国債と株でフォアグラ状態の日銀は「内部爆発」する
マネーポストWEB 8/3(金) 配信
【転載開始】
■大前研一氏
国債と株でフォアグラ状態の日銀は「内部爆発」する
異次元金融緩和を続ける日本銀行だが、
異次元が常態化してしまったら、
この先に何が起きるのか。
経営コンサルタントの大前研一氏が、
日銀が今置かれている状況について解説する。
* * *
日本銀行が6月下旬に発表した2018年
第1四半期の資金循環統計(速報)によると、
日銀が買い入れている日本国債の3月末の
保有残高は459兆円に達し、
国債全体に占める比率が過去最高の41.8%
になった。
ETF(上場投資信託)の買い入れを通じた
日本株の保有残高も、日本経済新聞の推計
では、3月末の時価で約24兆円に上り、
東証1部の時価総額の4%弱に膨らんでいる。
すなわち、いまや日銀は腹の中に溜め込んだ
国債と株で“フォアグラ状態”になっているのだ。
黒田東彦総裁の日銀は20世紀の古い経済
理論を振り回して金利とマネタリーベース
(資金供給量)をいじっているだけである。
たとえば、3月に就任した「リフレ派」の若田部
昌澄副総裁は「金融政策に限界はないと今も
思っている」「必要であれば躊躇なく追加緩和
すべきだ」「金利を操作するか、資産購入の
対象を増やすか、資産の購入額を増やすか。
この三つの戦略で臨めばよい」(日本経済新聞
/6月28日付)と述べているが、それでは消費
は動かない。
数字をいじるだけなら、その組み合わせは
無限にある。
なぜ、いくら数字をいじり回しても消費が上向か
ないのか、その根本原因がわかっていないのだ。
すでに本連載で繰り返し指摘してきたように、
日本がデフレから完全脱却できない根本原因は
「低欲望社会」になっていることだ。
そして、それを招いているのは、国民の将来に
対する不安である。
今の日本は給料が上がらない一方で税金や
年金の負担が年々重くなっている。
このため、国民はマインドがシュリンク(縮小)
して「低欲望」になっている。
少子高齢化・人口減少社会になって景気が
低迷しているのに、3月末の個人金融資産は
1829兆円に達し、10年前の1459兆円より
370兆円(25%)も将来に対する蓄えが増えて
いるのが、その証拠だ。
仮に1829兆円の1%が市場に出てきたとすれ
ば18.3兆円だから、消費税をゼロにするのを
上回る効果がある。
しかし、それを促す政策は何も講じられていない。
つまり、個人金融資産が銀行などの金利も
つかないところにじっとしていて市場に出てこない
ことが今の日本経済の最大の問題であり、なぜ
そうなっているのかということを科学的に考えて
解決策を打つべきなのだ。
■日銀に残されている時間は少ない
ところが、安倍政権と黒田日銀は
“アベクロバズーカ”で国債を乱発して将来世代
の借金を増やし続け、かえって国民の不安を
煽っている。
財政赤字は膨らむ一方なのに、来年度の当初
予算案の概算要求総額は5年連続で100兆円を
超える見通しとなっている。
しかも安倍政権は、無意味な「働き方改革」や
“忖度行政”の温床と化している「国家戦略特区」
などで、企業の足を引っ張っている。
その結果、経済成長しないから給料はいっこうに
上がらないし、金利がつかないから多くの高齢者
は預貯金を食いつぶして暮らすしかない。
ましてや安倍政権がいきなり「人生100年時代」など
と言い始めたものだから、「80年までなら何とかもつ
と思ったが、100年なんて全く手当ができない」と、
ますますガードが堅くなっている。
国民は老いも若きも消費意欲を抑え、遠い将来に
備えて節約・倹約しているのだ。
これでは物価が上がるはずはないだろう。
そういう消費低迷の根本的な原因を理解できて
いない日銀だが、残されている時間は少ない。
なぜなら、欧米の中央銀行が利上げに舵を切って
いるからだ。
報道によれば、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)
は6月に今年2回目となる利上げ(0.25%)をして
フェデラルファンド金利の誘導目標を1.75~2.0%に
した。
年内にさらに2回の追加利上げ(合計0.5%)が決まる
という見通しも示した。
ECB(欧州中央銀行)も6月、いわゆる量的緩和(QE)
政策に相当する資産買い取りプログラム(APP)を
年内で終了する「出口戦略」を決定した。
となれば、世界のマネーは金利が高い欧米に向かう
から、日銀も金利を上げざるを得ない。
また、もし日銀が物価上昇率2%の目標を達成した
場合も当然、金利は上がる。
そうなったら、フォアグラのように国債を腹一杯に
溜め込んだ日銀は、利払いが利息を上回る「逆ザヤ」
になってインプロージョン(内部爆発)を起こし、
国債暴落のトリガーを引いてしまう。
もはや日銀に異次元金融緩和の「出口」はない。
つまり、日銀自体が日本経済にとって最大の不安
要因なのだ。
国民は、日銀インプロージョンという“人災”に備える
べきである。
【転載終了】
*************************
すでに、日本にリフレ理論は当てはまら
ないと提唱者が撤回しているのに、
いまだに理論を振り回す人間が副総裁に
いるのが間違いです。
日銀の政策決定委員に「アベノミクス」
を推進するアベ友だけに入れ替えて
しまったのが不幸の始まりなのですが、
委員を入れ替えて、政策を大きく転換
したら安倍の責任になるからでしょう。
大前氏が言うように
「日銀インプロージョンという“人災”」だと
思います。
日本は、ジム・ロジャースの警告、
「アベは、日本経済をクラッシュさせる」に
耳を傾けなかったことを後悔することに
なるのでしょうかね?
0コメント