自民・萩生田氏の「子育てはママがいい」・・・
FIGARO
【転載開始】
■自民・萩生田氏の「子育てはママがいい」。
海外でも報じられ外国からは驚愕の声が…
2018年06月02日
子育ては母親がするべき……?
女性の社会進出を促す「SHINE!」を掲げている
政権とは思えない発言だが、ご存知のとおり
自民党の萩生田光一幹事長代行の発言が物議を
かもしている。
■萩生田発言の背後にある「親学」
宮崎市で行われた講演で、独自の子育て論
を展開した萩生田氏。全体で言えば、
「育児負担を減らすべく社会制度で底上げを
しよう」という趣旨なのだが、「『男女共同参画』
『男も育児』だとか格好いいことを言っても、
子どもにとっては迷惑な話。
子どもがお母さんと一緒にいられるような環境が
必要」、「明確な統計は取れないが、どう考えても
ママがいいに決まっている。ゼロ歳から
『パパがいい』と言うのは変わっている」という
発言がマズかった。
相変わらず「一部を切り取って」とこの発言への
批判を腐す声もあるが、確かに、彼が発言の全体
で言っている「育児負担を減らすべく社会制度で
底上げをしよう」ということに異論を唱える人は
いないだろう。
ただ、その前提が問題なのだ。前提として、その
負担が「母親」にかかるものであり、「パパがいい
というのは変わっている」と、ろくな統計もないの
に決めつけていることが批判されているのである。
なぜこのような発言が出るのかといえば、
それは萩生田氏の背景にも要因がある。
萩生田氏は日本会議Webサイトの設立10周年記念
大会によせて、日本会議国会議員懇談会事務局長
としてこう祝辞を寄せている。
“「行き過ぎたジェンダーフリー教育、過激な性教育」
対策では日本会議の識者の先生方の後押しもいた
だき、党内でも問題を喚起し、ジェンダーの暴走をくい
止め、正しい男女共同参画社会へと路線を変更する
事ができました”
(参照:日本会議 設立10周年記念大会開催)
日本会議といえば、本サイトでもおなじみだが、
教育学者であり、「親学」を提唱する高橋史朗氏が
幹部を務める日本青年協議会が事務局となって
いる集団。
親学では自立した子どもを育てるための、乳児期
の父親の役割として、「父親は家事をサポートし、
赤ちゃんへの働きかけを積極的にする」ことを正解
とし、その解説として以下のような文言を付している。
“核家族化で祖父母のいない家庭での育児は
母親に大きな負担を与えます。だからといって、
父親が母親に代わって赤ちゃんの面倒を全部みる
のもよくありません。赤ちゃんにとって最も大切なの
は自分を産んだ母親なのです。子育ては母親が
中心になり、父親はサポートするのが好ましい形
です”(参照:「親学推進協会」)
どうだろう? 萩生田氏のコメントとよく似てるでは
ないか。
萩生田氏自身が親学推進議連に属しているかは
ともかく、日本会議国会議員懇談会事務局長という
役職を持つ彼が、高橋史朗氏の「親学」に影響を
受けているのは想像に難くない。
単に、「育児負担をへらすために社会制度で
底上げをする」とさえ言っておけば、多くの支持者
を得られたであろう、この杜撰すぎるジェンダー感覚
はSNSなどでの批判だけでなく、思った以上に波紋を
呼ぶことになる……。
■「ワシントン・ポスト」まで取り上げる事態に
萩生田発言への批判は、なんと海外メディアまで
飛び火。
『ワシントンポスト』は「日本高官が幼児を育てるのは
父親の仕事ではないと発言」との見出しで、
今回の発言を報道するという事態になった。
翻訳の過程で、エキセントリックさが増した感も否め
ないが、果たして、この記事を読んだ海外の人々は
どう感じたのか? 先日まで日本旅行に来ていた
デンマーク在住のイギリス人女性は次のように語る。
「日本での時間は最高でしたけど、コペンハーゲンに
戻ってからこのニュースを見て、こっちがどれだけ
先進的で素晴らしい考え方をしているか思い出しました。
デンマークにも育休はあるので、子育ての初期段階で
父親と母親はともに助け合うことができます」
(イギリス人・女性・33歳)
男女どちらかが子育てをするという前提が、
欧米の感覚では理解しにくいようだ。
「ノルウェーでは基本的に両親2人で合計12か月の
育児休暇がもらえます。しかも、どちらも最低3か月
ずつは育休を取らなければいけません。もし片方が
3か月の休みを取らなければ、もう片方の育休もなく
なってしまうという仕組みです。残りの6か月分は、
2人の間で都合のいいように配分することができます。
とてもいい仕組みなんじゃないかと思います」
(ノルウェー人・女性・32歳)
男女ともに最低限の育児休暇を取らなければ、
相手の育休も消滅する……。
たしかにパートナーのことを考えれば、休みを取ら
ざるを得ない仕組みだ。
また、デンマークでは、女性は1年間給料が保障
された状態で仕事を休める。
萩生田氏の真意が「社会制度の底上げ」にあるので
あれば、「子どもがお母さんと一緒にいられるような
環境が必要」というような根拠なき「育児は母親」と
いう前提でなく、こうした社会制度のほうを健闘して
いただきたいところだ。
■「子育ての重要性は幼稚園児でもわかる」
ここまでは女性の意見を見てきたが、
男性の反応はさらに辛辣だ。
「なんてバカなんだ……。デカいことを言うわりに
(萩生田氏は)『赤ちゃんは母親が好き』しか根拠が
