「さらば一帯一路」イタリアが中国に冷や水・・・

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【転載開始】


■「さらば一帯一路」イタリアが中国に

 冷や水・・・メローニ首相の強硬姿勢

 2023年8月9日

台湾への支持を表明するなど、中国と

距離を置き始めたメローニ

 JOHANNA GERONーREUTERS


 <専門家は「中国政府としては、今回の

事態を放置するわけにはいかないだろう」

と指摘している>


 ヨーロッパへの影響力拡大を目指して

きた中国にとっては大打撃だ。

イタリア政府が中国主導の広域経済圏構想

「一帯一路」からの離脱に向けて動き出し

たのだ。

イタリアは2019年、G7(主要7カ国)で

初めて一帯一路に参加していた。


 13年に習近平(シー・チンピン)国家主席

が一帯一路構想を提唱して10年という節目の

年に、中国はメンツをつぶされた格好だ。

「中国にとっては非常に屈辱的なこと」だと、

米スティムソン・センターの中国プログラム

部長、孫韻(スン・ユン)は言う。

中国はヨーロッパの国、とりわけ西ヨーロッ

パの国が参加していることを誇りにしていた

のだ。


 これまでヨーロッパは、アメリカほど強い

姿勢で中国に臨んでこなかった。

特に経済面のデカップリング(切り離し)を

強硬に推し進めてきたとは言い難い。

しかし、風向きが変わり始めたようだ。


 一帯一路は、中国のインフラ輸出を後押し

し、さらには中国が地政学上の影響力を拡大

させる手だてになってきた。


 現在までに東欧諸国を中心にEU加盟国の

3分の2が一帯一路に参加して、中国からの

投資を呼び込み、自国経済のテコ入れを図ろ

うとしてきた。

これらの国々の多くは、イタリアと同様、

経済の不振にあえいでいて、中国からの投資

が自国経済に大きな恩恵をもたらすと主張し

ていた。


 ところが、イタリア経済は一帯一路に

よって期待どおりの恩恵に浴せていない。

中国側は総額28億ドルのインフラ投資を約束

したが、イタリアに好景気は訪れなかった。


 「19年当時は非合理な期待が高まっていた」

と振り返るのは、米コンサルティング会社

ローディアム・グループのノア・バーキン上級

アドバイザーだ。

「この取引は大きな恩恵をもたらさなかった」。

バーキンによると、イタリアの対中輸出は

ほとんど増えず、中国からイタリアへの直接

投資は大幅に減っている。


 イタリア政府は、中国に厳しい姿勢で臨む

ようになっている。

ドラギ前首相は昨年、中国への技術移転に

ストップをかけ、中国企業によるイタリア

企業の買収もたびたび阻止した。


 メローニ現首相は、もっと強硬だ。

イタリアのタイヤメーカー、ピレリに対する

中国企業シノケムの影響力を制限する措置を

講じたり、台湾への支持を明確に表明したり

している。


 テクノロジーをめぐる中国と西側の対立が

激化するなかで、ほかのヨーロッパ諸国も

中国との経済関係を見直すようになっている。


 7月には、西側の対中輸出規制への報復と

して、中国が半導体素材のガリウムと

ゲルマニウムの輸出規制を打ち出した。

こうした緊張関係の下、EUもアメリカと

同様に、対中関係での「デリスキング(リス

ク回避)」に向けて動き始めている。


 もっとも、具体的な措置については西側

諸国の間でも足並みがそろっていない。

「どれくらい大々的な措置を講じるべきか

では、明らかに考え方の違いがある」と、

米外交問題評議会のリアナ・フィックス

研究員は指摘する。


 一帯一路が習の政治的なレガシーに不可欠

な要素であることを考えると、イタリア政府

の一帯一路離脱の方針が両国関係に影響を

及ぼすことは避けられない。


 スティムソン・センターの孫は言う。

「中国の人々は、一帯一路を習の看板外交政

策と見なしている。中国政府としては、今回

の事態を放置するわけにはいかないだろう」

From Foreign Policy Magazine


【転載終了】

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 離脱タイミングとしてはいい時だった

のではないでしょうか。


 中国経済はバブルが弾けて、下降時期

に入っており、若者世代の失業率が大き

く、巨大市場であるだけに日本のバブル

崩壊よりはるかに大きなダメージになる

可能性があります。

欧州も中国に引きずられる可能性もあり

ますから。


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