年収400万前後の人は、働き方改革が進めば 「家計崩壊」の可能性・・・

現代ビジネス


【転載開始】


 年収400万前後の人は、働き方改革が進めば

 「家計崩壊」の可能性 年収が、50万近くダウンする

 

 2018.07.09 北見 昌朗 給与コンサルタント

 北見式賃金研究所代表


■「残業代ありき」の家計は崩壊!


 6月29日に国会で働き方改革関連法案が

通過して、日本の労働法制で初めて残業時間

に上限規制が設けられたことが決定しました。


 残業時間は原則として年間360時間に規制

されます。

これでブラック職場で過剰労働を強いられて

いる人が解放され、痛ましい過労死を未然に

防げる可能性が高まる。非常に喜ばしいこと

です。


 ただ、表があれば、裏がある。

光があれば、影がある。

働き方改革にもメリットがある一方、デメリットが

あります。


 実際、働き方改革で労働時間が減るのはいいが、

その分残業代が減るのは厳しい……。

そう頭を抱えている人は少なくありません。

残業代ありきで生活費管理や住宅ローンの設定

などをしている世帯にとって、残業時間の減少は

家計の一大事に直結するからです。


 安倍首相は「残業が減っても、生産性が向上し、

ベースアップが期待できる」と言っていますが、

世間はそんなに甘くありません。

残業規制によって、日本全国で多くの人々が

残業時間の減少=年収の減少に直面する。


 これは間違いなく、近い将来に起きる現実です。


 自己紹介が遅れましたが、私はトヨタのお膝元

である愛知県で、主に中小企業を相手に給与

コンサルタントをしております。

中小企業(従業員300人以下)の給与明細

(205社、1万7000人)を集めて、日本の中小企業

のリアルな給与実態を日々研究している者です。

そうして長くリアルな企業の現場を見てきた立場

からすると、今回の残業規制は、メリットよりも

デメリットを被る人のほうが多い気がしてならない

のです。


■「年収50万円ダウン」するのはこんな人たち


 実際、下記のグラフをご覧下さい。

これは北見式賃金研究所が集めた給与明細

データから、「愛知県 製造業一般男性社員」

(5000人)を抜き出して、月間の残業時間を

プロットしてみたものです。


 縦軸が残業時間数、横軸が年齢です。

 これを見ると、残業時間が「月間30時間超」の

人が全体のうち52.9%。じつに過半数を超えて

いることがわかります。


 中には、80時間以上の残業をしている人も

少なくない。

つまり、働く人の「半分以上」は残業代カットの

対象になるのです。


 では、その人たちが残業時間を規制されると、

いったいどれくらい年収が減ってしまうのか。

一番気になるのはそこでしょう。


 そこで、筆者が試算してみました。

以下、中小企業と大企業にわけて見ていきま

しょう。


 まず、中小企業。その主力構成員は、年収

300万~500万円の階層です。

そのうち男性正規社員の35~40%が

「月間30時間超」の残業をしています

(総務省の労働力調査平成28年度版より)。


 次にその月30時間超の残業分がなくなると

仮定します。

すると、年収450万円の中小企業の男性社員

の場合、年収400万円にまで減る可能性がある

という試算結果になりました。


 年収400万円の中小企業の男性社員だと、

それが年収350万円。

もともと余裕のある暮らしをしているわけでは

ないところに、「年収50万円ダウン」は非常に

厳しいものではないでしょうか。


■大企業のエリートほど「損をしない」という現実


 一方、資本金10億円以上の大企業は3割以上

が年収800万円を超えています。

こうしたアッパー層には、残業代カットの影響は

あまり大きくありません。


 なぜなら、もともと年収に占める基本給の割合

が高いので、残業代減の影響を抑えられるから

です。

さらに、大企業の課長や部長ともなれば、

もともと月給制なので、影響はほぼないと言って

いいでしょう。


 ちなみに、今国会では年収1075万円以上の人

に残業代を払わないなどとする

「高度プロフェッショナル制度」も争点になりまし

たが、これも奇妙な議論でした。


 そもそも考えてもみてほしいのですが、

「年収1000万円以上で、残業代をもらう人」がどこに

いるのでしょうか?


