外国人特派員が森友「公文書改ざん」に見た日本の 深刻な病・・・

週プレNEWS 4/5(木) 配信


【転載開始】


■外国人特派員が森友「公文書改ざん」に見た日本の

 深刻な病──この国みんなが“民主主義のお芝居”

 を演じているだけ?


 森友学園への国有地格安売却に関する

決裁文書を財務省が「改ざん」していた

ことが明らかになり、昨年から続く森友問題

は新たなステージに入った。


 公文書を改ざんするという、民主主義への

冒涜とも言える暴挙を、“民主主義国家の

先輩”フランス出身のジャーナリストはどう

見ているのか?


 「週プレ外国人記者クラブ」第113回は、

仏紙「ル・モンド」東京特派員、

フィリップ・メスメール氏に聞いた――。


***


─国会では先日、衆参両院の予算委員会で

佐川宣寿(のぶひさ)前財務省理財局長が

証人喚問を受けましたが、「公文書改ざん」は

メスメールさんにとっても驚きでしたか?


メスメール 正直に言うと、あまり驚いては

いません。むしろ「改ざんの事実が明らか

になったこと」に驚いたと言ったほうがいい

かもしれません。朝日新聞の報道によって

大きく動き出したわけですが、私はこの問題

に関してこれまで自分が見聞きしてきたこと

のすべてが「日本の民主主義というシステム

が、あらゆるレベルで深刻な病に侵されて

いる」ことを示しているように思えてなりません。


─あらゆるレベルで、とは?


メスメール 政府も官僚も国会も司法もメディア

も、そして国民もです。まず、政府と官僚ですが、

森友問題は安倍首相率いる政府と、財務省

という行政機関、官僚組織の非常に歪(いびつ)

な関係に端を発した問題です。その過程で

財務省が公文書改ざんという、常識では考え

られない行為に出たことが明らかになった。


 近代的な民主主義国家において、公文書の

信頼性とは「行政の信頼性」を根元から支える

文字通りの「根幹」であって、それを省庁が

組織的に改ざんするなどあり得ない。

それは行政の信頼そのものを損なうことを意味

するからです。


 第二に国会です。財務省が改ざんした虚偽の

文書によって国会が欺(あざむ)かれたにも

かかわらず、国会はこの問題を徹底的に追及

することができていません。自民・公明の与党

はもちろんのこと、野党ももっと厳しく、もっと

しつこく、政府や財務省の責任を追及すべき

です。


 第三に司法ですが、一連の出来事に対して

「司法の独立性」を示せていないように思います。

昨年7月に補助金詐欺容疑で逮捕された籠池

夫妻は、国有地売却問題では起訴すらされない

まま9ヵ月も拘留され、息子さんですら面会が

制限されているという異常な状況が続いていま

すが、これはどう正当化できるのか?


 まるで政府にとって不利な証言をしかねない

人物を司法が「人質」に取っているような印象

です。


 そもそも、改ざんの事実が明らかになり、それを

財務省も認めているにもかかわらず、佐川氏も

含めて、それに関わった可能性のある人たちが

未だに自由な身のままでいるのは信じ難いこと

です。


─検察は現在、任意で捜査を進めているよう

ですが…。


メスメール 民主主義、官僚制の根幹を揺るがす

大事件が起きているのに、不正行為を働いた人

たちが未だに「野放し」であるのはおかしいでしょう?


