テレビはなぜ腐ったのか・・・
日刊ゲンダイDIGITAL
【転載開始】
■テレビはなぜ腐ったのか・・・
元テレビ朝日“中の人”がえぐる闇と問題点、
そして未来
公開日:2023/04/02
ドルガバの衣装で彩りを添えていた
(C)共同通信社
■外見と肩書で信用してしまう危うさに気づ
くべき
現役テレビマンがテレビの闇を鋭く突いた
「腐ったテレビに誰がした?『中の人』に
よる検証と考察」(光文社)が話題になって
いる。
著者はテレビ朝日で報道、情報、ワイドショ
ーの制作をしてきた“中の人”で、元同僚たち
からは「よく内情を書いてくれた」と連絡が
来ているという。
「今のままだとテレビ離れはますます進む」
と語る鎮目博道氏に、テレビの問題点と未来
について聞いた。
◇ ◇ ◇
──ワイドショーといえば、コメンテータ
ーとして引っ張りだこだった国際政治学者・
三浦瑠麗氏が突如テレビから消えたことは
衝撃的でした。
太陽光発電事業への出資を名目に、およそ
10億円をだまし取ったとして瑠麗氏の夫が
逮捕され、瑠麗氏の発言も問題視されてい
ます。
「ワイドショーの闇の部分のひとつで、
以前から疑問を持っていました。コメンテ
ーターの起用は複数の意味で楽ができるん
です。まず、コメントに責任を持たなくて
いいし、コンプライアンス問題もない。
文化人はタレントと違い、謝礼はお車代ぐ
らいですが、テレビに出ていること自体が
宣伝になるので出演してくれる。衣装代も
かからないし、大幅にコストカットできる
んです」
──今回、瑠麗氏は夫の事業について、公
の場で推薦していたことも問題になっていま
す。
「個人の宣伝に公共の電波が使われてしま
うことにもなりかねないということが露呈し
た一例であるとともに、外見と肩書で信用し
てしまう危うさに気づくべきだと思います」
──三浦氏が「めざまし8」のコメンテー
ターを務めていたフジテレビは、三浦氏が
同局の番組審議会の委員も務めていたにも
かかわらず降板について「制作の都合」と
いうだけで説明を果たさぬままです。
「他人のことは探るのに、自分のあらは
報じないというのも不公平ですし、テレビ
のご都合主義で重大な犯罪を報じないのは
異常。ニュースを扱う番組なのに信頼度を
失うと思います」
■収録より生放送のほうが楽なんです
「タモリ倶楽部」も終わってしまった
(C)日刊ゲンダイ
──最近はワイドショーや情報番組など
長時間生放送が増えていますね。
「実は収録より生のほうが楽なんです。
収録番組だと、店を取材すれば編集し、
リアクションを編集し、雪だるま式に編集
作業が増え、その分人件費がかかる。生放
送で出演者のコメントで埋めていくほうが
制作側としては手抜きができる。その結果、
ワイドショーや情報番組など2時間超えの
番組が増え、1時間で2ネタであとはトーク
で埋めているのも少なくありません」
──ニュースソースにも問題があるといい
ます。
「コロナ禍を経てニュースソースの使い
まわしが増え、2日も3日も前のニュースを
流していて、もう鮮度はなくニュースでは
なくなってしまっていることがある。最近
は視聴者のスマホからの投稿やSNSの引用
で成り立っていて、SNSのまとめサイトと
変わりません。こうしたまとめ番組ではパ
ネルの出来の良しあしが視聴率を左右する
ので、パネル構成が得意な若手ADの取り
合いが起きています。“パネルとトークで
埋める”。これを報道と呼ぶのはどうか
疑問に思います」
──今年は日本でテレビ放送が始まって
70年の節目。ネットの台頭、配信動画の
普及などで、かつては娯楽の王様と呼ばれ
たポジションからテレビ局は転がり落ちて
しまいましたが、未来はあるのでしょうか。
「『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)も
