「ネトウヨ」とは誰のことなのか?

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【転載開始】


■「ネトウヨ」とは誰のことなのか?

 彼らが“マスゴミ”と呼ぶ理由 2018.7.28


 なぜマスメディアはネットを中心に

“マスゴミ”と忌み嫌われるのか?


 現代においてもっとも過激な批判の

声を発信するである「ネトウヨ(ネット右翼)」

の憎悪の源はどこにあるのか。

橘玲が『朝日ぎらい~よりよい世界のための

リベラル進化論~』(朝日新聞出版)で明か

した彼らの実像とは。


 「リベラルな朝日」はなぜこれほど嫌われる

のか?


 その理由のひとつは、社会全体の高齢化

とともに「リベラルの保守化」が顕著になった

ことだ。

このひとたちの主張は

「(自分たちの既得権にかかわることは)なに

ひとつ変えたくない」に要約できるが、

これでは若者たちから見離されても仕方が

ない。


 しかしこれだけなら、「朝日ぎらい」に見ら

れる底知れぬ憎悪は説明できない。

たんなる政策論争や政治思想のちがいなら、

論壇やアカデミズムで議論すればいいだけだ。


 しかし現実には、書店の店頭には「朝日ぎらい」

の雑誌や書籍の煽情的なタイトルが並んでいる。

特定のメディアへの批判がひとつのマーケットを

つくりだすのは(おそらく)日本でしか見られない

珍現象で、それだけ日本の戦後において

朝日新聞の存在が大きかったということなの

だろう。


 「朝日ぎらい」の理由を訊けば、多くのひとが

滔々と語るだろう。

そのなかには正当なものもあると思うが、

ここでその一つひとつを検証しようとは思わない

(※1)。

私の興味は、「朝日」についてなぜひとは

これほどまで感情的になるのか、ということだ。


 それを知るためには、現代においてもっとも

過激な「朝日ぎらい」である「ネトウヨ(ネット

右翼)」について考えてみる必要がある。


 日本におけるネトウヨの定義は難しい。

「朝鮮人を殺せ」などの醜悪なヘイトスピーチを

行なう団体がネットから生まれたことは間違い

ないが、最大のヘイト団体である在特会

(在日特権を許さない市民の会)の会員を直接

取材したものは、ジャーナリスト安田浩一氏の

『ネットと愛国』(講談社+α文庫)、

『ヘイトスピーチ―「愛国者」たちの憎悪と暴力』

(文春新書)と社会学者樋口直人氏の

『日本型排外主義―在特会・外国人参政権・

東アジア地政学』(名古屋大学出版会)くらい

しかない。


 「定職をもたないか、非正規で低賃金労働に

従事する貧しい若者」が社会に対する憎悪を

韓国や中国、「在日」や「朝日」にぶつけている

というのが一般的なネトウヨ像だろうが、

樋口氏はこれは根拠のないステレオタイプで、

排外主義運動の参加者には大学卒やホワイト

カラーのサラリーマンも多いという。

しかしこれにしても、直接ライフヒストリーの

聞き取りができたのは34名で、この調査だけ

では全体像はわからない(サンプル数が少ない

のはそれだけ協力者を集めるのが難しいからだ)。

そこでここではとりあえず、SNSやネットニュース

のコメント欄にヘイト発言を繰り返し投稿するひと

たちを考えてみよう。


 ポータルサイトの分析では、ニュースの

コメント欄へのヘイト発言は主に1週間に100回

以上のコメントをする“コア層”によってなされて

おり、1%の投稿者がコメント全体の20%を形成

している。


 こんなことをしていてはまともな社会生活は

送れないと思うのだが、ネトウヨについての

いくつかの調査は、彼らの中心が40代である

ことを示している。

これは奇しくも、20代で日本と世界の激変を

体験し、「右」と「左」の価値観が逆転した世代だ。


 ヘイトコメントの大量投稿がごく一部だからと

いって、ネトウヨを特殊なひとたちと切って捨てる

ことはできない。

彼らがヘイト投稿に夢中になるのは、高い評価

(いいね)と結びついているからだ。

ネトウヨの背後には、彼らのコメントに共感する

膨大な“サイレントマジョリティ”がいる。


 ネットワーク社会論の木村忠正氏は、

ネットニュースのコメント欄などの投稿を分析し、

「ネット世論」に頻出するテーマとして次の3つを

挙げている(※2)。

(1)韓国、中国に対する憤り(嫌韓・嫌中意識)