ない。日本が直面しており、これからも直面し続ける
問題は3つあると思う。ひとつは男女とキャリア間で
の不平等、2つ目は過剰労働と経済的な停滞、3つ目
は少子高齢化だ。それなのにどの政治家も女性が
悪いと言って、児童福祉やワークライフバランスに
ついての解答を提示しようとしない。誰も子どもを
産まなくなって、国民のほとんどがこういうクソみたい
な年寄りばかりになったら、この状態は彼らが死ぬ
まで続くでしょう。そのころには子どもたちが生きる
ための国家なんて残ってない。経済が完全に破綻
してしまう可能性も高い」(アメリカ人・男性・36歳)
「アメリカでは’93年から『育児介護休業法』
(Family and Medical Leave Act)という法律があって、
雇用が保障された状態で12週間休みを取ることが
できる。日本じゃ赤ちゃんのために3か月も仕事を
休むなんて考えられないだろう。アメリカでも問題
は山積みだけど、少なくともひとつずつ解決して
いこうとしてる。銃規制みたいにまったく動きがない
ケースもあるけどね」(同)
また、複雑な社会問題を父親か母親かという
二元論にすり替えていると指摘する声もあった。
「そもそも子育て支援の制度を作るうえで、
負担がいくのが母親か父親か定義する必要
がまったく理解できない。どちらが子育てを
しても、同じように支援できる制度にするべき
ですよ。子どもが産まれて経済的デメリットが
発生することが問題で、だから人口も増えない
んでしょ? 子育て支援っていうのは、子ども
ができても経済的なデメリットが生じないよう
サポートするのが目的であって、誰が子育て
しようが関係ないじゃないですか。親からすれ
ば、どちらが子育てをするのが家庭にとって
一番経済的なデメリットが少ないか、それと
どちらが肉体・精神的に一番子育てをしやすい
状態かで育児を分担するわけですよ。支援制度
が母親向けだからなんて理由で選択肢が減って
しまっては困るんです」(ポーランド人・男性・29歳)
育児の時間を確保するどころか、男女ともに
仕事が終らないという問題に終始している今の
日本。高プロ導入で残業代が正しく支払われる
のかなんてことが注目されるなか、育児休暇で
手厚い保障をもらうなんて話は夢のまた夢だろう。
「ポーランドでは育児休暇は親のどちらかが
最大1年間取得できて、給与の80%が保障
されます。一人で丸1年とる必要はなく、親同士
で半年ずつわけてもOKです。さらに給与が
全額保障される機会休暇も2日つきます。国民
が増えるってことは国にとって重要なことなん
だから、それを税金でサポートするのは当然
じゃないですか。そもそもおかしいのは、税収
を増やすために『一人当たりの納税額を増やす』
『納税者を増やして一人当たりの納税額は据え
置き』という選択肢があるなか、前者を選んで
いることですよ。幼稚園児でも後者のほうが
いいってもわかるでしょ」(同)
■ジェンダー・ギャップで日本は世界114位
当たり前だが、憤っているのは外国人だけ
ではない。日本で育児をする男性からも怒り
の声があがっている。
「いろいろな意見があると思いますが、今回の
(萩生田の)発言に関しては愚問。『なに言って
んの?』という感じです。子どもには父親・母親
どっちも必要ですし、『なんの決めつけだよ』と
思いますね」(千葉県・男性・37歳)
身近な例から、「赤ちゃんはママがいい」発言
の的外れっぷりを問う人もいた。
「うちの姉の家庭は、まさに奥さんが働いて、
夫が主夫していました。性別は関係ないですよ
ね。稼げるほうが稼ぐ。母乳も一歳くらいまでだし、
ミルクの家庭もあるから、母親に拘る必要はない
かなと。よく欧米と比べられるけど、人口とか文化
が違うから難しいですよね。ただ、日本の働きかた
は酷すぎる。休むことが悪いという風習は抜けて
ないですね」(東京都・男性・31歳)
内閣府男女共同参画局のホームページにも
記載されている、世界経済フォーラムの
ジェンダー・ギャップ指数によると、昨年の日本
の順位は144か国中114位。とても先進国とは
思えない順位の低さだ。それを是正するどころか、
政府高官が後押しするような発言をしているの
だから、海外からの視線が冷たいのも無理はない。
子どもは国の宝。家族はもちろん、国全体で
どう子育てをサポートするか議論されるなか、
政府高官が親のどちらが育てるべきかなんて
話をしていては、呆れられるのも当然だ。
萩生田氏には、今後「ママ、パパ、どちらが
育児をするにしても、両親がともに手を取り
合って育児をして、その上で発生する育児負担
を減らすべく社会制度で底上げをします」と
言い切ってくれることを期待したい。
<取材・文/林泰人>
【転載終了】
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以前ちょっと触れた事案ですが、
海外メディアも反応したようです。
人口減少に歯止めが利かなくなりそうな
発言でしたね。
幼保無償化や認可外保育補助等しても、
保育士の確保が難しいのであれば意味ない
のでは?
介護現場も同様ですが。
海外では、日本の人口減少は既に
手遅れと指摘するところもあります。
「日本会議」は日本破壊者の巣窟です。
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