日本のPC御三家、事実上消滅か?
Business Journal
【転載開始】
■中国レノボ、日本PC市場を掌握…
かつて世界を席巻した日本のPC御三家、事実上消滅か
シャープは東芝のパソコン(PC)子会社
・東芝クライアントソリューション(TCS)の
株式80.1%を40億円で取得する。
10月1日付で子会社にする予定。
東芝はTCSの株式の保有比率を19.9%に
引き下げ、連結対象から外す。
一方、シャープはPC事業に再参入する。
東芝はPC事業の売却に伴う費用や税金で、
およそ17億円の売却損を計上する。
TCSは子会社を含め2200人の雇用を維持し、
東芝の「ダイナブック」ブランドを継承する。
東芝は1985年に世界初のノートPC
「ダイナブック」を発売。
ダイナブックは一時、世界首位のシェアを
誇っていたが、中国・台湾メーカーの台頭や
スマートフォン(スマホ)、タブレットへの
ユーザーのシフトが進んだことで販売が
落ち込んでいた。
PC事業は2015年に発覚した東芝の不正会計
の舞台となった。
16年4月、PC事業が分社化してTCSが発足。
富士通、ソニーからスピンアウトしたVAIOとの
事業統合が取り沙汰されたが、うまくいかな
かった。
東芝は財務改善のため、営業利益の9割超を
稼ぐ半導体メモリ事業の売却や、国内外すべて
の赤字事業からの撤退など抜本的な構造改革
を打ち出した。
再建の柱に据えた半導体メモリ子会社、
東芝メモリは6月1日、米投資ファンドのベイン
キャピタル傘下の「日米韓連合」の傘下に入った。
PC事業からの撤退の話は、早い段階からあった。
TCSの発足初年度にあたる17年3月期の単体の
売上高は1650億円、営業損益は17億円の赤字、
純損益も17億円の赤字。
さらに18年3月期は一段と悪化。
売上高は前期比11%減の1468億円、営業損益は
83億円の赤字、純損益も82億円の赤字と、赤字幅
が拡大した。
その結果、63億円の債務超過に転落した。
そして今回、懸案だったPC事業の売却先が
やっと決まった。
東芝は、消費者向け事業がほぼなくなった。
■シャープは人材を買った
シャープは「メビウス」ブランドでノートPCを手が
けていたが、10年に採算が悪化し撤退した。
16年に郭台銘会長が率いる台湾・鴻海(ホンハイ)
精密工業に買収された。
シャープの戴正呉社長は17年4月、「IT機器で再び
市場に参入したい」と述べ、PC事業への参入を
示唆していた。
ホンハイはPCの受託生産を行っており、東芝の
PC事業を買収することで生産の効率化や事業の
拡大につながると判断した。
戴社長は東芝のPC事業を買収した理由の
ひとつに、400人のIT技術者が獲得できることを
挙げた。
近年力を入れているAI(人工知能)やIoT
(モノのインターネット)ビジネスを強化するのが
狙いだ。
ホンハイ流の徹底したコストカットで、PC事業
は黒字に転換できるとみられる。
そのうえ、促成栽培では育たないIT技術者が
手に入るのだから、シャープにとっては一挙両得
である。
世界の製造業はAIとIoTによる新しいビジネス
の局面を迎える。
M&A(合併・買収)は「時間を買う」という言い方
をされるが、東芝のPC事業の買収でシャープは
「人材を買った」ということになる。
■中国のレノボが日本国内で4割強のシェアを握る
PC市場の縮小で国内メーカーの再編に拍車が
かかった。
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は
5月2日、事業を開始した。
富士通は17年11月、中国のレノボグループと
PC事業の統合で合意。
レノボが富士通のPC子会社FCCLに過半の出資
をして、合弁事業に移行した。
FCCLの新しい出資比率はレノボが51%、
富士通が44%、日本政策投資銀行が5%。
富士通はFCCL株のレノボへの譲渡で280億円を
得た。
レノボが11年に統合したNECとの合弁会社、
NECレノボ・ジャパングループとは別に事業を
展開する。
この結果、レノボは日本でパソコンの子会社2つ
と工場2つを持った。
IT専門の調査会社、MM総研のまとめによると、
17年度(17年4月~18年3月)の国内パソコン
出荷台数は前年度比2.2%増の1033万台、
出荷金額は同5%増の9141億円だった。
Windows 7搭載のパソコンのサポートシステム終了
に伴う買い替え需要で、法人向け出荷台数が回復
した。
流通ルート別では個人向けが同4.3%減の
379.8万台、法人向けが同6.5%増の654.1万台。
法人需要が下支えする格好だ。
メーカー別シェアではNECレノボが26.0%で
トップ。
以下、富士通(17.8%)、日本HP(14.0%)、
DELL(13.7%)、東芝(9.8%)と続く。
東芝が1人負け状態で、日本HPとDELLが東芝の
シェアを奪った格好だ。
富士通とレノボのPC統合で、レノボグルーブが
国内で43.8%という圧倒的なシェアを握る。
世界のPC市場は中国のレノボグループ、米HP、
米DELLの3強に集約された。日本のPC御三家と
いわれたNEC、富士通、東芝は競争の表舞台から
姿を消した。
【パソコン国内シェア(2017年度)】
(出荷台数ベース、カッコ内は2016年度)
NECレノボ・ジャパングループ…26.0%(25.6%)
富士通…17.8%(18.1%)
日本HP…14.0%(13.0%)
DELL…13.7%(12.9%)
東芝…9.8%(11.9%)
アップル…5.5%(5.4%)
ASUS…2.3%(2.8%)
その他…10.9%(10.3%)
(出所:MM総研)
(文=編集部)
【転載終了】
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日本は、かつて得意分野から撤退を
余儀なくされていますね。
今後、得意とする自動車分野がEV
競争でどうなっていくかですね。
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