 この状況では証拠隠滅の恐れもあるし、他の

関係者と口裏を合わせることもできる。財務省内

ではこの問題に関連して自殺者まで出ているの

ですから、証人の身柄の保護という意味でも、

検察が強制権のある形で捜査を進めるべきだと

思います。


 さらに言うと、「第4の権力」とも言うべきメディア

もこの問題を徹底的に追及できていない。もちろん、

改ざんを最初に報じた朝日や毎日、東京新聞など

はかなり熱心に報じていますが、そうでない新聞も

少なくない。TVももっと多くの機会でこの問題を

取り上げ、ディベート番組なども流すべきだと思う

のですが、現実はそうなっていません。


 そして、最後に国民です。この問題について

もっと大きな声で怒りや疑念を訴えるべきなのに、

デモに集まるのはせいぜい数千人規模でしかない。

これがお隣の韓国なら、全国で百万人近い国民が

怒りの声を上げてもおかしくないと思います。

これほど酷い問題が起きても、日本人には権力に

対して自ら異を唱え、それを目に見える行動で示す

ことを「良しとしない」雰囲気があるように感じます。


 民主主義の基本はひとりひとりの国民が「主権者」

としての自覚を持ち、自分たちの声を政治に反映

させることに他なりません。ところが、日本は政治

に無関心な人が多いし、関心があっても自分の意見

を積極的に発信しようとしない人が多い。若い人たち

に「民主主義の危機だ」と言っても「よくわからない」

と答える人が多いし、高齢化で日本社会全体が

保守的になっているようにも感じます。


 政府も官僚も国会も司法もメディアも国民も、

日本の民主主義を構成するすべての人たちが

表面上はそれぞれの役割を果たしているように

見えて、実際には「民主主義というお芝居」を

演じているだけなのではないか?という皮肉

すら言いたくなってきます。


 それは森友問題に限ったことではなく、加計学園

問題、前川喜平元文科次官の講演に文科省が介入

した問題、そして南スーダン派遣に続いてイラク派遣

でも「なかったものが出てきた」自衛隊の日報問題

などについても共通しているように思えます。


─日本の民主主義が危機に陥っているのは、

国民にも理由がある…と。ところで、佐川氏の

証人喚問を見た印象は?


メスメール まず感じたのが、彼が国会に対して

敬意を欠いているという点です。財務省理財局

という、かつて自分が責任者を務めていた組織が

公文書の改ざんという絶対にあってはならない

行為を組織的に行ない、改ざんされた文書で

「国民の代表」である国会を欺いた。その事実を

認め、自分がその責任者であることをハッキリ

認めているにもかかわらず、佐川氏からは国会

への敬意が全く感じられませんでした。これは

大変に酷い、許しがたいことだと思います。


 証人喚問で佐川氏は、安倍首相や昭恵夫人、

財務大臣らの「指示」を明確に否定しました。

それはおそらく事実なのだと思いますが、

表面上の事実であっても「真実」ではないと

思います。常識的に考えて、公文書改ざんの

ような行為を首相や財務大臣という要職に

ある人物が具体的・直接的に指示することなど

あり得ないからです。


 では、それを間接的に示唆する何かがあった

のか?


 あるいは、いわゆる「忖度(そんたく)」で財務省

の官僚が政権の意向を感じ取って公文書改ざん

にまで手を出してしまう両者の関係性が存在した

のか?というのが「真実」に関わる部分であるはず

です。


 この一件を見て私が思い出したのは、17年前

の2001年にあった、NHKのドキュメンタリー

番組「ETV2001」の内容に自民党が干渉した

とされる問題でした。従軍慰安婦の問題など

「日本の戦時性暴力」を扱ったドキュメンタリー

番組がなぜか放映前に自民党の政治家に

チェックされ、当時の官房副長官だった安倍氏

がNHKの役員を呼び出して「事情を聴いた」後、

局上層部の指示で番組内容が大幅に再編集

されたと言われている事件です。


 この時も安倍氏は編集のやり直しを「指示」した

わけではなく、その内容に「疑問」を示しただけ

なので、いわゆる検閲にはあたらないと主張して

いたのですが、現実には政府の意向を忖度して

NHKの上層部が番組内容の変更を指示して

しまったわけでしょう。おそらく今回の財務省に

よる公文書改ざんでも、それと同じようなことが

起きているのではないかと思いますが、仮に

具体的・直接的な指示がなかったとしても、

今述べたような「真実」があるのだとしたら、

それは民主主義にとって重大なダメージを与える

ことになります。


 一連の出来事が示すのは、「日本の民主主義

の深刻な病」そのものです。これと同じことが

フランスで起きれば、間違いなく政府は吹っ飛んで

しまいますし、当事者は確実に処罰されることで

しょう。そして、国民は権力に向けてもっと大きな

怒りの声を上げるはずです。


 日本の民主主義が本当に危機的な状況に

あるということを、多くの日本人は気づいて

いない。私にはそう思えてなりません。

(取材・文/川喜田 研 撮影/長尾 迪)


【転載終了】

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 海外は、トップのスキャンダルに厳しいよう

ですが、日本は一部の国民が関心を持って

いますが、大多数の国民が無関心なのが

問題なのでしょうね。


 やはり、海外の見方は厳しいですね。


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時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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