世の中にこんなにある「二重課税」への疑問 ・・・
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【転載開始】
■世の中にこんなにある「二重課税」への疑問
ガソリン・酒・たばこ税へさらに消費税を加算
細川 幸一 2018/05/19
1989年に税率3%ではじまった 消費税。
その後、5%、8%となり、10%にする時期
を巡って政治的な駆け引きが続いている。
また、少子高齢化が進む日本では将来の
消費税率のさらなる 引き上げは不可避
との意見も多い。
消費税以外にも国民はいろいろな税金を
支払っているが、モノを購入するときに
負担する税金で重税感がたびたび指摘され
るのは、ガソリン税、酒税、たばこ税だろう。
ガソリンは1リットルあたり53.8円、
お酒は、ビールの場合350ミリリットル缶で
77円(2026年までにビールと発泡酒を含む
ビール系飲料の税率を一本化し約55円に
統一する方向)、1箱440円のたばこで
244.88円だ。
■税に税をかけるのは二重課税ではないのか
これらは国や地方等の大きな 財源になっている。
これだけ税額が大きいとおかしなことに気付く人
も多いはずだ。
ガソリン、酒、たばこの販売価格にはこれらの
税金が含まれている。
それに対して現行8%の消費税を 払っていると
いうことは税金に税金が課されているという
ことだ。
これは「二重課税(Tax on Tax)」で あり、
課税権の乱用ではないのかという疑問だ。
ガソリン税を例に考えてみよう。
レギュラーガソリン1リットル140円
(ガソリン税を含む)だとすると、ガソリンを満タン
50リットル入れると代金は7000円になり、
それに消費税8%の560円が加算 され、7560円を
支払うことになる。
すなわち、ガソリン税にも消費税が課されている
と消費者は理解するだろう。
もし140円のうちのガソリン税53.8円抜き価格
86.2円に消費税を課すこととして、両税を加え
たら、支払い金額は7344円(消費税は 344円)ほど
になる。
その差は216円だ。
毎月50リッター利用する人はこの12倍の
年間2592円、毎週使う人は48週とすると10368円
を税金に対する税金として支払っていることになる。
たばこもお酒も同様であり、たばこも酒もドライブ
も好きな人は 一生でいくら払っているのだろうか。
一方でディーゼル車に乗っている人にはこうした
支払いは生じていないことをご存じだろうか?
ディーゼル車には軽油を給油する。
軽油には軽油引取税が1リットルあたり32.1円
課されるが、 軽油の場合は軽油引取税を含めた
軽油の価格に消費税を課すことは せず、
軽油引取税を課す前の軽油価格に8%の消費税
を課し、それと軽油引取税を加える仕組みに
なっている (筆者注:この他、ガソリン、軽油
とも 1リットルあたり2.54円の石油石炭税が
課されているがここでは省略して説明している)。
■なぜこのようなことが起きているのか?
国税庁はその違いにつき以下のように説明して
いる (一部抜粋、揮発油税は本稿での ガソリン税
を指す)。
消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の
対価の額には、酒税、たばこ税、揮発油税、
石油石炭税、石油ガス税などが含まれます。
これは、酒税やたばこ税などの個別消費税は、
メーカーなどが納税義務者となって負担する
税金であり、その販売価額の一部を構成して
いる ので、課税標準に含まれるとされている
ものです。
これに対して、入湯税、ゴルフ場利用税、
軽油引取税などは、利用者などが納税義務者と
なっているものですから、その税額に相当する
金額を請求書や領収証等で相手方に明らかにし、
預り金又は立替金等の科目で経理するなど 明確
に区分している場合には、 課税資産の譲渡等の
対価の額には 含まれないことになります
(国税庁HP上のタックスアンサー No.6313
「たばこ税、酒税などの個別 消費税の取扱い」)
■税もコストの一部という理屈
意味を理解できるだろうか。
ガソリン税はメーカーなどが納税義務者である
から販売価格の一部であり、軽油の場合は、
軽油引取税 は利用者が納税義務者となって
いるから軽油販売価格の一部を構成して
いない。
それゆえに違いが出るという見解だ。
ガソリンと同様にお酒やたばこも消費者から
見ると税金に税金が課されていることになる。
そもそも企業は固定資産税や法人税など多く
の税金を払っている。
それらはその企業が販売するモノの価格に
コストとして転嫁されている訳だから、
ガソリン税、酒税、たばこ税に消費税がかけら
れるのも当然であるという理屈なのだ。
しかしながらこれらの税金は消費者が購入
するモノにかけられているものであり、
税額も高額であるから消費者からみると納得
できない二重課税という印象が強い。
軽油引取税にはこうしたことが起きないのは、
軽油を給油するディーゼル 車の多くが産業用で
あり、消費者には容赦なく課税し、産業・業界
に配慮した税制という批判も出てこよう。
さらに免税軽油という制度もある。
軽油引取税には消費税が加算されないばかりか、
軽油引取税自体を特定の産業の用途(運送業、
農業など)には免税する制度だ。
これは期限を設けて免税をする時限法制だが、
期限が来るたびに 延長を繰り返している
(免税対象用途には多少の廃止がある)。
課税政策は声の大きい者の理屈が通る世界のよう
に筆者は感じる。
■いくらでも新たな税が作られる可能性も
たとえば、熱海市は住民登録をしていない別荘
所有者には固定資産税に加え、別荘等所有税を全国
で唯一課 している。
税率は延べ床面積1平方メートルにつき年額650円だ。
これは納税義務者が同じであり、不当な二重課税
ではないのか?
熱海市の見解はこうだ (熱海市HPの別荘等所有Q&A
質問6より)。
固定資産税は家屋の価格(評価額)、別荘等所有税
は述べ床面積をそれぞれ 課税標準として課税され
ており、 課税標準が異なっていますので二重課税
とはなりません。
この理屈が通るのなら、さらに建物の高さで
税金を取ることも可能なのだろうか?
余談だが、英国では昔、建物における窓の数に
応じて課税される「Window Tax(窓税)」税金まで
あった。
納税義務者に加え対象が同じでも、課税標準が
異なるから問題ないといわれてしまえば、
いかようにも新しい税ができるだろう。
そもそも自動車は自動車取得税、 自動車税、
自動車重量税を取られ、さらに消費税、ガソリン
を入れればガソリン税が取られる。
これらには自動車による交通問題の解消、
環境対策などの政策目的もあるが、消費者の
税負担はかなり大きい。
いつの間にか産業界に甘く、一般の消費者に
厳しい税制が作られる可能性がある。
消費者がしっかり声を上げる必要性を感じる。
【転載終了】
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消費増税関連の過去記事です。
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