リーマンショック発生直前と同様の兆候・・・
Business Journal
【転載開始】
■リーマンショック発生直前と同様の兆候・・・
CDO復活、日本の銀行に甚大な打撃の懸念
10月上旬に1バレル=77ドル
だった 米WTI原油先物価格は、
12月下旬に入ると同45ドル台にまで
下落し1年5カ月ぶりの安値となった。
米国のイラン産原油に対する制裁が
11月上旬に再開されることで
「原油価格は1バレル=100ドルまで
上昇する」との予測もあったが、
米国やロシア、サウジアラビアの原油
生産量の大幅増加で世界の原油市場は
供給過剰となってしまったことなどから、
原油価格は大幅な下落に見舞われたので
ある(下落率は40%超)。
原油価格の下落傾向が鮮明になって
くると、好調だった米国のS&P500種
株価指数も続落し12月下旬に1年3カ月
ぶりの安値となった。
米国の好調な株価の要因は、
米FRBの相次ぐ利上げにもかかわらず、
「信用スプレッド」特に米10年物国債
利回りとジャンク債利回りの差が拡大
しなかったことにあるとされてきた。
ジャンク債の発行体のメインプレイヤー
がシェール企業であることから、
「原油価格が上昇していればシェール
企業は安心」ということでジャンク債の
価格は最近まで安定的に推移していた
からである。
米FRBは昨年から利上げに加え
バランスシートを毎月500億ドルの
ペースで縮小してきたことにより商品
価格が軒並み下落していたが、
原油価格のみが高値を維持してきた。
その理由は「イランファクター」だった
が、実際の制裁が予想に反して緩やかな
ものであったことも災いして、
原油価格は下落し信用スプレッドがついに
拡大し始めたのである。
原油安が世界経済の成長の弱さのサインと
みなされている (12月7日付ロイター)
が、好調な株価の下支え要因は好調な原油
価格だったのである。
■レバレッジド・ローン市場
資金流出が始まっているジャンク債
市場以上に悲惨な状況になっているのが、
レバレッジド・ローン市場である。
レバレッジド・ローンとは高債務の
企業向けの融資のことだが、投資家を
保護する目的で信用を補強するために
ローン担保証券(CLO)が組成され
たことにより、高い利回りを求める
投資家の資金が大量に流入し1兆ドル
を超える規模となった米国の
レバレッジド・ローン市場では、
数カ月前には額面を上回って取引され
ている割合が70%を超えていたが、
12月時点ではわずか0.9%となって
しまい、同市場から大量の資金が流出
している(12月17日付ブルームバーグ)。
レバレッジド・ローン市場でもシェール
企業関連のウエイトが大きいとされており、
原油価格の急落により、ジャンク債以上に
急拡大していたレバレッジド・ローン市場
のセンチメント が一気に悪化したと考えら
れる。
このような状況下で、リーマンショックの
際に問題視された債務担保証券
(CDO、サブプライムローンの証券化商品
などを多数合成した金融商品)が生まれ
変わって復活したようだ
(11月22日付ブルームバーグ)。
今回はジャンク債とレバレッジド・ローンを
裏付けとしたCDOである。
前回のCDOは米国の住宅価格が下落に転じる
と流動性が枯渇し金融危機の引き金となったが、
今回も高い利回りを当てにして新種のCDOを
多数保有している投資家の「狼狽売り」が次の
金融危機の引き金になる可能性がある。
心配なのは、レバレッジド・ローン 市場に
大量の資金を投入しているのが日本の銀行で
あるということで ある
(12月17日付ブルームバーグ)。
UBSによれば、日本の銀行は最上級の
トリプルA格付けのCLOを購入しているが、
過去数年でこのアセットクラスに流入した
資金のうち、日本の銀行が33%を占めて
いるという。
リーマンショックの引き金となった
サブプライム関連金融商品にさほど手を付け
なかったことから、日本の銀行は比較的
ダメージが少なかったが、今後米国の金融市場
で 危機が生じれば、最も打撃を受けるのは日本
の銀行かもしれない。
■来年、世界経済は景気後退入りか
今後の事態については予断を許さないが、
その鍵を握るのは原油価格であることは
間違いない。
国際金融市場の不調もあいまって50ドル割れ
の原油価格が続けば シェール企業の大量倒産が
再び生じ、 ジャンク債市場とリスク性の高い
ローン (レバレッジド・ローン)の分野での
さらなる混乱が広がりかねないからである。
弱気入りした原油市場では「強気材料」
よりも「弱気材料」に反応しやすくなっている。
12月13日付けロイターは
『2019年経済展望、何でもありの
「ブラックスワン」』と題するコラムを
掲載した。 そのなかで「原油(価格)は極めて
もろく、 (1バレル=)20ドルになる確率の
方が 急なリバウンドの確率より高い」としている
が、チャート分析によれば、原油価格は今後
1バレル=30ドル台 前半まで下落する可能性
がある (リーマンショック後の2009年3月
の 原油価格は同33ドルまで急落した)。
12月に入りCTA(アルゴリズム取引)が
数次にわたって大幅な原油安を引き起こして
いるが、来年1月にメイ首相のEU離脱案の
議会採決が「否決」という 結果となれば、
CTAにとって格好の売り材料になるだろう。
米国のS&P500種株価指数の下落ぶりは、
2007年時点に類似しているとの指摘がある
(12月20日付Zero Hedge)が、
原油価格が今後短期間に30ドル台まで急落
すれば、S&P500種株価指数も
「つるべ落とし」となり、リーマンショック時
のような大規模な株価暴落が起きない保証はない。
現在の世界経済は金融主導であること から、
原油価格の下落による個人消費 へのプラスの
影響よりも株価急落による逆資産効果という
マイナスの影響のほうがはるかに大きい。
原油価格急落が金融危機の引き金になるか
どうかは不明だが、世界の株式 市場が軒並み
低調となれば、来年の世界経済は景気後退入り
するのではないだろうか。
(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)
【転載終了】
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>心配なのは、レバレッジド・ローン
市場に大量の資金を投入している
のが日本の銀行であるということで
ある(12月17日付ブルームバーグ)。
UBSによれば、日本の銀行は最上級
のトリプルA格付けのCLOを購入して
いるが、過去数年でこのアセットクラス
に流入した資金のうち、日本の銀行
が33%を占めているという。
リーマンショックの引き金となった
サブプライム関連金融商品にさほど
手を付けなかったことから、
日本の銀行は比較的ダメージが少な
かったが、今後米国の金融市場で
危機が生じれば、最も打撃を受ける
のは日本の銀行かもしれない。
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何れにしろ、先の記事と併せて、
嫌な感じですね。
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