った。
反論するか。
ただ、米兵が意識不明に陥っていた。
ことさら救助を否定することで、ただでさえ
大変な状況にあるご本人や家族を傷つける
のではないか、と二の足を踏んだ。
産経が唯一の柱にしていた米軍も最終的に
救助を否定するに至り、琉球新報、次いで
沖縄タイムスが経緯を報道。
産経は謝罪と記事の削除、高木氏の更迭
など関係者の処分に追い込まれた。
2紙の編集局長は「率直にわびた姿勢には
敬意を表する」などとコメント、大人の対応を
見せた。
だが、産経が誤りを認めるまでの2カ月間、
2紙はネットで、会社への電話で、浴びせ
られる罵声に耐え続けてきた。
おとしめられた評価はとても回復できない。
私が会った女性の、不可解そうな表情が忘れ
られない。
高木氏はこれまでもウェブ版で「沖縄2紙が
報じないニュース」というシリーズ記事を書き、
2紙を厳しく批判してきた。
私自身を対象にした記事もあり、今もそのまま
載っている。
17年10月、作家の百田尚樹氏が県内で講演
した。
基地反対運動の現場にいる人の半分は中国人、
韓国人だというデマを前提に「嫌やなー、怖い
なー」と言い、「日当が何万円と払われている」
「中核は中国の工作員だ」と主張した。
事前に主催者に申し込んでから取材に行った
ので、私の名前が百田氏に伝わっていた。
壇上でマイクを握る百田氏は客席の私を
一方的に名指しして、嘲笑を続けた。
後で数えたら、2時間20分の講演中に22回、
「阿部さん」と呼んでいた。
「中国が琉球を乗っ取ったら、阿部さんの娘さん
は中国人の慰み者になります」という発言まで
あった。
百田氏や主催者が私を敵視していることは
明らかだった。
それでも、発言を問題視して記事にするなら、
百田氏の言い分を聞かなければならない。
それが公平に近づくための努力であり、メディア
の鉄則であり、記者の基本動作である。
講演後の百田氏を舞台袖に訪ねると案の定、
主催者ら10人以上に取り囲まれ、動画撮影と
ネット配信が始まった。
それでもいつも通り取材は続け、百田氏の
コメントを聞いた。
中国や韓国を差別していないと主張したこと、
「日当」や「工作員」の発言については根拠が
ないと認めたこと、を翌日紙面の記事に盛り
込んだ。
この時、高木氏も会場にいたらしい。
後日、産経ウェブ版に記事が出て初めて
知った。
記事によると、私の「取材姿勢は『差別発言
ありき』で、『百田氏はヘイトスピーカーだ』と
いうレッテルを張り、バッシング報道を展開す
る魂胆があったと受け取れた」という。
新聞記者は人を批判することも多い。
当否は別として、自らが批判されること自体
は謙虚に受け止めなければならないと思って
いる。
ただ、高木氏は彼にとって「味方」ばかりの
現場にいながら、私に接触しようともしなかった。
記事はこう始まっていた。
「あれが『新聞記者』だというのか」。
少なくとも私は、百田氏の言い分を聞いた。
「なぜ声を掛けてくれなかったのですか」。
実は、高木氏に電話をかけて直接、質問した
ことがある。
高木氏も「ちょうど話が聞きたかった」という。
「では会いましょう」と持ち掛けると、突然、
何の脈略もなく罵声を浴びせられた。
「あんたの都合なんか知らないよ」「つぶすからな」
「ヘビみたいな男だ」「受けて立つよ。
おれは産経の顔だからな」。
まだ直接向き合ったことさえない社会人の発言
ではない。
仕方がないので、産経新聞社広報部に同じこと
を尋ねた。
「(百田氏講演会の)傍聴記だったため直接の
取材は控えましたが、今後は可能な限り取材
に努めます」という答えだった。
可能な限り取材する。
メディアとしてあまりにも当然のことだが、
それが欠落していた産経の報道は、
「米兵が日本人救助」虚報や私に関する記事に
限ったことではなかった……。
【転載終了】
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産経新聞の政治部編集委員の
阿比留瑠偉氏もほぼ似たような方です。
沖縄の二紙はおろか、朝日新聞への
攻撃も酷いもんです。
同類で、百田尚樹氏や小川栄太郎氏、
櫻井よしこ氏、皆さん裁判に負け、
同じ運命ですかね?
本当に、「安倍とともに去りぬ」になるかも。
アベ友には碌な人間がいません。
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