もう日本だけではやっていけない。外需頼みの日本経済にいよいよ黄色信号
MONEY VOICE
【転載開始】
もう日本だけではやっていけない。
外需頼みの日本経済にいよいよ黄色信号
GDPが二期ぶりにプラスも、
「外需」頼みの歪んだ構造が鮮明に
■夏枯れ景気を懸念させる弱い指標
米国経済は4%前後の高成長を維持し、
絶好調にあります。
それとは対照的に、日本経済は1-3月の
マイナス成長のあとも、もう一つ力強さが
ありません。
むしろ、6月の景気動向指数、機械受注、
7月の景気ウォッチャー調査と、このところ
弱い指標が続き、景気の夏枯れが懸念
されます。
内閣府が8日に発表した「景気動向指数」
では、先行指数(以下CI)が前月比で
1.7ポイント低下したのをはじめ、一致指数も
0.5ポイント低下、遅行指数は2.3ポイントの
低下となりました。
3か月移動平均で見るとまだ先行、一致とも
上向きの形を維持していますが、7月以降の
数字いかんでは、怪しい雲行きとなりました。
同じく内閣府が9日に発表した6月の機械
受注では、設備投資の先行指数とされる
「船舶・電力を除く民需」が前月比8.8%の
減少と、大方の予想を上回る減少となり、
2か月連続の減少となりました。
製造業が15.9%もの大幅減となったのが大きく、
非製造は7.0%の減少です。
■気がかりなのは「外需の陰り」
なお、外需も12.0%の大幅減となりました。
外需の陰りが気がかりです。
4-6月期では前期比2.2%増加となりましたが、
7-9月期の計画は前期比0.3%の減少となって
いて、政府は「持ち直しの動きに足踏みがみら
れる」と慎重な判断に修正しました。
米中貿易戦争の影響が不透明なだけに、
製造業を中心に、計画が立てにくくなっている
面がありそうです。
■「景気ウォッチャー」に見る家計の弱さ
もう1つ、内閣府は8日に7月の「景気ウォッチャー」
調査を発表しました。
それによると、現況判断は前月から1.5ポイント
低下して46.6と、50を大きく下回ってきました。
内訳をみると、家計関連が2.1ポイントの低下と
大きく、企業関連は0.2ポイントの低下にとどまって
います。
つまり、家計需要の弱さが足を引っ張り、
これが企業にも波及しかけている形です。
なお、先行き判断は1.0ポイント低下の49.0で、
こちらも分岐点の50を割り込んできました。
こちらの内訳は、家計関連が1.3ポイント低下、
企業関連が1.0ポイント低下となり、雇用関連だけが
0.3ポイントの改善となっています。
■「外需頼み」の日本経済
日本経済をひっぱるエンジンはこのところ輸出だけ
という、「単発エンジン」型の経済になっています。
外需が増えないとマイナス成長になるという1-3月の
GDPに典型的に表れています。
4-6月は外需が押し上げてプラス成長になったと
見られますが、この経済構造はかなり歪んでいます。
日本の輸出は昨年78兆円で、540兆円のGDPの
14%にすぎません。
輸出が50%を占めるドイツや3割を超える中国と
比べるまでもなく、主要国の中では、米国と並んで
輸出依存度の低い国となっています。
その日本が、成長の多くを輸出、外需に依存せざる
を得ないバランスの悪さが目立ちます。
■日本だけではやっていけない企業
その原因が日本の人口減少、市場の縮小予想と、
労働分配率(企業が生み出した付加価値全体のうち、
どれだけ労働者に還元されているかを示す割合)の
低下です。
そして、国内市場が個人消費を中心に弱く、
企業としても国内市場に期待できないことから、
海外市場に頼らざるを得なくなり、設備投資も
国内は慎重で海外にシフトする傾向が見られます。
このため、経常利益に対する設備投資の割合も、
このところ低下傾向にあり、国内需要は総じて弱く
なり、ますます輸出に頼らざるを得ない構図になり
ます。
■貿易戦争で唯一の「輸出エンジン」が不安定に…
ところが、米国にトランプ大統領が登場し、
対米貿易黒字の大きな中国、日本、ドイツ、メキシコ
などを目の敵にして、貿易戦争を仕掛けようとして
います。
日本はEUとの間で自由貿易協定を結び、
米国抜きでTPP11をまとめるなど、自由貿易圏の
確保を進めていますが、ともに輸出の2割を占める
米国と中国が、貿易戦争に突入し、日本もこれに
巻き込まれる面があります。
円安にも注文がついています。
そうなると、もともと輸出という単発エンジンで
飛んでいた日本の飛行機は、その輸出エンジンまで
出力不足に陥り、全体の推進力が低下しかねない
状況になります。
輸出エンジンの代わりになるものはすぐには
見つかりません。
せいぜい財政支出による需要の追加くらいで、
安倍政権はばらまきに積極的ですが、
今の財政事情には限度があります。
しかも来年秋には消費増税が予定されています。
■主要国が採用する3つの経済運営パターン
主要国の経済運営パターンには、3つのタイプが
見られます。
第1が、トランプの「米国第一主義」に代表される
タイプです。
グローバル企業の資金・生産を国内に戻すべく、
海外からの製品持ち込みに圧力をかけ、
国内の雇用・生産拡大を税制・法制をフルに活用する。
結果として、少なくとも短期的には4%成長という、
絶好調経済が実現しています。
第2は、韓国やイタリアのように、まず国民の利益・
所得増を優先し、その結果として企業にビジネス・
チャンスが回ってくるというタイプの経済。
そして第3が、「アベノミクス」のように、まず企業を
稼がせる形を税制・金融政策・規制で実現し、結果
として家計にも「トリクルダウン」が生じることを期待
するタイプ。
アベノミクス型も、当初は財政金融両面からの
景気刺激で円安・株高になったこともあり、
初速は悪くありませんでした。
しかし5年間で見ると、消費など家計需要の弱さ
が続き、企業も国内市場には期待を持たなくなった
ことから、不安定な輸出単発エンジンのもと、
企業が内部留保で貯蓄を増やす分、成長が阻害
され、成果としては見劣りするものとなりました。
■安定成長には国内市場が不可欠
外需は政治的に不安定な面があり、
ある程度は国内市場の拡大維持が不可欠です。
企業が人件費抑制を止められなければ、
政治的に税制を活用して所得分配を修正し、
家計を支援することも必要です。
さらに少子高齢化に歯止めをかける政策、
国内市場拡大への産官学共同のビジョンづくりが
必要です。
医療分野、宇宙開発、農業の災害対策、
プラスチックごみ処理など、多くの分野にチャンス
があります。
スウェーデン、フランスでの少子化解決の研究、
水の摂取による認知症の改善など、
コストをかけない高齢化対策の例も数多くあります。
利権や規制のしばりを除けば、人口増、国内市場
拡大の芽はあちこちに転がっています。
いつまでも輸出単発エンジンに頼っている必要は
ありません。
【転載終了】
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当初から懸念されていた「アベノミクス」という
自分の名前に縛られて、大きな政策転換をでき
にくくしています。
安倍政権は、日本が内需の国であり、
円安で原材料が高騰すれば、販売価格が上がり、
ものが売れなくなることを認識できていなかった
のでしょうか?
15か月連続の消費支出減少が大きかった
ように思います。
期待されたトリクルダウンは起こらず、完全な
経済政策の失敗です。
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