「年金68歳支給開始」の標的は団塊ジュニア・・・
週刊ポスト 2018年10月12・19日号
【転載開始】
■安倍政権が目論む「年金68歳支給開始」の
標的は団塊ジュニア
「平成最後の年」となる来年は、5年に
1度の年金制度見直し(財政検証)がある。
去る7月30日、財政検証に向け新たな年金
制度を議論している社会保障審議会の年金
部会に、厚労省 年金局が『諸外国の年金
制度の動向 について』と題する資料を提出
した。
その冒頭には、「給付の十分性」と
「制度の持続可能性」の矛盾が先進諸国に
共通する年金制度の課題だと大きな図で
示され、解決策の第1番目 に
〈支給開始年齢の引き上げ〉が挙げられ
ている。
さらに財務省が財政制度審議会に提出
した資料(今年4月)では、
『より望ましい年金制度への改革に向けた
視点』として支給開始年齢の
「68歳への引き上げ」を例示したうえ で、
2035年には団塊世代の次に人口が多い団塊
ジュニアが65歳になることを指摘し、こう
提案している。
〈それまでに支給開始年齢を更に引き上げ
るべきではないか〉
その先には「70歳支給」が待ち受けている。
では、どの世代が最も大きな被害を受けること
になるのか。
財務省は次の引き上げのメーンター ゲット
を団塊ジュニア世代(1971~ 1974年生まれ)
に定め、68歳受給を団塊ジュニアの年金受給
が始まる前に実施するよう主張している。
具体的な時期はいつか。
実は、厚労省内部では民主党政権時代に民主、
自民、公明3党合意で消費税増税を決めた
「社会保障と税の一体改革」 (2012年)の頃
から、68歳支給をどのタイミングで実施するか
詳細なシミュレー ションを積み重ねてきた。
当時の厚労省資料『支給開始年齢に ついて』
が参考になる。
それによると、最短ケースでは6年後の2024年
から段階的に支給年齢を引き上げ、今年60歳を
迎える1958年生まれは 「66歳支給」、翌1959年
生まれが「67歳支給」、そして1960年生まれが
「68歳支給」になると試算されている。
これから定年後の年金選択を考える世代である。
しかもその先には確実に「70歳引き上げ」が待ち
受けている。
現在57歳以下の日本人にはすでにその レールが
敷かれている。
■団塊世代も逃げ切れない
すでに年金受給が始まっている団塊やポスト
団塊世代も「今回は逃げ切れそうだ」と安心
するのは早い。
財務省は前述の年金改革資料の中で、支給開始
年齢引き上げと並んで「年金課税の見直し」を打ち
出している からだ。
年金制度の変遷に詳しい「年金博士」こと
社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。
「政府は昨年の税制改正で年金課税を強化し、
2020年から施行される。しかし、これは年金以外
に高額な収入がある層が 対象です。他に収入がない
年金生活者の 多くは『公的年金等控除』という手厚
い 税制上の措置があるため、事実上税金非課税に
なっている。そこで公的年金等控除を縮小して税金
を払っていない年金生活世帯に広く課税しようという
狙いで しょう」
年金世帯には致命傷だ。
現在120万円の年金控除が将来的に50万円引き下げ
られれば、標準的な年金世帯は税金と社会保険料
を合わせてざっと30万円の負担増になる。
国が払った年金を年金生活者から奪い 返すという
形の、年金大幅カットだ。
安倍政権の年金改革の行き着く先は、 ロシアを
みればわかる。
ロシアではこの夏、プーチン政権が年金支給開始
年齢を「平均寿命」近くまで大きく引き上げた。
この“改革”で国民の4割が一度も年金を受給しない
まま死亡すると試算され、怒った国民が全国各地
で大規模な抗議 デモを展開した。
日本でも、今後68歳から70歳、そしてさらに
その上へと年金支給開始年齢 がどんどん引き上げ
られ、いずれ平均寿命 の延びに追いつく。
保険料を納める期間は延び、年金を受け取る前に
死ぬというブラックジョークは確実に現実に近づ
いている。
【転載終了】
**************************
昨年でしたでしょうか、年金支給年齢 引き
上げは団塊ジュニアが狙われて いると書いた
ことがありました。
これでは、掛け捨ての保険みたいなもので、
年金をかける人がいなくなり
ますよね。
0コメント