 いるとしたら都銀、大手損保、大手広告代理店

くらい。

じつは、一部のエリートしか該当しません。


 高プロ対象者が労働時間規制から外れることで、

過剰労働や過労死のリスクが出てくる懸念はあり

ます。

しかし、年収という観点から言えば影響は微々たる

ものでしかありません。


 国税庁の民間給与実態調査のデータ(平成28年)

によると、資本金2000万円未満の中小企業の

男性社員(非正規を除く)は年収400万円未満が

55%占めています。

また、日本の中小企業の平均年収は約375万円。

残業代カットの最大の被害者となるのは、この層

です。


 さらに、この民間給与実態調査から日本全体で

残業代がいくら減るかを分析すると、その額は

「10兆円」。

仙台国税局(東北6県)管内の民間給与所得が

9・1兆円ですから、これが丸々消えるのに等しい。


 その過半は、中小企業で汗を流して残業して

きた人たちの貴重な給料から奪われるのです。

はたしてそれが労働者のための働き方改革と

いえるのでしょうか。どこが成長戦略なのか……。


■「最悪の事態」が起きかねない


 そもそも今回の働き方改革法案は新聞などで

多く報道されているので、その内容を

「知っているつもり」の人も多いでしょうが、実際

には勘違いしている例が少なくありません。

たとえば、次のような新聞の見出し。


 「働き方改革 残業の上限『年720時間』

新制度案を提示」


 これだけを見ると、残業時間は年間720時間、

つまり月間60時間以内にする義務が法制化

されるように読めますが、実際は違います。

前述したように、原則は「年間360時間以内」まで、

「月間30時間以内」に抑えるのが本来の姿です。


 確かに、「特別な事情」がある場合には年間

720時間に限度を設定できるのですが、

これはあくまで特例。

しかも、この特例を適用する場合には、

「単月100時間未満」「複数月平均80時間以内」

「月間45時間超の残業は年間6回以下」という

条件を課せられます。


 この中で守るのが難しいのは、

「月間45時間超の残業は年間6回以下」でしょう。

いったい、「半年間のみ45時間超の残業になり、

残り半年間は45時間以内」という会社が、どこに

あるのか。あるとすればアイスクリーム製造業

のように、季節的な繁忙期・閑散期がある業種

ぐらいしか思い浮かびません。


 つまり、法令順守をしようとすれば、「原則」を

守らなければいけなくなります。


 しかし、中小企業は、仕事を大手企業からもらう

ことが多いものです。

特に日本の製造業では、親会社、子会社、ひ孫の

協力会社など重層的な構造になっていて、その

「主従関係」は想像を絶するくらいに封建的です。

「増産が決まったから、明日から生産を増やして」

と突然言われれば、中小企業はなにも言い返せず、

ぐっと我慢の子でいなければいけません。


 それでも、残業規制を守ろうとすれば、いったい

なにが起きるか。


 残業時間は減ったものとして申告して、

実際は従業員を働かせる。

そんな最悪の事態が起こりかねない気がするのは、

私だけでしょうか。


【転載終了】

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 安倍政権の立ち位置は、財界に軸足が

あることを忘れてはいけません。


 「アベノミクス」は、まさにその政策その

ものです。


 株高を装い、資本家の懐を肥やし、

円安誘導で輸出大企業を潤す。


 まさに、年収400万以下の中小企業世帯

を破壊する政策です。


 私が書いている記事は参考までのこと

ですが、情報がないと自己防衛できない

からです。


 よく考えてください、安倍政権の5年間で

生活が楽になりましたか?


 老後の安定した暮らしが想像できますか?


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