終了しますが、ベテラン番組はますます減る
と思います。ベテラン勢のギャラは一度上が
ったものは下げられず、若手に代えることで
制作費が抑えられる。またベテラン勢も
“もういい”という風潮になってきている。
現場の若返りが進み、今まで一緒にやって
きたスタッフたちが現場を離れ、若いタレン
トとスタッフの和気あいあいとした現場に
疎外感を感じる。言いたいことも言えない
不自由な中で頑張ったところで視聴率が上が
るでもなく、報われない。さらに年を重ね
体力的にも以前ほど楽ではない中で“もうい
いや”という気分になってくる。後ろ向きな
理由による新陳代謝が進んでいます」
■現実離れした“こうあるべき”のウソは視聴者
に見抜かれている
元テレビ朝日ブロデューサー鎮目博道氏
(C)日刊ゲンダイ
──今後は深夜番組にも変化が起きるので
しょうか。
「もともと深夜枠は比較的予算をかけて実験
的に放映するチャレンジ枠です。そこで人気が
出るとゴールデン帯に引っ越しとなった。深夜
枠は自由な雰囲気こそ魅力でしたが、ここも
予算がなくなり、過去のエビデンスがあるもの
に走りがちになります。結果的に、人気番組の
焼き直しみたいな企画しか通らず、新たな番組
が、生まれない。制作的に閉塞感が広がるで
しょう」
──なぜこうもテレビが衰退したのでしょうか。
「テレビ局内にあるいくつものピラミッドから
くる“思い込み”だと思います。テレビの世界は、
キー局が一番偉い、局員が高給取りで偉い、男
社会でプロデューサーに女性は極端に少ない。
テレビを支えるCMのメイン商品は女性のための
ものばかりなのに、ピラミッドの頂点のオジサン
たちの思い込みで制作されています。トレンドに
皆が飛びついたバブル時代と異なり、これだけ
多様化した今、十把ひとからげに“女性に人気”
“Z世代に刺さる”というのも無理な話。ユーチュ
ーブやSNSに負けるのも無理はないと思います」
──ではどんな番組が救世主になりうるとお考
えですか。
「人気番組の共通点は“リアル”と“パーソナリ
ティー”。テレビだけが偉いという幻想を捨てて、
足で稼ぐべきで、僕は足で稼ぐ“頼りないADくん
”がテレビを救うと考えています。『オモウマい
店』とか『家、ついて行ってイイですか?』とか
『月曜から夜ふかし』は若いADくんたちがひた
すら街に出て足で稼いだVTRがあってMCが料理
している。
頼りないADくんたちのけなげさに皆が手を貸
し、リアルな表情が映像に出る。ユーチューブ
も同じで、出演・編集すべてセルフで粗削りだ
けど、リアルだから共感を得ている。テレビ局
がつくった現実離れした“こうあるべき”のウソ
は視聴者に見抜かれているから低迷しているの
です」
「ユーチューブやSNSを含め、映像メディアが
これだけ増えた今、テレビは特別なものでないし、
公平性など期待されていないのではないでしょう
か。日本オンリーで制作する必要はないし、制作
陣の多様化が結果的に言論の自由を生むと思いま
す。常に海外に売れるコンテンツを考えてきた
韓国はスポンサーもたくさん集まり予算も増え、
好循環ができているので研究に行こうと思ってま
す。自分の若い頃のようにチャレンジを楽しみ、
テレビに関わるスタッフが生活を心配しなくても
済むテレビ界に変わる一助になれたらと思います」
(聞き手=岩渕景子/日刊ゲンダイ)
【転載終了】
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本当に日本のテレビはつまらないですね。
ここ2年くらいは、ドラマは中国時代劇、
野球は鳴り物がうざくて10年くらい観て
いないのですが、昨年からBSでメジャー
を見るようになりました。
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