(2)「弱者利権」(立場の弱さを利用して権利を

 主張、獲得する)認識に基づく、マイノリティ

 (社会的少数者)への違和感

(3)マスコミに対する批判


 そのうえで木村氏は、ネトウヨを愉快犯的な

投稿に駆り立てる主要な動機は、「嫌韓・嫌中」

というよりも「弱者利権」批判だと指摘している。

「ネット世論の主旋律には、社会的少数派や

弱者に対する強い苛立ちが脈打っている」のだ。


 「在日特権」という語に象徴されるように、

ネトウヨは少数派(マイノリティ)の権利の

訴えを「自分たちは弱者だと主張することで

利権を手に入れようとしている」と考える。


 ネトウヨの「嫌韓・嫌中」には、

「歴史修正主義やナショナリズムの問題という

よりも、慰安婦問題、戦争責任、戦後補償、

植民地支配について、韓中にいくら謝罪しても

結局(第二次大戦時における弱者の立場を盾

に取り賠償金をとろうとして)問題を蒸し返され

るという意識が根底には強く横たわっている」。

だからこそ嫌韓・反中のナショナリズムは

「少年法(未成年の保護)」「生活保護」

「ベビーカー」「LGBT」「沖縄」「障害者」などへの

批判や不寛容へとシームレスにつながるのだ。


 ネトウヨは、従来のリベラル的「マイノリティ

ポリティクス(少数派のための政治)」を強烈

に批判・嘲笑し、彼らなりの「正義」と「公正さ」

を積極的に求める。

木村氏はこれを「非マイノリティポリティクス」

と名づけた。

「非マイノリティ」とは「マジョリティ」のことだが、

彼らは「マジョリティ」として満たされていないと

感じている。


 私なりに解釈すれば、「非マイノリティ」という

のは、名目上はマジョリティ(多数派)だが実体

としてはマイノリティ(少数派)であるひとびとの

ことだ。

「在日特権」の語に象徴されるように、「『弱者』

を装って利権をほしいままにするマイノリティ

(外国人)のために、自分たちマジョリティ

(日本人)が『弱者=被害者』になっている」と

いう倒錯した意識がネトウヨの特徴だ。


 マスメディア(朝日的なるもの)を「マスゴミ」と

揶揄する背景にも、この「非マイノリティポリ

ティクス」がある。

これは少年犯罪に顕著で、ネトウヨは、

未成年であることを理由に加害者の人権が

保護される一方で、生命を奪われた(未成年の)

被害者の実名や顔写真が報じられることの

理不尽さを繰り返し告発することで、自らの手で

「正義」を実現しようとしているのだ。


(※1)現在に至る朝日批判は、1994年に刊行

された稲垣武氏の『「悪魔祓い」の戦後史―

進歩的文化人の言論と責任』(文藝春秋)で

ほぼ語りつくされているだろう。

(※2)木村忠正「『ネット世論』で保守に叩かれる

理由 実証的調査データから」『中央公論』

2018年1月号。詳細は『ハイブリッド・エスノ

グラフィー』として新曜社より近刊予定。

※AERA dot.より転載


【転載終了】

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>・・・ネトウヨについてのいくつかの調査は、

 彼らの中心が40代であることを示している。

 これは奇しくも、20代で日本と世界の激変を

 体験し、「右」と「左」の価値観が逆転した

 世代だ。


 ネトウヨについては他にも調査したもの

がありますが、40代を中心として、高齢の

方、20代の若者、主婦など多岐に渡って

いるようです。


 ネトウヨは過去から潜在的にいたようですが、

安倍政権から目立って(表面化)来たように思い

ます。


 40代の50%が安倍支持という調査結果

もあり、これを裏打ちする記事ですね。


>・・・書店の店頭には「朝日ぎらい」の雑誌

 や書籍の煽情的なタイトルが並んでいる。

 特定のメディアへの批判がひとつのマーケット

 をつくりだすのは(おそらく)日本でしか見られ

 ない珍現象で、・・・


 これも、「日本の常識は世界の非常識」の

一つなのでしょうが、このような本が売れる

のも安倍政権のときだけのような気がします。


 いま、ネットではyoutubeやTwitter、ニコニコ

等で保守系のサイトのIDが凍結されています。

反撃されているのでしょうね。


 笑えるのは、自分たちがやってきたことは

棚に上げ、言論弾圧だと騒いでいることです。


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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